宝石とさよなら | ナノ


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雪道をぶっ通しで歩き続けること数時間、昼を過ぎようやく三狼と呼ばれた鼠返しのような三つ首の山が雪山の合間から私たちを迎えた。
いや実際はもっと前から見えていたらしいんだけど、私たちが歩いている道の両脇の雪の壁がなかなか高くて三狼がどれなのかはっきりしなかったっていうかなんというか。
誰一人として鉄の国に来たことがなかったからナビゲートもないししょうがないんだけども。
しかしすごいなこれ、グランドキャニオンか……。

この上に人が住んでいるらしい。改めて考えると恐怖一色だった。
下から見上げているがつららでも落ちて着ようものなら一発でアウトなのは言われなくともわかる。
落下物への恐怖に上ばかり見て歩いていれば雪から少し飛び出ただいたい五年目くらいで折れてしまったらしい小さな切株に足を取られた。
ずべりとテンプレートのように顔からこけた私に思わず噴出したサソリがうつぶせの私の足先をちょんと蹴る。
くそっこいつ……なんて最後尾に位置するサソリが私を急かす。
ナマエ絶対上見てただろと苦笑するテマリちゃんとカンクロウ君に恥ずかしさで顔があげられない私のすぐ前に瓢が発生した。

「ナマエ大丈夫か、怪我してないか?」
それはそれは心配そうに最前列を進んでいた我愛羅君が瞬身の術で駆けつけてきたのであった。
いっそサソリみたいに笑い飛ばしてください……、そんな私の願いをよそに恥ずかしさで唸る私をさらに心配したのだった。



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