宝石とさよなら | ナノ


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「やー五代目!良く帰って来たね!仕事がたまってるよ!」
奇襲を受け凄惨な状態だったそこもすでに片づけたのか、綺麗な状態の見張りの壁からチヨのように飛び降りてきた眼鏡の女が門をくぐろうとした自分たちに第一声として浴びせた言葉に我愛羅はうんざりしたようにごちた。
流石に休ませてやれと突っ込もうとしたナルトに「煩ぇ、救世主は黙ってろ!」と怒っているのかよくわからない呼び方で一喝され呆然とし白目をむいた。
何だこいつは……、もっと風影の事を労わるものだと思っていたナルト達が呆気に取られている間、チクマの後をついて来ていた大男事テッカンがうちのモンがすまないと眼鏡の女の頭にその無骨で大きな手を広げ指に力を込める。
「いたたいたいいたい!やめろ割れるテッカン!」
「一応こいつもこのように風影様のご帰還を嬉しがっている、連日徹夜でハイになっているだけなんだ。許してやってくれ」
ああ、そうなんですか……、一気ににぎやかになった出迎えの忍達の間から飛び出て来た一番小さい忍が我愛羅の身体へと突進してくる。

病み上がりの我愛羅の胸に抱きついたかと思えば縋るようにして「ご帰還お待ちしておりました、ずっとずっとお待ちしておりました」とまるで主人の帰りを待っていた犬のようにワンワン吠えている。
木の葉の青い猛獣たちとベクトルは違うもののなかなかに濃ゆい出迎えにドン引きしたナルトへ「オレの部下達だ」と我愛羅はシュデンの頭を犬にするようによしよしと撫でながらその手に握っている書類を貰い目を通す。
一通り読み終わるのを待ってからシュデンが胸元で顔を摺り寄せ「皆様の宿を用意しておきました、あと火影様にも連絡入れておきました」と上司へ教える。
「だそうだ、今日くらいは泊まって行ってほしい」
「……そうだな、情けないことに“カカシが”動けなそうだから一晩お邪魔しても良いか?」
「ガイ、お前なんでいちいちオレの名をあげたの?必要ないよね?」
オレ達は別に疲れてないからなぁと顎を擦ったガイの後ろで手首が外れそうなほどに左右へ振る紅一点の班員にカカシは深くふかぁく同情した。


湯の国でなくともそれなりの温泉は出来るもので、要人用の砂で一番高級な宿の部屋に案内されていった木の葉の六人はそれぞれ休憩を取っていた。
汚れて傷の出来た身体を癒しに浴場へ向かおうとしていた女子二人とばったり出くわしたリーが近寄ってくる。
一瞬身構えたサクラだったが普通に気のいい挨拶をするとテンテンにもう一人の班員のネジがいないのだと告げる。
「ようやく気づいたのアンタ……」
「ハイ、ガイ先生はまだみたいですが……。それにナマエさんも一緒に戻って来てないですテンテン」
「先生……。我愛羅が起きた時にナマエさんを遠くに見つけたネジがついているわ。そのうち戻ってくるとは思うけど……」
師匠が亡くなったのだ、今はそっとしておこうよとやんわりと諭せば太い眉を八の字にしそうですねと苦い表情であったが笑みを浮かべた。



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