青春Wonder | ナノ


男になりまして


朝、滝に呼び出された。朝のSHRの前までに来いとのこと。何だろうと思ってノコノコ
訪れた。滝のクラスまで歩いて行った。それが事の始まりだった。そもそも滝の呼び出しなのだから、無事で済むはずない。

「「「キャァアア!!撫子お兄様ぁああ!!」」」
「「「うぉおおおお!!兄貴ぃい!!」」」

「ハハハ……ども…。」

撫子が今、男になっております。案の定、滝に妙な薬を飲まされ、男体化しました。

子猫ちゃんも舎弟も始めこそ驚きはしたものの、その変化を受け止めた。とりあえず、着替えだ。女子の制服のままで居たらただの変態だ。というより、サイズ的にキツイのだ。滝は親切に男子の制服を用意していた。それを着た。着るしかないよな。と言うか、それを着ろと言わんばかりの笑顔だった。

「あ…先生には何て言おう!?」

流石にこんな非現実的なことを先生たちが受け入れてくれるわけがない。撫子は真面目ちゃんで通っているのに、冗談では済まない。

「ああ、それなら大丈夫。僕が良いように言っといたから。」

撫子がその先生への言い訳で頭を悩ますよりも先に滝が全ての下準備を行っていたらしい。流石滝様抜かりない。

「ホント?」

「僕を信じてくれないの?」

「信じます、信じます。信じないわけなじゃないですかぁ。私は今日この姿で過ごせばいいんですよね、分かります。」

「うん、大丈夫。明日には戻るから今日だけ。実験は成功したわけだからね。」

「…何もかもが計画通り?」

「yes、計画通り。」

何もかもが計算尽くしの滝様、勝てる気がしねぇ。

撫子は全てを投げ出して、自分の教室に戻ることにした。廊下を歩いていると、廊下側の窓からたくさんの顔がのぞいていた。子猫ちゃん&舎弟共だ。

「「「お兄様ぁああ!!」」」
「「「兄貴ぃい!!」」」
「「素敵ですぅ!」」
「「かっけぇええ!!」」
「踏んでぇ!!」
「抱いてぇえ!!」

「どもども………っては?今、野太い声で『抱いて』っつった?」

決して子猫ちゃんの声ではなかった。

「俺っす!兄貴になら抱かれてもいいっす!」

別に名乗らなくてもよかったんだがな…。でもまぁ、…サービスしとくか?そしたらもっと社畜の如くパシられてくれるかもしれない。
撫子は発言した男子の前に行って、その男子の顎を片手でとらえた。

「ッ!?」

「ン゛ン……本当に、俺に抱かれていいの?覚悟、しとけよ?」

「グブフハァアッ!?」

男子は鼻から赤い液体をまき散らし、転倒。

「フッまたつまらぬものを斬ってしまっ……た?」

カッコつけて振り返ってみれば周りに居た人物たちが、倒れ込んでいた。流れ弾を食らったようだ。

「……俺、モテモテ?モテキ?…使用しない手はないよね?」

撫子はとてつもなく、ニヤリと悪い顔をした。色々な歓声を浴びながら撫子は自分のクラスに戻った。忍足が自分の席で何かの小説を読んでいる。

「おー、撫子おはようさん。なんや?今日は俺より遅いやん。」

本から目を離さずに、話しかけてきた。

「ああ、おはよう。」

普通に挨拶。しかし外見が男となり声帯も男仕様になっているため、普通に挨拶をしても忍足にとっては誰の声か分からないのである。

「ん?……ハァア!?」

忍足も異変に気付いたようで、顔をあげた。そこには撫子ではなく、美形な男子が居た。

「忍足、その態度は無いんじゃないか?」

「な、なっな?自分、撫子か?」

「当たり前だろ?…忍足、今日もかっこええなぁ。」

撫子は忍足の顔を捉え、顔を近づける。そして口説く。口説くことが撫子男verはデフォルトなのかもしれない。むしろデフォルトにする勢いである。

「な…あ、あ?」

うっとり顔な忍足。

「フフッ…俺のペットになってみる?」

「え、ええで?」

「んふ、いい子。流石俺の侑士。」

「「「きゃぁあああああああ!!」」」

もちろんこれはファンサービスの一環である。

よし、この勢いでテニス部おとそう。これでカテゴリ『撫子×テニス部』だ。俺総攻め、万歳。

放課後、テニス部部室。跡部がいつも座っているソファーに体を預けている撫子が居る。その横には忍足が居る。まるで執事のようだ。

「…お前、本当に椿崎か?」

撫子が男になったと言う噂はクラスが物凄く離れているA組まで通っていたようで、跡部が聞いてきた。

「ああ、俺は椿崎だぜ?」

低い、甘い声で囁くように返答。

「その口調止めろよ。アーン?」

「この外見で、あの口調は気持ち悪いと思うのは俺だけか?」

「俺が言っているのはその色のある声のことだ。」

「…ダメかね。」

「あぁ、ダメだ。」

跡部のその答えを聞いて撫子は浅くため息をついた。そして、ソファーから立ち上がり跡部を見下ろす。跡部の身長は175cm、撫子は元の身長+15cm、必然的に見下ろす。撫子は跡部の顎に手を添え、目線を上にあげさせた。

「本当に、ダメ?」

精一杯の色気を醸し出して言う。跡部の顔がボンっと音を立てて赤くなった。

「なッ…な、っか、勝手にしろ!」

「ありがとう。それでこそ景吾だ。」

シンプルによう言うと跡部は樺地を連れてどこかに行った。そして再び撫子はソファーに深く腰掛ける。

………やばい、楽しい。超楽しい。

「オイ、ジロー!兄貴が居るぜ!椿崎の兄貴が居るぜ!」

「わー!兄貴だー!あーにーきー!」

岳人とジローが部室に飛び込んできた。元々ノリのいい二人は撫子を思いっきり兄貴だと認識して飛びついてきた。

「二人とも、落ち着けって。」

軽くクスッと笑って二人の頭を撫でる。

「「兄貴ぃいい!」」

小動物は通常運転。

「すみません、跡部さんがものすごいスピードでどこか行きましたが………椿崎先輩?」

「鳳か、跡部のことはほっとけ。」

「放っておきますけど…。」

キョドキョドと挙動不審。何かを隠しているように落ち着きがない。ツッコミ待ちか?と指摘したくなるぐらい隠し事ができていない。

「…鳳、お前何隠してんだ?」

「いえ…別に隠してなんか……。」

フゥ…とため息を付いて撫子はソファーから立ち上がる。

「本当?」

鳳と視線を合わせて鳳の心の中を探る。

「…先輩、背大きいですね…。」

「女子の時の身長もデカいからな。」

「あぁ…先輩って男の演技上手いですね!」

「まぁ、色々男役やること多いからな。」

「えーっと…かっこいいです!」

「ありがと、」

「え、っえーっと…ぉ、あ!!先生が探してましたよ!先輩職員室へ…。」

「何先生?」

「あ…えーっと、その…の……。」

…なんだ?何を隠している?

撫子は目線を色々なところに回してみる。
左右上下前後。すると鳳は鳳の後ろを覗き見るような仕草をすると、肩を大きくはねさせた。

「ん?」

後ろと言えば、部室裏。
そして鳳がここまでして撫子の気を引いて無害なとこに連れて行こうと努力する理由は…。

「鳳、嘘がつけないって素敵だよね。…宍戸ォオオオオオ!!!」

撫子は叫んで部室を出た。叫びながらだったので、バレたことを知った宍戸が裏から他の所へと逃げ出していた。

「私の男体化した運動能力なめんなよ!」

持ちうる限りの脚力を発揮した。そして捕まえ、拘束。

「お前は化け物か!」

「ノンノン、何様俺様撫子様だ。後はお前で新ジャンルが完成するんだよぉ。」

ニヤァっと笑う。

「おまっそんな顔すんな!女だろ!?離せッ!」

少し、気まずそうに顔を撫子から逸らす。その反応は撫子にとってご馳走様です。

ムラァアっ!!

「……宍戸、お前って…絶対に左になれないな。もう固定していい?ホント、ヤバいぐらいムラムラするわ。」

「ムラッ!?おま、たたたたッ助けろぉおお!!」

ムラムラと言った撫子の目は本気だった。

「ウへヘヘ、助けはこねぇぜ!」

「のぉぉぉおぉおおおおお!!」

「椿崎先輩、いい加減にして下さい。」

「アベシッ!?」

新しく声がした。それからすぐに頭に軽い衝撃が走った。振りかえれば日吉の姿があった。どうやら日吉に頭を叩かれたらしい。

「ひ、日吉!?」

「ハァ…テニス部の品格を落とす気ですか?」

「…ごめんなさい。」

「日吉…助かったぜ。」

「まったく、あなたって人は、こんな外じゃなくてせめて部室の中でそんな痴態を晒してくださいよ。」

「痴態て…まぁ、そうするか。」

「え、日吉助けてくれるんじゃねーの?」

「先輩、俺に全くと言っていいほど害は無いんで助けません。」

「日吉…そのキャラ俺、嫌いじゃねーぜ?」

「…どうでもいいです。俺は先に部室に行きますから。」

「はいよー。さぁ、宍戸部室行こうか!」

「ふざけんなぁあああああ!!誰が行くかぁあああああ!!!」



――――――――――
200000hit企画第18弾
真理様リクエスト「青春主を男体化してキャラ達を攻めて欲しいです!キャラ達はイケメンな主に赤面で!」でした。

始めから男なのか、変化したのか…迷ったんですけど、とりあえずこっちにしてみました。
とりあえず練詠の考える青春の男主の場合は最強だと思っています。元々男勝りな性格な感じでしたし、パーツが整っている設定ですから、非の打ちどころはないかと…。後、変化男体化だったら「男にならなきゃ」というコス的な意識で妄想は抑え気味で仕草は一々かっこいいと思います。(きっとコスの職業病←)
始めから男体化はロリコンで犯罪臭がすると思う…。けど、イケメンだから許される。

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