Prince of tennis | ナノ


常勝立海軍 02


敵はA地区がやられたことを合図に立海軍本部に軍隊が特攻を図る。立海本部を守っているのはたった二人であった。たった二人しか、迎撃態勢をとっていなかった。その二人も慌てるだとか、焦るだとかそんな様子は見られなかった。とても落ち着いてる。計画通りの運びを見ているようだ。

「おー始まったぜぃ。」

「…ブン太、ちゃんと銃の補填は終わったのか?」

「なんだよ。いっつもやってるって、ただいっつも弾切れになっちまうだけだって。」

「はぁ…。」

「いいだろぃ、ジャッカルが貸してくれれば。」

「毎回毎回…弾一発は安くないんだぞっと奴さんがきやがったぜ。」


「敵の守りはたった二人だ。怯むな、突っ込めー!」

敵は立海軍本陣前の守備がジャッカルとブン太しかいないと侮る。だからこそ、特攻だなんて無駄死にしかしない行動を取ることができているわけだ。

「舐められたもんだな…ジャッカルが。」

「俺かよ!…まぁいい、地獄を見せてやろうぜ。」

ジャッカルは武器を構え直す。ジャッカルが構えている武器は散弾銃。

「俺の守備範囲の広さを舐めんなよぉ!」

散弾銃を打つ。散弾は重厚から放射線状に射出される。小さな弾丸が広い範囲に広がるため、致命傷をあたえることは難しい。しかし鉛玉が予想が付かない点に行くことで敵の動きを止めるには十分すぎる結果を残す。そしてブン太が動きが緩慢となってしまった兵士を拳銃で一人一人確実に仕留めていく。そんなことを地味に続けて行く。歩けることはできても走ることはできない軍団の出来上がりだ。

ジャッカルの役割はこれで終了。

「っし、終わった。」

「あ、ワリィ。弾切れた。」

「またかよ!」

「いいじゃんか、もう仕事終わったんだろぃ?貸してくれ。」

「ったく、しょうがねぇなぁ。…ほらよ。」

「サンクー。」

ブン太は自前の銃を投げ捨て散弾銃に弾を新しく入れ構える。

「いやー、一般の奴らって自分の武器じゃないと本来の力発揮できねぇとか言うけど、俺はジャッカルの武器を使っても腕は落ねぇぜ!流石俺、天才的!」

「それはいつも俺の武器を最終的に使ってるからじゃねぇのか。」

「ジャッカルゥ、テンションの下がること言うなって。弾が外れたらどうすんだ?」

「それは困ったな。俺らの武器は急所に当たってなんぼだからな。」

「だよなー。今度柳に頼んで毒弾でも作ってもらうか?かすっても死ぬ奴。」

「してみるか。」

そんな日常でするような殺気のこもらない会話をしながら弾を詰めていく。緊張感のない戦場だ。こんな戦場の中で朽ちていく兵士は不本意だっただろうに。全滅はしていない敵軍兵士。ジャッカルの散弾銃によってぼろぼろになった兵士達。しかし歩みは止めず立海本部へと近づいてくる。

「っあっちは、散弾銃しかっないらしい。もう…殺傷能力の低い得物、は怖くなどない。このまま…腕が…ちぎれようと、も進む――。」

しかし無情にも弾は散弾せず兵士たちの体を鋭く打ち抜いた。散弾銃から発射された弾丸のはずなのに、散弾せず高い殺傷能力を保った弾丸が一人、また一人と兵士の額を打ち抜かれていった。

「はーい、ご苦労様。散弾銃でも弾に切り込みいれちゃえば散布されないんだぜ。どう?天才的?」

「それにしてもお前らバカだよな。俺ら立海軍は少人数少精鋭が売りだってのに、特攻しかけてくるなんてよ。」

「仕方ねーぜ、散弾銃の弾のことすら知らなかったんだからよ。」

守りが薄いからといって侮ってかかってきたことが相手の敗因。ブン太とジャッカルは、戦いの中で本部前のこの位置から離れて戦うことは少ないというのに、敵兵士はそんなことも知らず、特攻を仕掛けてくる。

「「我の存在は不動のもの。」」

「俺らって別に柳生と仁王みたいに極秘扱いになってねぇのにな。それにいっつも本陣の真ん前で構えてるってーのに。」

「ま、なんでもいいさ。俺らは大将に怒られなかったらそれで。」

「あー、分かる!でも大将も怖いけど真田の鉄拳はマジ勘弁してほしいっつーの。」

「じゃ報告に行くぞ。」

二人は本部の中へと姿を消していった。

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