俺と僕とそれから | ナノ


03


朝、早めに起きて身支度。立海の制服をいつものように着崩して。自分が交換転校生という自覚はまっっったく無いらしい。

「さて…地図を頼りに学校に行こうかな。」

迷った教訓はいかされた。迷う前にその辺りに居る人に聞けばいいと友哉は学習した。そして目的地は学校。つまり学ランの人だったらパーフェクトにたどり着くだろう。

「そこの学ランの奴!」

「なんや?」

「俺、ここの学校に行きたいんだけど、どう行けばいいか知らねぇ?」

友哉は持っていた地図を学ランの人に手渡した。

「…これ、俺の行っとる学校や。一緒に行くか?」

「お、いいのか?サンキュー!」

これで迷う心配がなくなった。迷う心配もなくなり、そしてこれからお世話になる学校の人と分かると簡単にコミュニケーションを図ることにした。友哉の見た目はちょっっとだけ怖いが、話してみればただの男子で、話しかけられた彼は初めこそ驚いたが、普通に会話を続けた。

「なぁ…自分、それ立海の制服やんな?」

「おぉ、よくわかったな。有名なのか?」

「当たり前や、立海言うたらテニス部全国二連覇しとるやん。知らん方がおかしいで、」

「あー…確か三連覇目指すって言ってたな…。」

「……自分、もしかして…立海から来る交換転校生…か?」

「今頃気づいたのか?じゃねーとわざわざ立海の制服を着て来るわけねーだろ。」

「ただの転校生か思うた。…やって自分……やんちゃしいに見えるやん。」

「俺は、その今回本当は来るべき奴の代わりに召喚されたんだよ。…逆らうわけにはいかねかったんだよぁ…。」

「やんちゃしいなら、忠告しとくわ。俺の学校この一帯をしめとる奴居るから喧嘩は売らん方がええで?」

「もう知ってるぜ?名前は知らねぇけどな。」

「まぁ…知らんやろな。あいつそんなキャラちゃうかったし。」

「へーん…。ん?もしかして俺の行く交換先って…あれ?」

「四天宝寺中やろ?……あ、あれや。あの学校。」

指差された先を見るとなんとも特徴的な門が見えた。紛れも無く、あの門。

「ッ!?…あの門……!」

「おもろい門やろ。四天宝寺のシンボルやで。」

「すまん俺、先行くわ!案内してくれてありがとよ…えーと……。」

「小石川や。」

「小石川!?おまっ、そしたら忍足謙也って知ってっか!?」

小石川、テニス部の副部長の名前。もしかしてと思って謙也の名前を出してみた。

「ん?なんで謙也を知っとるんや?そいつやで?ここら一帯をしめとるの、ほらあいつや…見えるか?」

指を差されて見た先には謙也がテニス部に囲まれて何か話をしている。

中心にいて、笑っている。


「謙也…。」

「ところで自分の名前はなんなん?」

「俺…の名前は、守本友哉だ!」

自分の名前を伝えて門の所まで走った。

「え……守本、友哉?」

友哉が走って走って、謙也の元に向かう前に謙也の周りにゴロツキっぽい奴が集まっていた。

「守本の兄貴!」

「ゲ……なんなぁ?俺が呼ぶ以外は来んなっちゅーたやろ。つか俺友哉とちゃうて……。」

「一大事なんですぜ!昨日どっかよそ者が俺らの舎弟を全員のめして、兄貴に話があるって!」

「ハァ!?そんなのに俺巻き込まんといてや、これから朝練ちゅー話や。」

「兄貴はよそ者にここらを暴れさせる言ーんですか!?」

「…やったらお前らが、そいつ俺の前に連れてこいや。」

「そんな、無理っすよ!」

「そんなこと言う舎弟は切り捨てるで?」

「すっ、すみません!やけど、兄貴の耳にもそいつの外見は伝えておこうかと…。」

「…早よ、言えや。」

「脱色した髪に、ありえんぐらいメッシュが入っとって―――。」


「ねぇ、それって俺のことー?」

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