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「というわけで友哉、交換転校生になってくれない?」 「へ?」 友哉は幸村の病室に久しぶりに遊びに行った。そして他愛の無い雑談をしていた、とてもむちゃぶりな指令を幸村の口から発せられた。 「交換転校生として他の学校に行ってくれないかな?本来なら俺が行くべきなんだけどね。ほら、俺今そんな状況じゃないでしょ?だから代わりに行ってくれないかな?」 「ふっざけんな!それめっちゃ優等生が行くやつだろ!?そんなの柳とかに行かせろよ!」 「冗談言わないでよ。テニス部は今大事な時期だよ?そんなの頼めるわけないじゃないか。」 「…俺が交換生として言ったら立海の先公が泣くぞ。即効で却下だろ。」 「俺の意見を先生が却下できると思う?」 「…俺が、…却下してやる!そんな面倒くさいことできるか!」 「へー………うっゴホッゴホゴホ!」 幸村が激しく咳き込んだ。咳による気管への刺激で幸村の顔が歪む。 「ゆ、幸村!?」 「ううッ…あぁ、俺はもうダメかもしれない。そんなゲホッ、友哉…はそんな俺の願いを聞いてくれないのか?」 「幸村ー!……ってそんな茶番に付きあってたまるか。」 「チェー、騙されなかったか。」 さっきまでの苦しんでいた表情はドコに行ったのか。幸村はケロっとした表情に戻った。 「当たり前だ、何回お前はそんな手段を使ってると思ってんだ。」 「最初の方は騙されてくれてたのになぁ…。」 「過去をひっくり返すな、過去を。」 「じゃぁ…仕方ないな、ここはイップスで…。」 「ちょっ分かった!分かったよ!行けばいいんだろうが!チート技を使うな!そもそもそれテニスの技だろ!」 「フフッ承諾してくれて嬉しいよ。それに使えるものはどんな時でも使わないと…ね?」 「…ハァ、この俺をそんなパシリみたいに使うのは幸村だけだぜ?」 「褒め言葉として受け取っておくよ。じゃ、報告楽しみにしとくね。」 「はいはい、じゃ次は帰ってきたら来てやるよ。」 「友達少ないって暇だね。」 「酷いなそれ!」 こんな会話の後友哉は病室を出て行った。 「あ、行先聞き損ねた。まぁ知らなくてもいいか。。どうせ学校側が止めて行くことになんてなんねぇだろうし。」 学校に行くと教師が話しかけてきた。教師から話しかけてくることはとても珍しかった。何だろうと思っていると例の交換転校生の話だった。 本当に幸村、学校側に話を通しやがった。 あれよあれよという間に友哉が交換転校生として別の学校に行く日となった。出発直前になって行先を柳から聞いた、半分寝ていたため学校名はもう忘れた。覚える気もなかった。面倒くさいだけだったから。そして友哉は行く学校は関東地区のどこかだと思っていたのだが、予想を大幅に外れなんと大阪の学校。 「大阪の学校だなんて聞いてない。」 新幹線に乗り込んで、ぶつぶつ文句を言っている。ちゃっかり駅弁を食べながら、 「やー…そもそも俺が行っていいのかホントに、先公泣きそうだったじゃねーか。幸村も鬼だよな。あー…俺がここまで関東を離れるのも初めてだな。荒れるかー?」 少々縄張りのことについて考えていたが結局は幸村がどうにかしてくれると言う安易な答えにたどり着いた。 そして大阪に到着。 「久しぶりー!…になるのか?」 俺は一回大阪らしき所に来たことあるが…はてさてこの世界の大阪なのか、違う世界の大阪なのか。 幸村に話したら失笑されたしなぁ…結局は俺の夢オチって説が有力だしよ。 「とりあえずは下宿先に辿りくべきだよな。」 地図を取り出して下宿先を目指す。只今の時刻は午後6時。目印もだんだん見えなくなってきて迷うだろうなと予想した。 |
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