宝石とさよなら | ナノ


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「それじゃあ行ってきます」
テマリとカンクロウにはさまれた我愛羅の姉弟……風影一行を見送りに来た忍たちの邪魔をしないようにと、少し外れたところに避けている外套を羽織ったナマエは佇む。
こうやって赤毛の彼が歓迎されているのを見るたびに密かに沸き立つ嫌悪感を抑え込みながら見つめていれば、同じく隣でそれを眺めていた――顔布で両目以外を覆い隠したサソリが肘で頬がひきつっているぞと突っ込んだ。
「っべー……、ありがとう」
「……まあ気持ちはわかるが、そう顔に出やすいと生きて帰れなくなるぜ」
元の世界にとサソリが言いかけたところでまさかの見送りが自分たちの目の前に現れ動揺する。

「お二人さん、風影様補佐よろしくね」
後ろの集団からの視線なんて感じてないとばかりに揶揄いつつそう言ってのけたチクマにあからさまに肩を落としたサソリ。
チクマが目の前に現れるたびに同じような行動をとるサソリに苦手なのかと聞いたナマエの言葉にさらに吹き出しそうになる口元を抑えてチクマがナマエの手を強引に開かせて巾着を持たせた。
「ちげぇ、俺はババアみたいに眼鏡女を嫌ってはねぇが気が抜けるんだよ」
それと普段からぺちゃくちゃ煩ぇと耳朶を掻くサソリはここぞとばかりに文句を垂れ流すがその双眸から向かう視線はナマエの手に置かれたものに注がれていた。

「これ造血丸とチャクラ増幅丸、一時的なものだからただの保険だと考えといて」
本当は自分が行ければ里とも細かく通信取れていいんだけど、今私はおとなしくしといた方が無難だからさと肩を竦めたチクマに無茶はしないでほしいとナマエが自身の肩を指で叩きながら眉を寄せる。
知ってたんだと目を丸くしたチクマがサソリがしゃべっちゃったのだろうかと目線をよこしたが、それから逃れようとサソリの目線は明後日の方向へと飛ばされた。


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