硝子同盟

後日談


※未来。

――この度はショートさん、ヒーローネームさん、ご結婚、並びに妊娠おめでとうございます。
「ありがとうございます。あと、ふふ、妊娠はまだしておりません」
――し、失礼いたしました!
「いえ、お気になさらず」
――出会いはどのようでしたか?
「中学時代です。初対面で私がちょっと色々やらかしましてですね……。なんやかんやでお世話になるようになりまして」
「顔色悪いし覇気もないから放って置けなかったんです。個性も詳しいことは知らなかったですし……。放っておけない、と」
――ちなみにその“やらかした”とは?
「それはちょっと、ごめんなさい」
――ショートさんのどこがお好きですか?
「えっ、いやぁ、うーん……ぱっと出てこないんですが…………ぱっと出てこないです……。ちょっとお待ちください……」
――では、ショートさんはヒーローネームさんのどのようなところが?
「お互いヒーローなので、守りたいとかではなく……。そういう零か百かじゃなくていい、って考え方です。彼女が信じてくれるから俺も信じられます。だから背中を預けられる」
――ヒーローネームさん、まとまりましたか?
「や、優しいです。横顔とかも、素敵だと思います。月並みな言葉になり申し訳ございませんが、割と全部です」
「割と、ってなんだよ」
「だって、さすがに全部は無理だよ」
――プロポーズはどちらからでしたか?
「こいつからです」
「はい、私です」
「『結婚しないの?』って。雰囲気も何も無かったよな」
「自分の誕生石の指輪渡してくる人に言われたくない」
――指輪はちなみにどのような……。
「私がガーネットで彼がターコイズです。ターコイズは私の誕生石ですね。私がアレルギーなものですから、普段はアクセサリーをつけられなくって。でも記念に欲しいっておねだりしまして。偶然にもお互いの目の色によく似た色のものになりましたので、よかった、のでしょうかねぇ……?」
――今後のヒーロー活動についてはどのようにお考えですか?
「おそらく大きな変化はないかと。ね? ……って頷くだけじゃなくって」
「……はい、ありません」
――先ほどは早とちりしてしまいすみません、ご出産のご予定は?
「いえいえ、お気になさらないでください。子供につきましてはまだあまり。ノープランというやつです」
――今後に関する不安はありますか?
「勤務時間がずれてしまっているので中々ゆっくり時間を過ごせないことでしょうか」
「同居な訳だし、前よりは格段に会えるようになっただろ?」
「あぁそっか。不安ってほどでもないね。ないです。ごめんなさい」

――――ヒーロー・ショート、ヒーロー・ヒーローネーム、結婚記者会見。

2017/08/11

- ナノ -