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嘘から始めた真実 02

「あれ?今日も頑張るの?」
「卒業制作ギリギリでねーごめんね」


そういって昼休みには席を立つ事が続いてしまっている。ケンマーこと、研磨くんと知り合ってから1週間のうちに3回は会ってるかも。
お互いのレベルややり込み度が似ている為か、研磨くんと話すのはかなり楽しい。根っからのゲーマーってやつですね。

放課後とかに会えたならいいのだけど、研磨くんも私も部活があるし中々時間がとれないのでこうして昼にアノ場所で会うのが日課と化している。さすがに毎日ってわけではないけどね。

ご飯を食べた後かなり早めに向かったのにもかかわらず、すでに居た研磨くんが私を見て手を上げる。


「研磨くん早いねー」
「そう?葵も女の子にしては早いと思うけど」


大体みんな昼休みいっぱい使ってしゃべりながら食べてるしと言う研磨くんは、その事に関してはあまり興味なさそう。それでも興味のない周りもよく見てるよなーと感心しちゃう。


「あんまりワラワラ群れるの好きじゃなくて」


実際、私もあんまり女の子特有の群れで行動するってやつがあまり好きではない。なんで興味無い物にも「かわいー!」とか同調しなくちゃいけないのかが理解できない。それよりも気の合う子と共通の話題をしたほうが断然楽しいに決まってる。


「それよりこれ見て!昨日ガチャしたら出た新キャラ!」
「え?それ出たばっかりの奴じゃん。ずるい」


すねながらも見せてとスマホを覗く研磨くんがちょっと可愛い。そう、可愛いのだ!

最初こそこの頭を見て不良かと思ったが、全くそんなことはなく。なんか黒髪でうつむいていたら目立つと言われたから染めたのに、余計目立つと言われてもう放置したのだとか…
その思考回路が面白い。

人付き合いが苦手そうでよく警戒しているくせに、気の許せる場所ではふてぶてしい感じがまさしく猫!猫好きの私としてはかなりツボってます。


「葵が神なの…運が良すぎるせいもあると思う」
「だから神じゃないって。そんなこと言うとケンマーも同じじゃん!」
「おれ、別にガチャ運良くないし・・・・葵まわして」


差し出された画面は、あとワンクリックでゲーム内ガチャが回せる状態だ。何となくその画面からいったん戻り、再度その画面へアクセスしてからまわしてみる。タップして変わった画面で放つ光に二人して「あっ」という声がハモってしまった。
いつもより神々しく放つ光の中から出てきたのは、新しくはないがかなりレア度の高いキャラ。


「・・・これから全部回してもらおうかな」


又もすねた様な口調で言うわりに、ウキウキ顔で手に入れたキャラを強化する研磨くんに声には出さないように笑ってしまった。きっと研磨くんにはバレてるけどね。


「たまにならいいけど自力で頑張れ〜」
「・・・ケチ」
「あっはは!何と言われても甘やかさないんだから」


出会って1ヶ月も経っていないのに互いにだいぶ打ち解けているのは、やっぱりゲームのおかげだと思うとゲーマーも捨てたもんじゃない。ゲーム内の情報交換以外にも部活の話をしたりして、いつもあっという間に休み時間が終わってしまう。


「今日はちょっと3年の教室行くから。早めに切り上げる」


もうすぐで予冷が鳴るかなって時に不意に研磨くんが立ち上がる。


「あら、こっち来るの珍しいね。先輩からの呼び出し?」


違うと思いながら言ってみたセリフは「だったらわざわざ行かないし」と予想通りの返事が返ってくる。


「・・辞書、貸してたのに返ってこないから」
「それは大変。その人いなかったら私が貸そうか―?」


もうすぐ予冷鳴るし居るとは思うけどと付け加えると、少し考えてから「葵に貸してもらう」との返答が返ってきた。なに、その人いない確率高いの?不思議に思いながらも貸すことに何ら問題はないので一緒に教室まで歩く。


「そういえば葵って何組??」
「あー言ってなかったね、5組だよー。」


そういった私に、研磨くんがあからさまに嫌そうな顔をした。


「え、うちのクラスに嫌いな人でもいた?だったら当初の予定通り返してもらいに行く?」
「・・・いい。行先一緒だし」


なんだ、うちのクラスの人が借りパク中なのか。そういえば研磨くんはバレー部って言ってたっけ??男子ともよく話すけど誰がバレー部だったか覚えてないなー


「貸したの部活の人ー?」
「そう。借りたこと忘れてない癖に返さないからたちが悪い。きっとまた使うつもり」


それはもはや泥棒ですよ。そんな人いたかなと考えているうちに教室へとたどり着いてしまった。


「どう?いる―?」
「・・・・はぁ、やっぱいない。葵貸して」


やっぱりなんだ。でもため息ついたわりには安心した顔をしてる気がするのは気のせいかな?
とりあえずちょっと待っててねと言ってロッカーへと向かう。

途中で友達がニヤニヤこっちを見てる気がする…めっちゃする。何か用かと近づこうとしたが、早くあっちへ行けと研磨くんのほうを指すので気になるが仕方なく「あとでね」と返す。嫌な予感しかしないそう思いながらも研磨くんへ近寄ると、あちらも誰かに声を掛けられているようで後ろを向いていた。


「研磨くんお待たせ。目的の人帰ってきた―?…って、テッちゃんとヤッくんじゃん」
「葵2人と仲いいんだ」
「無駄にしゃべりやすくてねー。あ、はいコレ。どうする?返してもらう?」
「いい。どうせまた貸すことになるし。葵にもまた明日会った時に返せるしね」
「確かに。…っで、なんでテッちゃんは無言で人を指さしてるの?ヤッくんなんて泣いてるし」


あまりにも静かだと思ってみれば2人ともおかしすぎる。しばらく反応のない2人に研磨くんが盛大なため息をついた。なに?今どういう状況になってるの?


「な、な、な、なんでお前らが仲いいわけ?!」


まだ指を刺したまま、盛大に驚いた声を発するテッちゃん。


「・・・クロ噛みすぎ」
「え?仲がいいと驚くことなの?」


確かに今まで接点ないけど。でも友達って突然なりますよね?多分。そんな漫画みたいに噛む人中々いないよ?


「いやいやいや、だってお前が俺ら以外と普通にしゃべってるの初めて見たぞ!!」


そんなにですか研磨くん!それは驚きすぎて噛むかも!ヤッくんが泣きながら「あの研磨が・・」って感動するぐらいの事だったのか!人見知りっ子だとは思っていたけどね。でも私には結構ぐいぐい来てた気がするんですけど・・。あれか、やっぱりゲームパワーか。


「なに?なんなの?お前ら何で仲いいの?」


高宮って文化部だろって聞いてくるテッちゃんに今度はこちらが驚く。

いつもなら棟が違うからすぐに別れてしまっていたので、人前で一緒にいるのは今日が初めてかもしれない。だからこの1ヶ月気にしていなかったけど、、、まさか仲良くしてるだけで理由を聞かれるなんて。隠れゲーマーとしてはゲームというワードは隠したい
そう思うと他に思いつくきっかけなんてなくて


「だ、だって・・・付き合ってるから!」


とっさに思いついた一緒にいてもおかしくない関係″はとんでもないセリフだったことに気づいたのは言ってしまった後。

テッちゃんの「はあぁぁぁぁあん?!」っていう馬鹿でっかい声が廊下に響き渡ってからだった。


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同じ趣味の仲間を見つけると親近感わいて仲良くなるの早くないですか??笑)

テッちゃん=黒尾鉄朗
ヤッくん=夜久衛輔
夢主は社交性あるようにしたかったので。
でもテッちゃんって書いてると某CMを思い出して笑えてきますww


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