男になり立海へ行きまして |
「はー……もう慣れたと言っても、他校ではなー…ハァ……。」 只今平日の放課後。 撫子は立海大付属中学の門の前で仁王立ち。何故ここに居るかと言うとまぁ、部活の書類を持ってきたと言う…名目。幸村に渡せばいいだけなのだが、滝に要らないことまで命令されどうしようかと悩み中。 そうだ、ブッチしてやろうか。 「やぁ、椿崎さんだね?」 撫子が悩んでいると幸村が出てきてくれた。ブッチするといった行動をとることは一切不可能となってしまった。 「あぁ…幸村君、こんにちは。」 「はい、こんにちは。書類どーもありがとう。」 ニコリとほほ笑んで撫子から書類を受けとる。 「よし、ちゃんと渡した。じゃ、バイバーイ。」 「ねぇ、その格好でこの学校でやるべきことがあるんじゃないかな?」 「……アハハハー、やっぱり滝から連絡来てましたかー…。」 「来てるに決まってるよ。こんな楽しそうなこと。でも椿崎さんイケメンだねー。嫉妬しちゃう。」 そう、撫子は何回目かの性転換か、男になっていた。因みにちゃんと男物の氷帝の制服を着ている。 「ハハハハ、幸村君が嫉妬とか言ったら私死亡フラグしか立たないからやめてほしーな?」 「フフッゴメン。ホラ、早く滝君からの指名を遂行しないよ。俺は遠くから眺めて楽しんどくから。あ、ちゃんと椿崎さんが来ることは伝えてあるからコートに直行してもいいからね。」 「…アイアイサー…。」 滝からの命令と幸村からの命令によって逃げ場がなくなった撫子。 そうそう、滝様からの命令『男になって立海男子テニス部レギュラーを誑かして来いよ。(幸村君は除く)』 うん、むちゃぶり。しかしここで辞めたら[ピー]が…パーンである。 撫子はそんな事から逃げるためだったらいくらでも落としてやるわ。むしろ俺総攻めカテゴリを確立してやる、と粋がって遂行することにした。 「さてさて、遊ぶ阿呆に遊ばぬ阿呆同じ阿呆なら遊ばなにゃそんそんってね。」 撫子は皆をターゲットにするためテニスコートへ。そこには氷帝ほどではないが女子たちがフェンスに張り付いていた。 「うわーぉ…。」 そんな女子の量にひきながらもコート内に入る。いつもの女子撫子だったら嫉妬の目場ビンビンするんだろうけど今回はなんというのか…悪い感じはしないよね。 目があったので撫子は調子に乗ってウィンクをしてみた。それを見た女子の顔は真っ赤っか。 ハイ、ファンサービスです。 「そこの男児、何用だ。」 真田がコートから出てきた。 「え…幸村君から連絡貰ってない?氷帝から来るって…。」 「む、椿崎が来ると聞いてはいるが、お前の様な男児が来るとは聞いてないぞ。」 「あー…俺、撫子のいとこなんだが、撫子の代わりに来たんだ。」 お、私真田君より身長デカいんじゃね?すげぇ、筋肉は負けてるけど…まぁ、私はガリマッチョ派だからな。 「そうか、確か見学もしていきたいと言うことだったな。」 え、マジで? 「お…ぉお、そうだ。でも部外者が見学っていいのか?偵察的な…。」 「フン、王者立海はそんなことなど気にしない。見学したいだけしていけばいい。そして王者の恐ろしさを身に染みて感じればいい。」 …ドヤ顔メッチャ腹立つ、メッチャ腹立つ。仕方ない、目の前に居る訳だし真田君からチョッカイ出そう。 「そうだな。しっかりと恐ろしさを理解しに行こうかな。」 「あぁ、そうしろ。…!?」 撫子は真田の腕を掴んで自分の方に引き寄せた。そして真田の腰に手を添えて顎に手をかけて自分と目線を合わせさせた。 「見学許してくれてありがとうな。」 優しく微笑んでおいた。 「!?……フ、フンッ。」 真田は撫子からすぐに離れ、帽子を深くかぶり直した。様子から見ると照れたようだ。これで真田に関してはミッションクリア。 撫子はコレ楽勝じゃね?と思いながら次なるターゲットを探す。 「―――!!」 「!?、!」 「ん?」 撫子から少し離れた場所で言い争っている声が聞こえる。向いてみればブン太とジャッカルが言い争っていた。 「お前今ガム持ってねぇのかよ!」 「持ってるはずないだろ!今部活中だぞ!?」 しょうもないことで喧嘩してやがる。そう思い、呆れながら近づいた。 「ん?お前、誰…だ……ってお前氷帝の兄貴じゃねーか!?」 「誰だそれ!?」 「「………。」」 ブン太の単語に固まる撫子。その反応を見て驚くブン太。ジャッカルが頭をかきながら撫子に話してくれた。 「ブン太…初対面でそれはねぇんじゃねーの?えっと、初めましてジャッカル桑原です。ブン太がお前を知っていた理由は氷帝の芥川ってやつから写メが自慢げに送られてきたからなんだ。」 「あぁ、そういう…。」 「でも、俺の方が男前だな!身長がデカけりゃいいっつーもんじゃねーし。兄貴質は俺の専売特許!そこんとこシクヨロ☆」 「おい!それは失礼だろう!」 こんな可愛げのある外見で兄貴質とか萌え要素半端ないて、いいよ私兄貴違うし、そういえばブン太君には二人の弟が居たはず…ショタ……おっとこれ以上はアグネ○が来ちまう。 しかし、今回はお前らをおとす事!それが俺の使命!! 「あー、確かその赤髪君は丸井君…だったっけ?ジローから話は良く聞いてるよ。さっきも少しだけプレイしてる姿見たけど、かっこいいな。」 「本当か!?まぁ、俺だからな!フウィ天才的!」 「……そうだ、さっきガムが欲しいって言ってただろ?俺、今ガム持ってんだけど…いる?」 肩にかけていた鞄の中からフルー○ィオ(ファミリーボトル)を取り出した。ジャラジャラと音を立てながら鞄から登場。 え?なんでそんなものが入ってるかって?脳を活性化して妄想をより際立たせるため、だそうだ。 「好きな味じゃねーかもしれねーけど、その辺は勘弁してくれるとありがたい。」 「グリーンアップル入ってるじゃねーか!お前いい奴だな!」 ブン太は早々に撫子からボトルを受けとり、ガムを頬張った。撫子はその口いっぱいにガムを入れているブン太の姿を見ながら萌えていた。 「……ん?なんだよ。」 ブン太が撫子の怪しげな視線に気づいたのか聞いてきた。 「ん?いや、…ただ……可愛いなぁって思って。」 「ハッ!?」 撫子は落としどころは今だ、と思って畳み掛ける。 「ガムが好きなところとか、負けず嫌いなところとか、自分を信じて驕れているところとか。あぁ、これは褒め言葉ね。俺には絶対真似できねぇし、こんな弟が居たら俺は幸せなんだろうなぁってな。」 「なんで俺が弟!?」 「ん?だって俺が弟っていうキャラじゃないんだもん。なぁ、丸井君。俺の弟になってくんないかな?」 「イヤだ。」 「本当に、ダメ?」 真っ直ぐに視線を合わせて聞いてみる。視線は外させない。 「ッ……勝手にすればいいだろぃ!」 ブン太はそう叫んでボトルを撫子につき返した。中身の三分の一は持っていかれた。まだ開けただけだったのに。 でも…良し!ブン太君もこれでよし!あとは、ジャッカル君。 「あぁ、あと桑原君にもこれあげるよ。」 持っていたボトルをジャッカルに渡した。しかし断られてしまった。 「え、そんな悪ぃよ。俺ブン太みてぇに人に集るとか出来ねぇし。」 「桑原君はとても常識のある人なんだな。そんな常識のある人にはご褒美だ。手ぇだせ。」 「?」 撫子は持っていたボトルをジャッカルの手の平の上で傾けた。そうしたらガムが数個出てきてジャッカルの手の上におちた。ジャッカルは驚いて零しそうになったが撫子がそれをすかさずガード。そして小さな声で言った。 「受けとってくれ、これは俺からのプレゼントだ。いつも丸井君の世話をしてるご褒美だ。」 最後にニコリと笑ってやるとジャッカルもヘナっと笑った。それから、 「ありがとう。」 と言われ撫子は脳内を爆発させながらその場を去った。 「さて、次は……あ、もうこの格好を知ってる人しか居ねぇや。」 後は仁王と柳と柳生と赤也。既にこの格好で会ったことのあるメンツばかり。さて、どうおとすべきか。 「そこに居るのは撫子さんではないか?」 「!?」 いきなりバレて思いっきり呼ばれた方へと振り向いた。そうしたら柳が居た。 「またその様な格好で…。」 「ちょっとちょっとちょっと、私もこれでも被害者なんだからな!滝にむちゃぶりな任務を言い渡されて途方に暮れてるんだからな!」 「任務…どういったモノだ?」 「こういったものだ。」 滝から頂いている指令書を柳に渡す。柳もそれに目を通して撫子に返す。 「ご苦労様だ。」 「というわけで、俺に惚れてみないか?」 「だが断る。…しかし撫子さん、残りのメンツは俺と仁王と柳生と赤也だろう。その格好の撫子さんって知っているぞ?」 「そうそうそれが問題なんだよ。」 「何処が問題なんだ?すでに俺たちこちらのメンツは撫子さんに惚れているぞ?」 「!?………やっだー、なんか照れる。そういえば私もマスターを始めとするここにいる神々達には惚れているではないか。」 「そういうことだ。俺からしたら改めておとす必要は無いと言っているんだ。」 「あー、それなら便利…だけどそれって滝に通じるかなぁ。この格好で落とせって言われた気がしなくもないような…?」 「…だったら侍らしてる写真でも撮って見せればいいのではないか?」 「おお!流石マスター。という訳で、まずはマスターから被写体になってくれや。」 「……承知した。」 と言う訳で作戦変更。演技だと言うことがばれないことを祈る。柳はとても協力的だった。赤也ものってくれた。ワンコみたいで可愛かった。仁王はとても逃げてくれた。でもそんなこと知るかと言いたげに撫子は捕まえて涙目の仁王とのツーショットを頂いた。写真を撮るときにその涙をぬぐってやればアラ不思議、シリアスなBLものの表紙みたい。柳生は顔を近づけただけで「このようなこと婦女子がッ」と言い始めたが、今は男なので問題なし。 任務を完了して撫子は氷帝に戻った。写真作戦はバレてそうなバレてないようなそんな感じだったが、別に咎められなかったからおk。 少し日にちが過ぎて柳からのメールで立海まで呼び出しされた。 「マスター、どうした?」 「まぁ、これを見てくれ。」 そう言われて柳が持っていた紙袋を受けとった。なんだろうと思って中身を見てみると、『撫子×仁王』だとか『撫子×赤也』だとか。とりあえず撫子×テニス部メンバーの薄い本。そして撫子の格好は男。 「…どしたの?…コレ……。」 「うちの文芸部が密かにあの時ギャラリーの中に居たらしい、そしてあの時の撫子さんの行動をしっかり見ていて妄想したらしい。」 「おお……恐ろしい子!でもGJ俺、総攻め!」 「ああ、それだけなら嬉しい限りだろう。しかし、これも見てくれ。」 別に持っていた袋から取り出したものは『撫子×幸村』 「まままままま、まずいッこれはまずい!流石にまずい!」 「だろう、これは絶対に精市に見られたら……。」 「あ、椿崎さんに柳、俺になにが見せられないって?」 「「!?」」 二人で慌てているとさわやかーな声が後ろから、そう幸村の姿があった。近づいてきて柳の手から例のあれを奪い取った。 「ん?これは……へぇ………。」 パラパラとページをめくっていく幸村。撫子と柳は何か金縛りにでもあったかのように動くことが出来なくなっていた。 「ねぇ、これ誰作?誰が描いたの?」 ニコーと笑いかけてくる幸村が何故か、怖い。 「あ…あ、ぁ……私は無罪なんですー!マスター!あとは詭弁戯言よろしく!」 撫子は動かなった身体を思いっきり動かしてそこから脱兎。真っ直ぐ駅へ向かう。 「撫子さん!?それは卑怯と言うもの!」 「柳、だーれだ?」 「や、まぁ…とりあえず落ち着け。」 「これでも落ちついてると思うんだけどな?とりあえず吐こうか、ね?」 「う…む……。」 「大丈夫、撫子さんは逃がさないから!氷帝に俺の味方が居ること忘れてるねー。」 ――――――――――――――― 300000hit企画第11弾 香杣様リクエスト「主人公が男の子になって 他校(立海)に行き 皆を誑し込むお話」でした。 最後のブチ込み感が否めない。ブン太のキャラが右往左往していて駄文だと感じました。(あれ、作文?) |
<< TOP >> |