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嘘から始めた真実 03

口は災いの門って本当なんだね。


「マジで?!いつから!?おい研磨聞いてねーぞ!」


そう騒ぐテッちゃんに研磨くんが耳を抑える。あーもう、研磨くんも意味不明で困るよねホント。絶対「付き合ってないし」って言われるよー!その後なんて言おう…「って言ったら信じる?」とか冗談っぽく言う?冗談にするには間を取りすぎた?

テッちゃん並みにテンパってる私をチラリと見ただろう研磨くん。


「別に…一々クロに言う理由ないし」
「おい!言えよそれは!はー、ホント何なの?」
「まぁまぁ黒尾落ち着けよ。良いことなんだからさ」
「夜久お前落ち着きすぎ…て、マジ泣き中かよ。お母んか」


目の前で展開されていく会話についていけない。あれ・・?研磨くん、否定しなかった。助けてくれたの・・?


「だからお前、最近飯食ったら知らない間に消えてたわけね」
「なるほど高宮と会ってたんだ。ってことは1ヶ月くらい前から付き合ってたりする?」


研磨くんはいつもテッちゃんやヤッくんとお昼してたのね。あぁ、確かに2人もバレー部だって聞いたことあった気がする。運動部って話し合わないかもーって最初思ったな、確か。懐かしい話すぎて忘れてた。

私が回想している間にも、研磨くんは否定するでもなく「もうそんなに経つんだ」と紛らわし発言をしてくれる。うん。嘘も言っていないところがすごいです。


「でも一緒にいる所全然見たことないけどちゃんと会えてる?」
「心配どころが母親だな、夜久は。でもまー確かにほとんど俺らといるよな?」
「まぁ・・週に3回くらい昼に会うくらい。あとはメールしてる」


研磨くんが何を考えて言ってくれてるのかわからないけど、今は本当に感謝!私、、、何も言ってないのにどんどん話が進んでいくよ。明日なんかお礼しよう。


「少ねっ!研磨お前男だろーもっとイチャつけよ」
「・・・クロきもい」
「これが健全な男だっつーの。なあ?」
「いや、俺にふるなよ。でも付き合ってるならもっと2人の時間も大切にしろよ?」


お昼ぐらい毎日一緒に食べれば?なんて気遣った発言をしてくれるヤッくん。
ありがとう、うれしいよ。本当のカップルだったらね。


「いや、でもお互い今までの付き合いもあるし…」


そう断ろうと思ったのに、なぜか後ろから「私らの事は気にしないでおふたりでどーぞ―!」なんて声が飛んでくる。もちろんその声の主はお昼を一緒に食べているメンバーで先程ニヤニヤしていた友達だ。

会話全てクラス中に筒抜けという事ですね。さっきの嫌な予感はあながち間違っていなかったってことか。良かったなと研磨くんの肩をたたくテッちゃんを見て、後に引けないと今更ながらに思う。

キーンコーンカーンコーン


「あ、じゃ・・・また明日いつものとこで」


そういって去っていく研磨くんを3人…いや、ほぼクラス中で見送る。その視線に、すごく居心地悪そうに肩をすぼめて歩く研磨くんに心の中で謝った。明日会ったら土下座しよう。

隣でやんやん言ってる2人を軽く無視して席に着くが、生憎逃げられるわけもなく。テッちゃん達だけに留まらず、友人たちに取り囲まれる羽目になる。
何で言ってくれないのー!とか、年下彼かわいー!とか騒いでる友達に愛想笑いで返し、早く先生来てくれと必死に願った。


◇ ◇ ◇


ピロピロ〜ン


昼間の出来事のおかげでぐったりしてベッドで寝ているところにメールが届く。
放課後も捕まりそうになり逃げたので、グループトークが炎上しそうな所をやっと落ち着かせたばかりだというのに…。今度は誰だろ・う・・な・・・・・・・っ!

けっ研磨くんだ!!
差出人を見て飛び起き、思わずその場で正座する。

テッちゃん達が意気揚々と怪しい笑顔で部活へ行ったので心配していたけど…。何か言われたかな?!やっぱ付き合っていないって言っちゃったかな?!大体いつもゲームの攻略話ぐらいしかメールをしていなかったけど、今日このタイミングでソレはあり得ないだろう。

震える指でメールを開く。


【葵が引いたキャラ、相当強くなった。明日見せる】


・・・え
これだけ?本当に?そう思っているところに続けざまに届いたメールに再度緊張が走るが


【明日は弁当持ってあそこでいい?クロとか色々煩いし】


一度フォルダーに戻ってから再度開いてみてみるが届いたメールはこの2件。問い詰められないのが逆に怖いんですけど何度読み返してもそれ以外の文なんて無くて。これが手紙だったらあぶり出しとか疑うレベルですよー!これは会って直接聞くってやつですか?

とりあえず了解メールを送るものの、不安すぎる。明日どうやって何を話そうなど一晩中ぐるぐると考えてしまって結局寝付いたのは朝方。ほぼ不眠状態で半日やり過ごしたにもかかわらず、全く眠くなかったのは緊張のせいか。授業中に寝れればよかったのにとも思うが。

いざ研磨くんと会って「やぁ」なんて訳のわからない挨拶をしたらやや間があったものの
「とりあえず飯食べよ。お腹すいた」と言われたので普通にご飯を食べてから、いつもの流れでスマホを取り出しアプリを起動する。
昨日のメールの通り、かなり強化されたキャラを見せてもらってちょっとテンションが上がってそのままゲームの話に発展。

あれ?結局今まで通り隣に座ってゲームをしているこの状況に首をかしげる?


「別に…いいんじゃない?こんな感じで」


そんな私をチラリとこちら見てから再び視線をスマホに戻し、画面を見たまま話しだす。


「葵ゲーマーだって隠してるみたいだから…詳しく言えなかったんでしょ」
「・・・研磨くんスゴイ。大正解です」


ゲーム中でも観察眼のある子だと思っていたけど本当によく見てる。具体的に隠してるなんて言ったことないのに。


「一緒にいるだけで恋人っぽく見えるなら・・・居ればいい」
「え?で、でも・・私とばっかいたら研磨くん困るでしょ?」


私は自分で蒔いた種だし、幸い好きな人とかもいないからいいけど。研磨くんに好きな人とかいたら本当に迷惑でしかないと思うのだが・・・。


「・・・別に。困ることないし」


むしろ、今更嘘ですっていうほうが困ると言う研磨くんに深く頭を下げた。どうやら想像通り、昨日の部活でテッちゃん達にいろいろ聞きだされたのだとか。
廊下では衝撃がデカ過ぎて忘れてくれるかと思ったが、結局なんでそうなったって聞かれてしまい、この時にはすでに何となく隠したほうがいいと思ってくれていたみたいで


『廊下で偶然会って、俺から声をかけた』


って言って、それはそれはみんなに驚かれたんだとか。私と話してただけで涙流すほど喜ばれるレベルの人見知りな子が、初対面の人に自分から声をかけるなんて…。確かに色々省くとそうなるんだけどさ。間違っていないんだけど…研磨くんの性格では無理がありそうな…。なんて思っていたらやっぱり無理があったようで


「ん・・もう説明するの疲れたから放置した」
「え?!大丈夫なのそれ!?」
「・・・・実際見なきゃ信じれないって言われるし」


そんなに!?すでに目撃者が2人もいるのに!?そんな子がこんなにも頑張ってくれたのかと思うと本当に頭が上がらない。
全力でお詫びして、迷惑かけないようにするね!という私に研磨くんはスマホから視線を外し、まっすぐこちらを見る。


「だから・・今日、体育館来て。葵、作品出来たから時間あるでしょ?」


恋人っぽくよろしくという研磨くんの目が力強すぎて、私はひきつった笑顔でうなずくしかなかった。


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こんな流れで偽りの恋人スタートです!
研磨がナンパみたいに声かけるとかありえなさ過ぎて信じてもらえない話ww
クロと夜久さんが好きすぎて沢山出てくる予定ですww


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