Prince of tennis | ナノ


常勝立海軍 03


立海軍本部。

「精市、守備は万全だ。」

戦場には似合わない白衣を着た男が幸村に話しかける。さらにその幸村と言う青年もパジャマという恰好だ。

「ん、そうか。苦労を掛ける。計画はどうなってる?」

「A地点も突破。真田は敵本陣へと進んでいるようだ。柳生と仁王も後始末を終え本陣へ。今、敵がここに特攻をかけているジャッカルと丸井が応戦中だ。大きな変化はない、いつも通りだ。」

「フフっ特攻か…俺もやってきていいかな?」

「…笑えない冗談だな。」

「いつもは戦場に出てるし俺だって――」

「『真田の様に戦える』と精市は言う。しかし、精市はこの前今戦ってるやつらの放った刺客の攻撃で負傷中だ。近々治ると思うが今は特にダメだ。絶対安静を言いつける。本らならベッドに横になっていることをお勧めするところだ。」

「分かってるさ…あー、ねぇ柳、君の発明で一発で治る薬とか無いの?」

耳にタコ、と言わんばかりの態度をとる幸村。彼はじっとしていることが苦手なのか。それともベッドで横になって過ごすということが嫌いなのか、どっちにしろ柳の悩みの種のひとつになっている。

「俺の発明は武器専門だぞ。化学と物理を一緒にしないでくれ。」

「えー、でも今悪魔飼ってるじゃん。それって物理ではないよね?」

「…飼っているという表現はやめてくれないか?赤也は人間だ。」

「ごめんごめん。」

「大将ー、柳さーん、俺いつ戦えるんすかぁ?」

奥から立海軍の中で一番若い赤也が出てきた。こちらもまた戦場では好ましくないTシャツにハーフパンツ、裸足という格好だ。

「いつも戦場には出ているだろう。」

「だって俺、いつも残党狩りじゃないっすか。飽きましたよ。俺も反撃してくる奴と殺りてーっす!」

殺りたいー!!を駄々をこねる。その光景は親にわがままを言う子供の図ではあるのだが、発言している内容が、ほのぼのとした要素を打ち消している。柳の悩みの種その二だ。

「ふむ…困った。お前にはまだ早いのだが…ただでさえ武器を使わない戦い方をしているというのに…。」

「だってっすよ!?武器を構えるくらいなら素手で殺った方が早いじゃないっすか!」

「…それはお前の様な人間離れした怪力を持っている奴の考えだ。」

「ひっでー!!柳さん。俺はれっきとした人間っす!流れる血は赤いんすよ!」

訴えるところはそこではないと思うが、赤也は懸命に柳に訴えかける。白衣の裾を引っ張り駄々っ子の様に柳を困らした。しかし柳もそんなに困った様子を見せていない。それよりもその反応のデータをとっているかのようにジィと赤也の事を見ている。どこか慈悲深いものを感じる。
そんな賑やかにしている中、正面を守っていたブン太とジャッカルがひと仕事終えて戻ってきたようだ。

「よーぃ!特攻しかけてきた奴ら、俺の妙技で壊滅させてきたぜ!」

「丸井先輩にジャッカル先輩!お帰りなさいッす!」

先程までだだをこねていた赤也が柳の下を離れ、ジャッカルとブン太に飛びついた。

「おう、ただいま。」

「聞いて下さいっす!柳さん俺のこと人間離れした怪力を持った奴だって言ったんすよ!」

「あードンマイドンマイ。」

ジャッカルとブン太が赤也の頭を撫でる。

「っす…。」

少し満足したようで赤也は柳の元へと帰って行った。

「そうだ柳、聞いてくれよ。特攻しかけてきた奴ら散弾銃の弾に切り込みを入れたら散布しないこと知らなかったんだぜ?」

バッカだよなー、とブン太とジャッカルが言う。

「…それは俺の発明品だから出来る技だぞ?他の弾では不可能だ。暴発するぞ?」

「えっ、マジで!?」

「マジかよ…。」

ものすごく敵に対してドヤ顔で語ってしまった自分を殴ってやりたい衝動に駆られた。しかしその敵達は全滅しているからドヤ顔で語ったことを知っているのはジャッカルだけだから傷は浅い。

「でも柳、そんなものまで発明するお前も人間離れした頭脳の持ち主だぞ。」

赤也と柳は顔を見合わせる。ニィッと赤也は笑い、柳は何処か誇らしげだ。

「「我の存在は超越したもの。」」

「ね?柳さん!」

「あぁ。よし、ではこれからみんなで敵の本体へ向かうぞ。弦一郎達はもう着いているころだろう。」

「フフっ計画ももう終わりだね。さて皆行こうか、俺を攻撃したこと後悔させてやろうね。」

「「「イエッサー!!」」」

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