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「あら、金ちゃん今来たの?」 白石には手を上げずただ見ていただけの小春が一番に稀李の存在に気が付いた。 「おん!あんな、昼からな屋上で昼寝しとったら気づいたら放課後になってもうたん!びっくりしたわぁ!」 「金ちゃん午後の授業さぼっちゃったの?んもぅ悪い子ねぇ!」 「えへへへ!」 「ほら白石、金ちゃんが悪いことしたで?毒手で懲らしめんでええんか?ん?」 謙也が足で白石を小突く。 「ッ…!」 「なんや、得意の毒手も今は封印か?」 「謙也!?なんで白石を蹴っとん!」 謙也の行為に驚いた調子で稀李は言う。 「んー…もう金ちゃんにも教えてやろうか?」 「何をや?」 おやおや、いつもならここでじゃれあってるだけ、って言い訳が飛んでくるのに今日は教えてくれるのか。なんて好都合。 「あんな、白石は悪さをしたんや。」 「悪さ?宿題忘れたり、晩御飯つまみ食いしたり、夜更かししたりか?」 「ちゃうちゃう、もっと悪いことや。もっと、もっとな。」 「もっと…。」 悩む素振りを謙也に見せる。 「せやで、金ちゃんだって悪いことしたら白石の毒手が出てくるやろ?白石にとっての毒手は俺らなんや。」 「んー。難しいことはよう分からんけど!そうなんか!やったら謙也らは正義の味方なんやな!ワイも混ざってええか!?」 「おん、もちろんや。白石のこと一発殴ってみるか?」 なんて誘いをしているんだスピードスター。 「おん!」 稀李は元気よく返事をして白石が蹲っているところまで駆け寄る。そしてその場にしゃがみ込み、白石の顔を覗き込む。 覗き込んで白石の顔を確認する。 こいつ、笑ってやがる。 「………………。」 「…金ちゃん?どうしたんや?」 一向に手を出さない稀李に痺れを切らしたのか謙也が声をかけてくる。 「…なぁ、ホンマに白石が悪いことしたん?」 「な!?何を言っとるんや金ちゃん!」 「やって!白石の目がそんなんしとらんって、助けてくれって目ぇしとるんやもん!」 してねーよ、むしろ一発殴ってやりたくなる顔してたよ。 「っ!?…金ちゃんちょっとこっち来ぃ?」 稀李は呼ばれ、謙也の元へ。両肩を掴まれ、真剣な表情を向けられた。 「なぁ、金ちゃん?さっき白石に何言われたんや?もしなんか言われとったらそれは白石の嘘やで?あんな悪人の嘘に踊らされたらあかんで?」 諭すように言ってくる。 「そんなん、そんなん…っワイ、っっ分からん。」 「そっか…。」 短い言葉を吐き、稀李を小春に預けると謙也は白石の元へとゆっくり近づいて行った。 何をする気だ?まぁ、予想はつくが。 白石も予想がついたようで、謙也の歩調に合わせて後ろへと下がっていく。しかしそれも零距離に、白石は胸ぐらを掴み上げられ無理やり立たされる。 「なぁ、自分金ちゃんに何を吹き込んだんや?」 「なんも…言ってへん。」 「白石…知っとるか?嘘吐きは泥棒の始まりやんやで?泥棒は制裁を受けんとあかんのんや。覚悟しい。」 謙也は握り拳を作り白石に向かって振り下ろす。 |
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