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天才とバカの境界線 03

「今日は屋上にするっ!」


気分屋な木兎が直前に決める昼食場所。毎回変わる事にももう慣れたからいちいち文句を言うやつは誰も居ない。言ってダダこねられても面倒だしな。
きっちりフェンスで囲まれた屋上は誰でも出入り自由で中庭と同様、人気の昼食スポットだ。
夏じゃなければ


「・・・あっつ」


屋上のドアを開けた瞬間、日差しと照り返しの熱でこれ以上先へ進むのを躊躇してしまうほどの暑さ。それでも元気に飛び出していく木兎に皆付き合っちゃう辺り木兎に甘い。
これも木兎ならではなのか

とりあえず少しでも涼めるところへと、わずかな日陰を求めて裏へとまわる。それでも高く上がった日差しのせいで陰は少なく、円は無理なので壁にもたれて一列に並んで座ることになった。
弁当だったりパンだったりそれぞれ適当に部活の話をしながらとる昼食はあっという間に終わってしまう。勢いで行動する木兎は食べるのも早く「ごちそーさまー!」と言ったと思ったらすぐに動き出す。

ジッとしていられない子供か。
ただ動くと日陰から出てしまうらしく、どうしたら日陰から出ずに動けるのかう〜んう〜ん言いながら考え出した。


「日陰せめぇーつまんねぇー…あぁぁぁ!木葉のとこだけ日陰デカい!ずるい!」


壁にくっついたり床にくっついたりしていた木兎がいきなりこちらを指さしてずるいずるいと叫び出す。


「ずるいって…たまたまだろ。上に給水タンクがあるからで…」


と、壁の上にある給水タンクを指さそうと上を見上げた時だった。俺の視界に映るはずだった空と給水タンクは拝めず。代わりに見えたのは、広がったスカートと、生足と、薄い黄色の縞模様のパンツだった。


「あ・・・」


降って来た足は、なんとか俺の足をぎりぎり踏まない所へ着地した。


「おぉ!神業!私すげー!」
「いやいやいや!すげー危なかったぞ!!」


ゆっくり着地地点を振り返って自分をほめるセリフに思わず突っ込んでしまう。


「ってかまたお前か!!高宮!」
「あれ?えっと…木葉先輩!よく会いますねー」


それに皆さん一緒なんですねーと木兎に手を振ったりする高宮に脱力する。
踏まれるかもとか、パンツ見てしまったとか、ドキドキした気持ちがアホらしくなる。


「葵なんで降って来たんだ?!忍者の修行か!?」
「残念ながら忍者ではないんですよー、ほんと残念」


残念な意味が解らない。
木兎も本当に忍者だとでも思っていたのかなぜか一緒に残念そうにしてるし。


「はぁ・・・で、お前は何で上に居たの?」


ここの給水タンクへがある場所の周りには手すりが付いていないせいか、上る為のはしごは取り外され下の方に横向きでロックされているので使えない。それに壁の高さもそれなりにあり、木兎が本気でジャンプしてもつかまる事が出来ないくらいだ。


「ん〜そこに上れそうな壁があったから??」


至って真面目な顔で答える高宮に、全員の時が一瞬止まる。
やっぱこいつバカだろう。絶対みんなそう思ったに違いないと確信していた所にまさかのセリフが聞こえた。


「そうやって日常的に練習してるんですか?」


そのセリフを発した赤葦に注目が移る。
練習???


「高宮さんって、噂になってたクライミングユースの全国大会で1位だった方ですよね?」
「おぉ!先輩クライミング知ってるんですか!?そうなんですよー!1番取れましたー!」


すごくないですかー?と嬉しそうに自慢する高宮。


「なに?クライミングって!?でも全国一番すげーーー!!」


何のことか分かっていないのに全国1位に反応して騒ぐ木兎に、すごいと言われて調子に乗る高宮。
クライミングってたしか石みたいなのが付いた壁上ったりするやつだよな?あれに全国大会とかがあった事すら知らなかった。


「いや〜あまりクライミングってスポーツだと知られていないので先輩が知ってて嬉しいです!!」
「あまり詳しくはないけどね。1年にすごい子がいるって話聞いたことあったから」
「え?私噂になってたんですか?さすが私!やっる〜♪」


こいつは謙遜とかないのか。皆がスゴイスゴイと盛り上がっている中、なんだか俺は頭が痛く感じた。バカなのにすごい奴がココにもいた
そこのとに驚きだし、なにより信じられないって気持ちが大きい。才能なのか天性なのか…。あがいても自分ではどうする事も出来ない゛力″の持ち主に嫉妬してしまう。

いや、自分の努力が足りてないだけなんだが…


「去年、世界大会は惜しくも負けちゃったんで次こそ勝ちます!」
「世界!!葵すげーな!だから日ごろから壁とか登ってんのか!」
「いや、壁は見ると上りたくなるだけです」
「違うのか!おまえ面白いな!!」


そんなアホ発言を繰り返してる木兎と高宮を一歩引いてみてしまう。そんな自分が嫌になる。
ふいに何かの同意を求められたが、全く会話を聞いていなかった俺は曖昧に返事するしかできず、ノリが悪いとツッコまれる。


「木葉さん、何か考え事ですか?」


よく人を見ている赤葦に指摘されたが自分がへこむことをあえて言うつもりは無く。
またもとっさに出たのは言わなくていい一言


「あぁ・・・やっぱ今日のパンツは人に見せるもんじゃないな。色褪せてたし」


俺はパンツネタしか思い浮かばないのかと恥ずかしくなるが。

言われた本人、恥ずかしがるでもなく「だから今日はダメって言ったじゃないですかー!」とまたもやちょっとずれた抗議をしてくる。その発言じゃ今日のパンツじゃなきゃ見せるのかって話になるだろうが。


「見せない努力をしろ。でもって女なんだから可愛い下着付けとけ」


そう、なんとなく頭の上に手お置きながら言ってしまったら、高宮から不思議そうな目で見られた。

なぜだ?


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なんだろう。アホっこって書きやすいけど手が暴走して…
またもやパンツ(笑)
でもちゃんと終わる日は来る!はず!


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