宝石とさよなら | ナノ


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「会談が滞り散会になったとしても、こちらは同じ志があるならば無条件で手を取り合おうと決めている。そちらが自分たちをどう思うかはわからないが、侍も忍も関係ないと考えているから」
「なるほど、そこのところは頭に入れておくでござる」

ただそれがしもまだどの人物とも話をしていない為、会談中に印象が変わるが……、それでもよろしいかな?
頭を片手で抱えつつ尋ねるミフネにそれでいいですと頷く。判断する人物は遠い方が公平だからだ。物事をより客観的に見ることができるだろう。
こちらだってあの手のひら返しに対し納得のいく理由を話してくれれば問題はないのだ。
話を続けるうちにだんだんチクマちゃんの敬語がなくなりいつもの会議用の口調になってきている為、多少文末をフィルターに通しつつよろしくと一息入れた。

それと一つ、現段階の暁の動向についてですがとさらに突っ込んで口を開いたナマエにミフネの隣で考えている様子だった鉄の月の桂が反応する。
あちらの月の桂もやはり情報収集できる人間らしい。通信越しにどこまで知っているのか尋ねてもらえるかと考え込んだチクマちゃんの言葉をそっくりそのまま口にする。

その時真後ろで静かに待機してくれていたサソリが立ち上がり私の袖を引いて自分の身体に隠した。
外套で隠れた片腕を前に、仕込みを噴出させようと手首を外した一歩手前状態のサソリは部屋に入ってきた人物を見て再び静かに席に着いた。
ぼそりと勘違いだったかと呟いたサソリの言葉に爆笑しているチクマちゃんに念話で諫めつつ、影がそろいましたとこちらに警戒しながらミフネたちの元を訪ねてきた鉄の国の一人に頭を下げた。

「すまないが、この話は会談の後でもよろしいか?会場に入ってこなければ観光などは好きにしてくれて構わない」
「ええ大丈夫ですよ。こちらこそお時間をとらせてしまいすみません」
では後程……。ミフネたちに一礼し、いったん与えられた部屋に戻ろうと席を立つナマエとサソリを、先ほど入ってきた鉄甲冑の人物がその銀鉛の下で見つめていた。


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