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嘘から始めた真実 06

今まで告白されたことはあった。

でもそれはゲーマーな私ではなく、学校にいる優等生な私にだ。本当の私を知らない人からの告白に、素直に頷くことは中々できなかった。

幻滅されるのが怖かった

お付き合いしてみても、ゲーマーだとひた隠して、それが辛くなって別れる。そんな恋愛しかしたことがない。
今、生まれて初めて素の自分で誰かを好きになった。が、


「これからどうすればいいのさー!」


この年にして恋愛初心者は、あの奇跡のプールデート後も何のアプローチもしないまま夏休みへと入ってしまった。

テッちゃんには本当に感謝!話をちゃんと聞いてたら貰ってなかったかもなんて思っててごめんなさい。今になって本当にあのデートがあって良かったって思う。
なんせ高3の夏休みともなれば受験のための夏期講習などで勉強漬けの毎日。まぁ希望の大学がそこそこイイ所を狙ってるからってのもあるけど。しかも研磨くんも夏休みは合同合宿とかで部活漬けらしく、ゲームする暇が欲しいとぼやいていたほどだ。

私は研磨くんと会う暇が欲しい!!そう思うものの、偽りの彼女という微妙な立場では、偽る必要のない休みの日に自ら誘うなんて事出来ず…。考えても仕方ない!っと意気込んで勉強に励んだおかげで7月末には夏休みの宿題を全て終わらせ、過去問も二冊目に突入してしまった。

自分の真面目さが怖いわ。

研磨くんが合宿から戻ったら部活を見に行ってもいいものかひたすら悩む毎日。誘われてもいないのに行っていいのかな・・。研磨くんも私が受験生って立場を気にしてかあまりゲームの話もふってこない。今日からイベント始まったのにな…。
鳴らないスマホを見て深いため息をつく。

ここで一人で迷っていても仕方がない!行動あるのみ!


【忙しくて新イベ出来てないかな?限定キャラゲットしたよー!】


その言葉とともに、すでに最終形態まで育成させたキャラの画像を添付する。
デートの誘いとかできないところが小物感半端ないけどこれが精一杯。きっとまだ合宿中だから返事は来ないだろうと思い、再び勉強を再開させた。



ピロピロ〜ン

待ち望んだ音がしたのはすっかり日も暮れ、そろそろ夕飯の時間になろうとしている頃だった。


【相変わらず神だね。明日、昼過ぎにはそっち帰るから来てガチャ回して】


そんなメールに顔がにやけるのが自分でもわかる。明日会いに行っていいんだ。


【了解!音駒着く時間分ったら教えてねー】


舞い上がった文章にならないように注意し、メールを送信してからベッドで転げた。
やばい、思ってたよりもずっと嬉しい。別にデートに誘われたわけでもないのにこのはしゃぎ様な自分に笑えてくる。
いくら学校で毎日のように会っていたとはいえ、夏休み入ってからまだ2週間ちょっとだ。それでこんなにも研磨くん欠乏症ってどうなの。
ホント、このまま続けばいいのに。

願わくば研磨くんが私を好きになってくれたらいいけど、それは贅沢な望みだ。だから自分ではどうすることもできないこの関係を、今は全力で楽しむ。
そう決めた。


【後30分くらいで着くかな】


そんなメールをもらったのは15分前か。
朝から待ち遠しすぎて何となくお昼食べてからすぐに学校に来てしまった。もちろん研磨くんからのメールをもらった時にはすでに部室にいましたとも。誰もいないと思っていたが、自主的に部活に参加してる後輩に涙が出て現在指導中だ。


「せんぱーい!時間まだ大丈夫ですか?コレって…」


そういって質問してくる可愛い後輩をついつい熱心に見てしまったのがいけなかったか…。
気が付いたらメールをもらってから40分以上経っている。


「やばっ!!過ぎてるっ!ごめん私もう行くねー」
「先輩ありがとーございます!彼氏さんによろしくです〜」


お礼とともに発せられた彼氏″の単語に少し顔を赤くすれば先輩可愛い〜とからかった口調が返ってくる。
そんな後輩から逃げるように部室を出て、裏の駐車場の方へ向かえばすでにバスからみんなが下りて猫又監督やコーチの挨拶を聞いているところだった。


「じゃあ今日は疲れてるだろうからしっかり休めよ!解散!」
「「「「アザーーーッした!」」」」


解散の合図でみんな雑談をする中、するりと輪を抜け出して来てくれる研磨くん。なんかテッちゃんにしゃべりかけられていたような気がするけどいいのか…


「よかった居た」
「あ、うん。ごめん部室で後輩みてたら遅くなっちゃった。おかえり〜」


あと久しぶりって手を振れば、すっと目線をそらされる。
あれって思ったけど、チラチラこちらを見ながら赤い顔で「うん・・ただいま」って返す研磨くんにキュンとしちゃう。普段のこの可愛さもあり、プールの時みたいにちょいちょい男らしい所も出すとか反則です


「ねぇ、さっそくだけどこれ預けとく」


そう言って差し出された研磨くんのスマホは、バスの中でやっていただろうかイベント画面になっていた。


「ん?回すだけじゃなくて?」


私が預かっちゃうの??
先程の挨拶で終わりかと思ったがまだミーティングでもあるのだろうか?そんな疑問は研磨くんの深いため息と、ニヤニヤしながら近付くテッちゃんによって解消された。


「リア充中の研磨く〜ん。もちろん俺たちにも付き合ってくれるよね〜」


そんなやらしい笑顔のまま、私にも「とりあえずお前も見てけよ。そんなに遅くなんねーし」と研磨くんの返事を待たずに私の腕をつかみ引っ張っていく。

研磨くんのスマホを持った私が連行されれば研磨くんも行かざるを得ない。先程のため息から、元より参加は決定されていたんだと推測されるけどね。

合宿帰りでコーチから休めと言われたのにもかかわらず、ほとんどのメンバーが自主練参加ってすごいよね。サクッと手際よくネットを張って、すぐに練習が始まった。

私は前のように舞台の上で練習を見ながら研磨くんのスマホをいじる。自分の引きが怖くなるが、せっかく限定キャラをゲットできたので地道にレベル上げをしておいてあげよう。ついでにイベステージも何度かやっておけば後で研磨くんが攻略しやすいか。

ケンマーのキャラは強いのでさほど集中してやらなくても勝てるから楽だ。熱心にゲームしている姿なんていくらテッちゃん達でも見せれないからね。あまり画面をみないでコートを見れば、なんだか皆前より動きが良くなった気がする。

心なしか研磨くんも積極的に動いてる??
一生懸命で、それでも楽しそうにバレーをする皆がすごく素敵に見えた。


「今日はこの辺にしとくか―」


テッちゃんの合図で練習が終わったのは、もう夕方になろうとしている時だった。日暮れ前なだけいつもよりましか。くたくたの様子の研磨くんがフラフラとステージまで来てくれる。


「お疲れさま。大丈夫?」
「大丈夫じゃない・・・それ進めたかったのに」


そういってステージにもたれるように座り込んでしまった研磨くんに笑い返し、私もステージを下りて隣に腰を下ろす。


「あ、コレ。ちゃんと限定キャラ出たよー褒めてー」
「え、本当に?・・・・葵怖い」


研磨くんが出せって言ったのに酷いと抗議をしながらスマホを手渡す。
レベル上げと、いくつかのイベ限定アイテムをドロップしておいたこともお伝えする。


「・・・葵すご過ぎ。お礼はこの間言ってたアイスでいい?」
「お礼なんて良いのに―と言うところかもだけどそれで手を打とう!」


本当は全然お礼は無くていい。でも、アイスを奢ってくれるってことはまだ研磨くんと居られるってことだ。


「しかしみんな本当にバレー好きだよね…。夏休みの宿題いつやってるんだろう」


そんな私の発言で、片付けが終わって私たちに絡みに来ようとしていたメンバーの動きがぴたりと止まった。


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ちゃんと構想は練ってあるはずなのに、指が勝手に…。
大まかなずれじゃないんですが余分が多くて中々話が進まず申し訳ないです。
いましばらく続くかと…


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