10年前の世界から自分と仁王がやってきまして |
「ねぇ撫子。」 「ん?なんだい?」 「昔、立海の仁王君と険悪な関係だったんでしょ?」 滝はなんて懐かしい話題を持ち出してきているのだろう。今、立海と練習試合中だから思い出したと言うことがあるのかもしれないが、いささか撫子の黒歴史を引っ張り出してこなければならない事態でもない。 「……何故その黒歴史的な出来事を引っ張り出す?」 「だって、気になるんだもん。」 「だもんじゃねーよ。まぁ、確かに険悪だったよ。でも今思えばあれは険悪だったのか否か…。」 「だよねー、そうだよねー。確かめたいと思うよねー。ってわけで呼んでみた!じゃ、30分もしたら帰ると思うからそれまでよろしくね。」 元気よく宣言したと思ったらそれは撫子にとってはとてつもなく労力を要する事を滝は仕出かした。なんと、本当に小6の撫子と仁王をこの場に呼び出したのだ。 「なんでだぁあ!?うわ、小6の私ちっちゃ!って言うか小6の仁王テラ萌え!ちっちゃい!」 「わぁああ!?ここどこなんじゃぁあ!?うちのテニスクラブじゃねぇ!仁王、またアンタがなんかしたん!?」 「違う!俺はなんもしとらんぜよ!ここはどこなんじゃ!?」 いきなり呼び出された様だ。小6撫子と小6仁王。テニスクラブと叫んでいたのでここに呼び出される前はクラブでテニスをしていたらしい。ジャージ着ているし、ラケット持っているし。 「アンタ以外にこんなん出来る奴居るわけないじゃろ!?さっさと帰らせぇボケェ!」 「そんなん言っても俺のせいじゃなか!じゃから帰らせるとか出来んぜよ。俺だってこんな訳分からんところに居るとか勘弁じゃ…。」 「ざっけんな!どうにかせぇ!アンタが来てからうちはえらい迷惑しとるんじゃ!ぶっ潰されたいんか!!」 「椿崎は女の癖に乱暴な言葉づかいじゃのー。もう少しお淑やかにしたらどうじゃ。モテんぜよ。」 「ハッ、アンタの取り巻きと化しとる男どもにモテてもいっこも嬉しゅうねぇわ。つーかテメェのせいで私はこんなんなっとることが分らんのか!?」 「濡れ衣もええとこじゃの。」 「うちはアンタが来てから…独りぼっちになってしもうたのに……!」 「……。」 「仁王、ちね。」 「ぴっ…!?」 「………おぉぅ…。」 今では考えられない様な言い争いをしている二人。撫子は昔の自分はこんなにも口が悪かったのか、と頭を抱えた。 「のう椿崎?」 「うわ!?仁王いつの間に私の背後に!」 撫子が小6二人の言い争いに耳を傾けていたら後ろから今の仁王の声がした。 「昔のおまん、口悪いな。」 「…………ごめん。」 「まーくん傷ついたなり。」 「…だからごめんって!」 「ケロケロ。ほれ、坊主ちょうこっち来ぃ。」 謝罪をしてもらった仁王は得意げな顔をしてそれから小6の自身を呼んだ。 「…なんじゃ、兄ちゃん。」 「えっと…君もこっちおいで。」 「なんなん。…お姉ちゃん。」 撫子も仁王同様小6の自身を呼んだ。それから二人がそれぞれ向かい合って、それぞれの言い分を聞いてみることにした。今の二人はこんなにも険悪なものではないため過去のこんなにも険悪な関係を客観的に見て少々この状態はダメだと感じたのだろう。この険悪な関係を少しでも改善しようとしているらしい。 「のう坊主、その行為止めておいた方がええぞ。」 「…なんでじゃ。」 「黒歴史になって中3になったおまんはかなり恥ずかしい目に遇うぜよ。」 「お前、それは切実なる自分の願いだろ。」 「椿崎、おまんはちょう黙っとれ。」 「え?お姉ちゃんも椿崎って言うん?うちも椿崎なんよ!」 「うん、実はそうなんだよ。」 「へー、うち大きくなったらお姉ちゃんみてぇなナイスバディになりたいわぁ!」 「ブハッ!?それは、なんで?」 「だって仁王が私の事ペチャパイナポーとか言ってきたんじゃもん!」 「仁王テメェごるぁ!!テメェ、小6の女子になんて言う事を言いやがった!小6はロリ体型でいいじゃねーかゴルァ!」 「「すみませんでした。」」 仁王と呼ばれ、小6仁王も中3仁王も為咄嗟に謝ってしまった。 「よしよし、傷ついたねぇ。大丈夫、君は望むように成長するから。」 「ホンマ!?」 「だから仁王の発言には鼻で笑って見下せばいいのだよ。」 「ちょいちょいちょい、椿崎、それは改善と言えんじゃろか。」 「あれ、ミスったかね?まぁ、いいじゃん。どうせ今はこうやってつるめるような仲になってんだから。」 「まぁ…そうじゃけど……。」 「お姉ちゃんらもうちと仁王みたいに仲悪かったん?」 「うん、君達みたいに仲悪かったよ。だけど時間と私の友達が解決してくれたんだよ。だから今の君みたいな境遇も思い出として残ってる感じだから…今を楽しめよ、椿崎ちゃん。」 「…坊主もいじるのはほどほどにしときんしゃい。」 「プリ…。」 そろそろ30分が来る。二人は帰るだろうと思ったので二人を近づけさせておいた。 「ロリっ子がここに居ると聞いて来たでぇ!」 「「「!?」」」 しんみりと解決の方向に話が進み、あとは帰るだけと言った平和的な空気の中に忍足がその雰囲気をぶっ壊すかのように忍足が登場した。 「あ!?なんや撫子の小さい頃やんか!やっぱええな。そっちのが。ほれ飴ちゃん食うか?」 忍足はテンションに身を任せそのまま小6撫子に近づいて行った。 「ヒッ…なんなん、なんなん、なんなん!防犯ブザー!はっ!?ブザーは鞄につけとるんじゃった!」 身長178cm、モッサイ髪形の丸眼鏡を初めて見て、さらに飴ちゃんなんぞ言ったら確実に誘拐犯に見えてしまったようだ小6撫子。忍足に完璧に怯えている。 「な、なんなんじゃ!!おっさん!椿崎に近づくんじゃなか!」 「おっさんとかけったいな呼び方やな。俺はこれでも中3やからな。」 「そんなん知らん!椿崎を怯えさすんじゃなか!」 「に、仁王…!?」 小6仁王が小6撫子を庇って忍足を牽制した。庇われた小6撫子は信じられないといった顔をしながら小6仁王を見た。すると丁度30分経ったからか二人はスゥっと消えて行った。 「あ!?ロリが帰ってしもうた!」 「…イイハナシダッタノカナー?」 ――――――――― 500000hit企画第38弾 智弥様リクエスト「青春主で小学生の撫子と仁王/険悪な状態の二人に現在の二人はどうしようかと奮闘する話」でした。 小6主が方言バリバリなのは小学生の方が方言をよくしゃべるからと言うのと、小6はまだ先輩後輩が無いからタメ口で年上の人とも話します…よね? それから奮闘したのは仁王だけになってしまいましたねすみません…。主ももう少し奮闘するはずだったのですが、ね。あまり奮闘してくれませんでした。 最後に、忍足…ゴメン!! |
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