宝石とさよなら | ナノ


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木の葉に暁の襲撃があったらしい。だがナルトもリーも、火影も里の人間も誰もかもが無事なのだと、我愛羅はそう告げた。
そんな異常な事態だけに、さして被害もなく実に平和的に終わってしまった事件に理解が及ばず混乱して顔をしかめた元構成員のサソリと元一般人のナマエとの反応の差が目立った。
それはよかったと喜ぶナマエの後ろで険しい顔をしたままのサソリに壁際に寄って目を瞑り静観していたシュデンが視線をよこす。

「元構成員としても違和感があるんだな?傀儡人形」
「そりゃな。おい我愛羅、奇襲を仕掛けてきたのは誰だ?」
サソリの問いに安堵を前面に押し出し笑顔を浮かべていた我愛羅から一変至極真面目な顔を作りナマエの隣に立つサソリへと向けると「ペイン、と呼ばれた集団……と書いてあった」と文の文字を目で追いながら答えた。
誰も負傷をしなかったということでハッピーエンドじゃないかとおかしさに気づかなかったナマエだけがきょとんと三人へと順に視線を送れば「そうもいかねぇんだよ」とやはり呆れた表情を浮かべてナマエに返した。

お前たち側が知ってるメンバーをあげてみろといったサソリにナマエが各国から取り寄せた暁に関する資料にあった重要人物の名をあげていく。
抜けた大蛇丸は別として、サソリから始まりリーダーであるペインの集団。データベースにない植物の生えた男と名前がわからないオレンジの面を付けた男まで、暁の特徴である黒い外套を身に着けた忍たちを連ねていけば、な?おかしいだろとやはり核心に触らず繰り返す。
だが今までそういった事項と一切かかわらない生活をしてきたナマエにはやはりサソリが何を言いたいのかわからず戸惑い声を漏らせば見かねた我愛羅が助け舟を出した。

「なぜ尖兵でなく総大将が出てきた?半分落としはしたが最近新しく目撃情報の上がっている面の男も増えた。勧誘できてもいるしそれほど緊迫するような状況でもない。まだ使える人間はいるはずなのにペインはそれを用いずに来た」
総大将がやられれば、志半ばになることはアカデミー生でもわかる。それに暁は世界中で指名手配をされているほどの犯罪組織だ。
だから普通は総大将が表に出てくることはまずないんだ。それも最終段階でもなく材料集めの時期に。
何よりへまをすれば組織そのものが傾きかねないと身をもって知っている我愛羅が捲し立てる様に述べていけばはっとしたようにナマエは眉根を寄せた。

「……つまり、暁の本当の親玉は別にいる?
ナマエの言葉にそういう疑惑が湧いたと赤毛二人が頷いた。


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