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「…迷った。」 地図を頼りにしても分かるわけない。友哉が頼りない地図をガン見しながら道を歩く。 「あ、わりぃ。」 「ちょ、ごめんな。」 「いて、すまん。」 なんて、 人にぶつかっては軽く謝ってを繰り返していたら、肩を思いっきり掴まれた。 「ん?」 「オラ、テメェ…ふざけてんのか…ぁあ?」 振り帰った先には不良らしき者たちが列をなして友哉を睨んでいる。よく見れば友哉がぶつかった人たちだった。 「……俺、迷子なんだわ。ここに行きてぇんだけど…知らね?」 普通の人ならこの人数の人に絡まれたら泣いて詫びるかするような場面だが、友哉にとっては別に普通の光景であり。臆することなく道を尋ねるという、何ともKYな発言をしてくれた。 「ぁあ?……ハッハハハハハ!自分おもろいやん、いいわ…連れてっちゃるで?」 「そうかそうか、サンキュな!」 と連れて行かれた先は廃墟。 「えー…俺、ここで下宿かよ……電気もガスも通ってねぇんじゃねーの?」 見るからに落胆している友哉。その周りを囲んでいく不良達。 「もう、帰っていいぜ?案内どーもでした。」 「ハァ?帰るわけないやん。自分をボコボコにするためにここに連れてきたんやけん。」 ニタリニタリと笑う。その言葉に友哉の顔も明るくなる。 「そうだったのか!?ッよかった、よかった!俺こんなとこに下宿しなくていいんだな!あー…よかった…。」 「なんや!?自分、置かれとる立場理解しとらんのんちゃうか!?」 的外れなことに喜んでいる友哉の姿を見て叫ぶ不良達。 「ハァー…ん?分かってるって、お前らを返り討ちにしたらいいんだろ?」 「なッ!?」 「お前らをのめしてもいいんだろ?喧嘩ってそういうもんだろ?」 「誰が喧嘩や、俺らはお前をリンチすんだよ。」 「リンチ、リンチねぇ…関東の方じゃー取り締まってたけど、こっちは…なぁ…管轄外だし。よし、俺が居る間は禁止ってことにしてもーらお。なぁ、ここの一帯しめてるやつは誰だ?話があんだけど。」 「おどれ、調子こくなや?誰がよそ者なんぞに教えるか。」 「だったら俺がお前らを一人残らずボコッたら教えてくれるな?」 「ハン…やれるもんならやってみぃや!やっちまえー!」 「「「いてこましたるぁあああああ!!」」」 襲いかかってくる不良達。 「ッハァ!久しぶりの大乱闘ってかぁああぁあああ!?」 何かを殴る音が廃墟の中で反響した。その音は途切れることはなく鳴り響いた。悲鳴なんてものは聞こえない。あげる前に潰されているから、 時には金属音が聞こえた。そんな金属音はすぐに消えていたが。そして鳴り響いていた音が止んだ。 今度は静かになってやっと聞こえるような呻き声たちで覆われた。 「あー…しゅーりょー……手ごたえがまるでナッシング。お前らイップスでも食らってたのか?…んなわけねぇよな。」 「グッ…ゥ……。」 「お前ら下っ端の下っ端の下っ端の下っ端のパシリか?俺の自称舎弟の方が強えんじゃねーの?」 転がっている奴に問う。 「アホな、事、言ってんじゃ…。」 「よし、喋る力はあるな。さぁ、吐けここをしめている奴は誰だ?ぁあ?」 「誰が、教えッグハァ!」 口答えした奴を容赦なく踏みつけた。 「アッハハー、お前面白いなぁ…俺は教えろっつってんだぜ?喧嘩で負けたお前らに拒否権があると思ってんのか?」 「ガッァア!」 「よし、そのまま喋らないのならそのまま喋れない体にしてやろう。」 「ま、待っでぐだざい。言う、言うがら!」 「始めからそうしとけばいいんだぜ?」 さわやかな笑顔で友哉は語りかけた。ボコボコにされた不良達はその表情を見てさらに恐怖心が助長されてしまい、奥歯をガタガタ言わせながら答える。 「ヒッし、四天宝寺に居る!」 「四天宝寺だって!?マジでそんな学校あんだ…で?そいつの名前は?」 「知らねぇ…。」 「は?」 「知らねぇっつっとるんや!」 「…はぁ?お前何様?そこはすみませんだろうが。」 「うっさいわボケ!知らねぇもんは知らんのんや!そのお方は表に立って行動するのが嫌な方で、俺らの前には現れたことは無いんや!俺らの兄貴達の前ぐらいにしか現れんのんや!」 「ふーん…やっぱお前らは下っ端だったか。雑魚臭がすると思ったぜ。 …だったら伝えな。よそ者がお前に用があるって言ってたってな。朝一だ、明日の朝一で伝えろ…いいな?」 転がる不良を放って友哉は再び下宿先を探し始めた。その辺のおばちゃんに聞いたら案内までしてくれた。友哉は案内してもらった先がただのアパートでかなり安心した。 |
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