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天才とバカの境界線 02

「あーーー!!そこのこの前パンツ覗いた人――!!」


その一言は朝練後、教室へ行こうとしていた俺に向かって2階の渡り廊下から叫ばれた言葉。
しかも指さし確認付きだ。朝の通学で人が多い所でなんて発言すんだ。
周りにいた部活仲間もギョッとした様子で俺を見る。

やべぇ、無視できねぇ。一瞬にして焦り、何か言い返さねばととっさに思い付きで


「何か用かー?水色のパンツ見せてきたやつー」


と、言わなくてもいいようなことを言ってしまった。


おかげで隣で木兎が「なになに!?木葉パンツ見たの!?」と興味津々にがっついてきてしまった。他のメンバーもニヤニヤ見て来るし、赤葦も止めないし。むしろ他の通行人からの視線も痛い。


「見せたんじゃないですー!不可抗力ですー!」
「じゃあ俺も不可抗力だろ」
「あ、そっか、そうですね」


言い訳を叫ぶなんてカッコ悪すぎると思っていた所に丁度いい発言をしてくれる彼女。誤解が解けたのか立ち止まっていた通行人は再び動きを取り戻してくれた。

とりあえず助かった。
木兎がどういうことだ?と首をかしげているが無視。ここは赤葦が止めてくれるようだから任せよう。


「そんで?俺に何か用かー?不可抗力だからこの間のは謝らないぞー」
「いやー、この間友達が酷いこと言ったなーと後から思って…先輩なのにすみませーん」


先輩じゃなかったら言ってもいいのか?相変わらずツッコみたくなる発言だかそこはまぁいいとしよう。それよりも


「別にいいけど。お前の今日の呼び止め方の方がよっぽど酷いけどなー」


危うく犯罪者扱いされる所だ。
だが彼女は何のことだか分かっていならしく「はて?何かまずいこと言いましたっけ?」と首をかしげている。少し考えればわかる事だと思うが…なんだこいつ、バカなのか?


「ねぇねぇ君だれー??俺3年の木兎ー!」
「お?先日そこの先輩にパンツ見せた1年の高宮葵でーす!」


どんな自己紹介だよ!!!ずっと相手にしてもらえなかったのが耐えられなかったのか、なぜか木兎が自己紹介を始めてるし。


「木葉と何があったのー?あ、木葉ってこいつね、俺と同じ3年」


そういって俺を指さしてから、それでそれで?と急かす。


「いやー、中庭に木葉先輩が居たのに3階から降りちゃっただけですー」
「え?3階から中庭?階段?それでパンツみれったっけ??」


明らかに説明足りてないし、木兎はショートしてるし。


「あいつ、3階の校舎の窓から壁と排水管使って中庭に下りて来たんだよ。制服で」
「あぁ、それは見えますね。下に居たら」
「え?外の壁をってこと??なにそれ?!すっげーー!!!忍者?!」


補足として俺が付け足した言葉で、赤葦は納得してくれて、木兎は目をキラキラさせて彼女、高宮を称賛した。
ちなみに他の奴はおいしい奴!と羨ましがっている。


「すごいですかー?ありがとーございます!!壁上るの好きなんですよー!」
「まじですげー!俺もやりて――!」
「あ!やってみます??この渡り廊下とかもけっこう攻略し甲斐が有って…」


と木兎に乗せられたのか渡り廊下の手すりへと身を乗り出そうとする高宮。やっぱこいつバカだろう。


「おい、今下りて来たらまたパンツみえるぞ」


今日も制服なんだから。
今気づきました!って顔をした後、ちょっと考えてから上げかけていた足を下す。何の間だよ。


「危ない!今日は可愛くないパンツだった!!」


ちょっと考えたのはそこか!!!


「木兎先輩すみませーん!今度ジャージの時にでも一緒に上りましょー」
「おー!楽しみにしてるー!」


おー!じゃないだろ!木兎も気にしろよ!!
だいたい壁は上るものじゃないだろ。


「木葉先輩もよかったら一緒に上りましょーねー!」


そう言って手を振ってくる彼女にもはやツッコむ気も失せる。


「気が向いたらなー」


さらさら上る気はないが。
バカ同士、息が合うのか木兎と楽しそうに約束をしている彼女を呆れた目で見ているのは決して俺だけではないと思う。赤葦は何か考えているようだが…木兎を止める術だろうか。


キーンコーンカーンコーン


騒ぎ過ぎたのか朝の予鈴が鳴り響いた。


「やばい!!こっから1年の教室遠い!!」
「葵急げ―!ぶつかるなよー!」


知らぬ間に名前呼びになっている木兎が笑いながら手を振る。
というか、俺らもあまりのんびりしてられない。


「高宮ー!とりあえずあんまりパンツパンツ言うなよー、女子なんだから」
「高宮さん、また。木兎さん!俺たちも急ぎますよ!」
「あぁぁ!やべーー!俺、日直だ――!!」


最後まで騒がしい木兎は叫んだと同時にダッシュで駆け抜けていった。
それをいつも通り呆れて見送り、俺たちも教室へと急ぐ途中


「高宮さんって・・・もしかしたらすごい人かもですよ」


そういうだけ言って2年の教室に向かう赤葦に思わず立ち止まる。


「ちょ!おい!何がだよ!」


俺の叫びは足早に去っていく赤葦に届いたにもかかわらず「またお昼にでもー」とだけ言い残し消えて行った。なんなんだよ…。

確かに壁上るとか普通じゃないが、すごい奴ってなんだ。
とりあえず急ぐぞと猿杙に背中を叩かれ慌てて走り出し、何とか間に合ったが先生の話なんて耳に入ってくるわけもなく。赤葦から投下された思わぬ一言に俺の頭は高宮の事でいっぱいになっていた。

そして二度あることは三度ある?
またも高宮のパンツを見れるチャンス…って別に見たいわけじゃないが。

そんな機会が早くもその日のうちにやってきたのだ。


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やっぱりまだまだ続く。
パンツネタが書きたかったわけではないのですよ!!手が勝手に!!
とりあえず木葉が犯罪者にならなくてよかったー(笑)


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