■ 3


 デブはモノが小さいとかよく聞くが、こいつの場合は体の大きさに比して小さく見えるだけで、標準よりはデカイと思う。

 さらけ出されたモノは黒ずんでいて萎えていてもその重たげな質量を誇るようだ。
 むき出しの亀頭を突きつけられ、俺はベルトの上に張り出した須田の下っ腹に額を押し付けるようにしてそれを咥えた。

 両手を置いた太腿のたぷんとした脂肪の奥にある硬い筋肉を感じながら、俺は口だけで奉仕する。

 あっというまに勃起する雄に舌を這わせ、ぱんぱんに張っていく先端をしゃぶる。これが俺の中に入って来た時の充足感を思い出して、尻が疼く。

 途端に、限界まで我慢していた便意が更に刺激されて、俺は尻の穴からぬるい水が吹き出るのを感じた。

「んっ……ふ、っ」

 眉を寄せた声を漏らす俺を見下ろして、須田が笑う。

「お尻、震えてるね。漏らしちゃった?」

 太い指が尻を撫でる。
 オムツをカサカサと鳴らして撫でさする指が尻の谷間を押す。

「っふ、ぐ!」

 須田が体を前に倒しているせいで、俺の頭は須田の腹に押さえつけられている。

 咥えたまま出せないペニスに息を塞がれかけているのに、漏らし始めた尻を弄られて、動揺に鼻息がますます荒くなる。

「いま、出てるの?ねえ?」

 ぶしゅぶしゅと水気を吐ききって、出口まで降りていた糞が開いた穴からまさに出ようとしている。そこを須田がぐりぐりと押すものだから、出そうで出ないじれったさに腰がくねる。

「どしたの、腰振って。ウンコ漏らすのが気持ちいい?」

 そんな訳あるか、と怒鳴りたいが、口は塞がれている。

 おまけの直腸いっぱいに糞が詰まって、出口で塞き止められているのだ。男を咥えている感覚によく似ている。というか、あまり変わらない。強いていえば、ケツの穴を強引に押し広げる圧倒的な硬さが無いぐらいだ。となれば、尻に男のモノを咥える快感を覚えている前も反応してくる。

「ああ、なんか硬いのあるね、コレ」

 須田が嬉しそうに出かかっているクソを捏ねくる。びくん、と腰がはねた。出せない痛みと、出しかけている快感がせめぎあって、心臓がばくばくとうるさい。どうにかなりそうだ。

「んん、んぅーっ!!」

 手を離せと言いたくて、口からペニスを押し出したいが、頭を動かせず、舌で亀頭を強く押し捲り、膝の辺りを叩く。それでも一向に須田は体を起こさず、俺はとうとうカリの辺りに軽く歯を立てた。

「いっ! つぅっ!」

 須田がびくっと跳ねて上体を起こしたおかげでようやく口が解放された。

「あっ、はぁっ、はあっ、あぁっ……、あっく、……あぁっ」

 荒い息と共に、切羽詰った喘ぎじみた声が漏れ出た。そして、下からも、濁流のように糞便が吐き出され、俺は須田の太腿に縋りつく格好で腰を浮かし、排便の快感と羞恥に身を震わせた。

「亮平君、わざと噛んだだろ」

 うつぶせていた頬を鷲掴みされて、むりやり顔を上げさせられる。

「ぐっ…だ、って、お前がっ……」
「……いやらしい顔して」

 出したら出したで、腹が蠢いてきりきりと痛み、俺は眉間に皺を寄せて涙目だった。顔も真っ赤になっていただろう。須田が、目を細めてその俺の顔を見ている。いつもは柔和な顔が、欲に駆られた男の剣呑な凶暴さに染まる。細められた目が、舌なめずりする獣のようで、俺はぞくりと震えた。

 怖さではなく、浅ましい期待で。

「午後は、バイブ入れてあげるね、亮平君」

 須田が獲物を嬲るようにそう囁く。そして告げられたのは俺の期待を上回る、どころか望みもしない言葉だった。

「噛んだお仕置きに、黒いヤツいれてあげるから」

 俺は目を見開き、首を振った。

「やめ、冗談じゃねえ! あんなもん入れたら、仕事、できねえっ」

 黒いヤツとは、須田が持ってる悪趣味な玩具の中でも一番デカイヤツだ。おまけに振動も半端じゃなく強い。最弱でも膝が震えて立てないし、最強にされたらそれこそ一分も持たずにイキまくる。

「ダメ。おしゃぶりも満足にできないんじゃ、キツイお仕置きしなきゃ」
「須田っ、頼む、やめてくれ。他のにしてくれ!」

 なおも懇願すると、須田は笑みを浮かべて考えるそぶりを見せる。

「どうしようかな。……他のならなんでもいいの?」

 その意地の悪い問い方に、俺は答えに詰まる。

 何でも、の範囲が怖い。俺の予想もつかないモノを持ち出されたら、と思うと頷けない。

「ねえ、亮平君? なんでもいいの?」

 重ねて迫られて、俺は、躊躇いながらも頷いた。
 頷くしかなかった。





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