宝石とさよなら | ナノ


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「うそ…」
「嘘言ってどうするんですか、メリットのない」
そもそもがこの世界の人間じゃないこと、そして身体が死体で出来てるから痛覚が鈍い事も教えずただ“呪い”をかけられたと例える。
彼には彼女が自分たちと同じだという事が信じられなかったらしく何度もナマエのタオルケットをかけられた全身に目を這わせる。
我愛羅が見ていたら殺されていたかもしれないがそこは彼の兄姉とシュデン達に任せているからちゃんと業務をやっているだろうし気にしなくてもいいだろう。
手術が終わったら呼ぶ事にしておいたから吹っ飛んでくるだろうが。今のうちにもう少しナマエをダシにして未来の大名様を調略しておくか。
一定時間ごとにナマエのモニターを確認しているマタンの策略にまみれた言葉をそのまま受け取ったタンゲは、より馴染むように切り開かれている肘から先を見ないように顔をそらしながら何かを考えているようだった。
泡立つそれを気にするタンゲに「弄ると複製が遅くなるから」と注意しちょうど通路を通りがかった医療班の一人に我愛羅の呼び出しを頼む。
雇われた忍の一人が大名を呼びに行ってるようだからそちらまでわざわざ行かせなくてもいいだろうし。
マタンは手術で使ったメスをトレーへと戻しぐったりと体力の奪われているナマエを無理矢理起こしにかかった。後でたっぷり寝ていいからちょっと調略に乗ってくれ。


我愛羅は上役たちとの定例会議の間中ずっとナマエの事を考えていた。
結局あの日、兄のカンクロウは見つからず、すでに任務から帰ってきて睡眠を貪っていたテマリを叩き起こしたのだった。
守鶴の力をほぼ完璧にコントロールできるようになったことを知っている為か、昔より遠慮のなくなったテマリが窄まった瞼のまま裏拳をかましてきたのでそれを砂で吸収し受け流すと再度同じ問いを投げかけた。
寝相も悪くないし大人しくしていればそれなりなのに凶暴さが増しているのは頂けない。
血のつながった姉に対して失礼なことを考えつつものそりと半身を起き上がらせたテマリが目を瞑ったままだったが「詳細」と一言返してきたのでベッドに座らせてもらい短めに話し始めた。
「謝ればいい、か」
簡単に言ってくれる。ナマエならそれだけで元通りになるだろとオレの尻を蹴り落とし剥ぎ取られていた布団の中に再び潜り込んだテマリを思い浮かべた我愛羅は小さく言葉にしてしまっていた。
背後に立つシュデンがサポートをしてくれるから会議が進んでいるものの話半分の自分をたまに刺す視線が痛い。
仕方ない、ちゃんと話を聞くか。そう我愛羅がギアを変えた瞬間会議室のドアがノックされ若い医療忍者がオレの事を呼んだ。


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