宝石とさよなら | ナノ


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特徴的な山の頂上に続く細く長い階段を今度こそ滑らないように登っていく。
階段は途中で鉄の国よ標高が高くなるらしく、目の前に広がる異色な建造物たちにナマエは思わず目を見張った。

雪国らしく屋根の傾きが木の葉より急な…城……のようなものがちらほらと見え、それを囲むように回廊のような長屋が幾重にも張り巡らされているようだった。
外から見ただけではそれとそのピラミッド型のお城らしき建造物の周りに水掘があるようなことくらいしかわからないが、この気温の中どうやっているのか凍ってはいないようで白い世界が、水面が、日の光を反射させている。

この世界は建造物が丸いものが多かったが角のある建造物ばかりの町は久々で、妙な親近感を覚えたナマエはコートの上に羽織っていた外套のフードを後ろへやった。
防寒具で寒さに余裕ができたらしく、同じようにフードを外した砂生まれの四人も初めての雪国に感嘆の声をあげる。
サソリとカンクロウは美の視点から、テマリと我愛羅は屋根の上に雪が積もっているにもかかわらずものともしない建造物の強度に……とバラバラだったが心の底から出た声であることには違いなかった。
こまごました街よりも一度高い視点にすることで外来の人間に気づきやすくしているのかと忍術を使わない中立国の敵に攻められにくい堅牢な作りにも感動していれば、自分たちに気が付いたのか門の前に顔に大小さまざまな傷のある厳めしい顔つきの男たちが出迎えてくれた。

「お待ちしていたでござる、風影殿」
自らを大将のミフネだと名乗った男に全員が通行証を見せると、自国とは寒暖の差が激しい砂の人間だということに気づいたのかそばにいた男に通行証を受け取らせ、我愛羅の前に手を差し出した。
世話になる、とその手を取り軽く握り返した我愛羅の鼻が赤くなっているのに気づいたらしく、「暖かいお茶でも入れて差し上げよう」と一際厳つかった顔を人好きする微笑みに変えた。



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