第二十五章 奪還
第二十五章 奪還
広げた地図の上をイークの指が動く。
「グラミリオンの十八番を借りるようで悪いが、手隙になっている今を狙わせてもらう」
軽口を叩き、一同の笑いを誘った。
ザルマが用意した食事をかっこみつつ、王城奪還に向かうイーク、アス、ライ、ジャック、イルガリム、バーンは夕闇が帳を下ろす風景の中で、ランプに照らされた地図を見つめる。机を用意する手間も惜しみ、各々、正面玄関の階段に立ったり、腰掛けたりの作戦会議となった。
「王城へ直接入るのはここにいる六名、他の者にはハルアとロイの指揮の下、外からの援護を頼んでいる。ここまではいいな」
早々に食べ終えたジャックがしゃがみ込んで地図を見る。
「湖から?それとも迂回して?」
「アスラードは知っているだろうが、湖の近くに、昔、緊急時の脱出口に使われていた王城の地下牢に至る道がある。三人ずつに分かれた内の一つはここから入って玉座の間へ、もう一つは馬で王城の裏口から入り、陽動を行ってもらう」
「陽動で騒がしくなっているところを突くというわけだな。確かに、グラミリオンの十八番に違いない」
ジャック同様、食事を終えたイルガリムが皮肉まじりに言った。グラミリオンとの禍根がそうさせているのだろうが、緊張した場には丁度いい緩和剤となる。
「国軍のほとんどはエルダンテへ向かっているはずだが、こんな出入り口もあるものだから、リファムの西は弱点だと私は口うるさく言っていた」
今朝、イークが言っていた内容を思い出し、ライは言葉を次いだ。
「精鋭揃いってことか」
「そうだ。西には精鋭を固めて配置していた。その点についてはじじいどもも言及しなかったから、認める部分もあったんだろう。だから、その配置は殆どずれていないと考えていい」
「でも、ここにはその配置を考えた王様がいる、と」
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