宝石とさよなら | ナノ


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「まあまあだったよナマエ、話が途中なのはいただけないが」
部屋に戻ってきたナマエとサソリは畳の上に各々楽な格好で座ると、そう評価したチクマと通信を続けていた。
会談はいつ終わるかわからず、話の続きをしようにもミフネはまとめ役としてその場に出ているから手持無沙汰なのである。
サソリ自体は彼らに言われたように観光してもよかったのだが、何分ナマエが寒がったし、鉄鋼の仕入れもどうせなら良し悪しのわからない方の弟子よりもう一人の弟子――傀儡師のカンクロウ――と相談しながらやった方が楽しそうだと考えナマエに黙ってついてきたのである。
外套を外し上着も脱ぎ捨てると先ほど出しかけた刀を元の位置に仕込みなおしつつ、同じように流しっぱなしのチャクラでチクマの言葉を受信する。

「うっ、ごめんなさいチクマちゃん」
「いいのいいの、一番言いたいことは言ってもらえたし。三代目のヒルゼン様とか綱手様だったら気まずくはなれどそもそもこんなこと言わなくて済んだんだけどね」
タイミングが悪かったんだよと砂の気候のようなからりとした声で慰める彼女にそれもそうだねと同意した。

「そうそう、さっきチャクラが一瞬荒れた時なんだけど何と勘違いしたんだい?サソリ」
「……知り合いに似たチャクラの気配がしただけだ」
「暁かい?」
「違ったみてぇだがな、あちらさんの仲間だったようだ。何分一瞬で消えちまったから判断つけられねぇよ」

チャクラの見える白眼なんて持ってねぇしなと返しつつ、ガコンと独特の音を鳴らし手首をはめ込んだサソリがちゃんと可動するか軽く振り回しながら確認する。
パーツの内側の空洞から再びチャクラ糸を通し指まで完璧に動かせるのを確認した後再び服を着込んだ。
流石に生身の核の部分が凍ると動けなくなるといわれ砂から出る前に手配した毛足の長い上着のフックを器用に片腕で止めていくサソリのチャクラが再び荒れたらしく、チクマが怪訝そうに尋ねた。
瞬間大きな音が会場の方向から響き、ナマエがその方向に首を回しかけたのを止め、勘違いじゃなかったみてぇだなといつもの不敵で人を嘲笑する笑みを消し顔をゆがめていた。



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