宝石とさよなら | ナノ


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つまりこの資料に載っている依頼は風影本人からのもので、彼が負担するという事なのだろう。
ケタが違うのも納得した。風影の方はいくら金を積んでも絶対に任務を遂行してもらいたいというわけだ。


「溺愛……ね」
支給された上忍用ベストを着て綱手様のいるところへと向かう。
暗部としての名前と顔を一時的に捨て、風影と木の葉の不穏分子を錯乱させるためである。ああナマエという女性もその対象か。
しかし少し大きいんだが予備はこれしかなかったのだろうか、後でサイズの合ったものと変えてもらおう。

資料にある様に女性が風影の監視の元、母親代わりとしてひと月ほど我愛羅を育てたのだという。
里の人間の一部がべったりと言う証言をしている。出生からして愛に飢えていた子だろうが、それは母子の情にとどまるのではないのだろうか。
ファイリングされた資料を持っていくべきか悩んだが、ああここにいましたかと少女が自分によってきた。
任務を言い渡されたとき、資料は目を通したらサクラに渡せと言っていたのを思い出した。彼女は確か綱手様の弟子だったか。
それじゃあよろしく、と引き渡すとちょうど綱手様に呼ばれた。
待機していた自分が中に入ればギリリと悪人のような目つきで睨まれる。
男か、なんて心中がここまで聞こえてきそうだ。ああこれは、確かに過保護で盲愛ですね……。
ナマエさんの方はよろしくと握手に応じてくれようとしたがその手を嫉妬の混じった気を滲ませながら叩き落とす風影様。
隣に座ったナマエさんとやらに窘められているがどうやら今の関係は彼女より風影の方が上なようだ。
第一印象を胡散臭いと評価された。多分紹介されたボクのプロフィールに関してだろう、なかなかに鋭い。


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