二人の少年が外に飛び出したとさ、 | ナノ


05


「把握した。が、荷が重すぎるだろ。これ…人一人殺された本丸に俺、行くの?クソみたいな行為を行われた本丸に俺、行くの?やだー、穢れるー。そんで俺、男士に殺されるの?」

「恵、大丈夫だ。俺が恵を守る故、その本丸の男士全てをへし折るから安心せよ。」

「男士が前任を殺したのではありません。何者かが前任を殺したのです。」

「明白だろこれ!?思いっきり男士ですって言ってるようなもんじゃねぇか!黒審神者の末路ってそれじゃん!?」

「ブラック本丸取締部が文書にしたものです。それには誰に殺されたとは書かれていません。ですので、何者かが殺したのです。」

「お前らが!取り締まらないからこういった結果になってんだろうが!現実見ろよ!ニート(仮)の俺にこんなこと言わせんなよ!」

「それは私の部署の管轄ではありません。文句なら取締部へどうぞ。また、事実を否定したいら担当部署へどうぞ。そこも私の部署ではありませんので。」

部署ごとに仕事の内容は完全に切っているらしい。互の部署へ責任を押し付けている状態と察しがついた。

「あーへいへい。今はそんなのもうどうでもいいですー。」

「納得していただけたようで何よりです。では、」

「納得してねぇよ。けど、俺が行かなかったら…どうせほかの奴が行かされるんだろう。」

「勿論です。この本丸に居る刀剣男士は刀解するには惜しいので。」

「だったら俺が行くよ。こんな汚れ役、俺がすればいいんだよ。けど、ひとつ疑問がある。俺がこの本丸をきちんと立て直せたとする。そうしたら、その後任は誰になる?雛になるか?一年でかたをつけて綺麗な本丸をあいつにプレゼントしたいんだけど。卒業祝い的なやつで。」

「引き継ぎなんてさせませんよ。まぁ、貴方が死んでしまったら話は別ですが。引き継ぎって、結構大変なんですよ。特にブラック本丸を引き継ごうとしたら余計に、仕事がとても増えますので。」

「…仕事しろ社畜。」

「してますけど?今の業務で各々部署はてんてこ舞いなのに、さらに仕事させる気ですか?いいですか?これ以上仕事増やしたら、審神者の皆々様に多大なる迷惑をかけますからね?具体的には、サポート課が死にます。比喩ではなく。」

「…お姉さんも苦労してんだな……。」

「ええ。これから悩みの種が増える予定ですし…。」

「じゃぁもういいな。俺は行く。その本丸へ繋がるゲートを開いておけ。」

「男審神者はソファーを勢いよく立ち上がり、机の上に置かれた資料を掻っ攫い、小脇に抱えて出口の方へと歩いて行った。その行動に迷いはなく、言葉の揺れを感じさせなかった。


「それではご武運を。」





男審神者は次は時のゲートを潜るために和服とも洋服ともみえる礼服を身に纏い、顔には息苦しくない程度の薄い布を衝立る。持ち込むものはブラック本丸の対処術の参考書。そして三日月のみ。それらを携えてゲートの前に立つ。これから向かう本丸に降り立つに伴い、国籍不詳。性別不詳。年齢不詳。全てを匿名とし、個性を無くす。持ち物で一切私物を持っていかないのも個性を出さないためだ。これから会う神に対しての自己防衛だ。本来ならばこんな事をしなくてもいい。普通の本丸ならばゲートをくぐり、そこにいるのは自分の味方だだけなのだから。存分に快適空間を味合えばいい。
しかし、今回行く本丸は人間すべてを憎み呪わんとする付喪神が居るのだ。敵に少しでも素性を知られたらそこからじわじわと呪いの類を受けることになるだろう。それを避けるために、身を守るために。


「行くぞ。三日月。行き先はブラック本丸跡地だ。」

「あい、分かった。崇雷よ。無茶はしてくれるな。俺には崇雷しかいないんだ。」

「分かってる。俺の可愛い三日月。無理はしても無茶はしない。それが俺の信条だ。」

「嗚呼、なんて格好いい。神が地獄にいけるかは知れぬが、地獄の果てまでお供しようぞ。」

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