ぶらぶら、買い物を済ませる。
何をするわけでもなく、少女はついてくる。
話しかけても何も言わない。
笑うだけ、幸せそうに笑うだけなのだ





「すまなかったな」
唐突な謝罪の言葉に
「明日は雨だな」
と茶化すように答えてやる。少し強張った空気が和らぐ。
それを諭したように草むら鈴虫が鳴き出した。
あれから行く当てもなく、結局明良の家に戻ってきたのだ。
軒先で買った酒やつまみで話に花を咲かせる
他愛も無い話しをした。互いに怒ったり笑ったり。
空が夜に染まっていく。星が生まれていく。





「それで―――――っ……」

明良を見て、時が止まる。
後ろ、に誰か居る。少女じゃない、女性だ
明良を見てゆっくり微笑む



眼差しは、まるで




「聞いているのか、嵐?」
時間が流れたような感覚だった。

女性に視線を戻すと、あの眼差しのまま、
ひゅう、と吹く風に混じって 消えた 
それほど強くもない風
暖かい、でも不快ではなかった







カタン


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