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「なぁ稀李、具体的にはどうするんや?今稀李…金ちゃんは俺が虐められとることほとんど知らん状態の設定やろ?」 「んー、とりあえずはみんなに白石は悪くないって言って私もそっちサイドに行こうと思う。まぁ、楽しみにしといて。」 「楽しみやんなぁ…どっちのキャラで?」 「もちろん、天真爛漫な方で。本性だすのは…最後、かな?」 そっちの方が楽しそうだし、と稀李はクスクス笑う。 「性格悪いなぁ自分。」 「お褒めの言葉ありがとう。」 白石の自殺を止め、それから互いの自己紹介を改めて行ったあと、色々な話を行っていた。気がつけば放課後になっており、校舎の中が騒がしくなってきた。 二人は、別々に部活へ向かおうと話をつけて、一度分かれることにした。 「じゃ、白石また後で。」 「おん。」 そして時間をずらして先に白石が部活へと向かった。 白石が部室内で着替えをしている。その部室の中には、白石一人だった。白石が部室を使用しているときは基本誰も入ってこない。嫌われている人が部室を使っている間は、誰も入ってこようとしない。 何故だったか? 「あぁ、俺と同じ空気吸いとうないけぇか。」 アホやん、俺が使った後に部室入るんやったら俺が吐き出した二酸化炭素が充満しとるのに結局は俺と同じ空気吸っとるやん。 「おい、さっさと出てけぇや!」 部室の外から扉を蹴っている音がする。声からすると一氏が蹴っているのだろう。 あーぁ、これで扉壊れたら俺のせいになるんやろうな、出費がかさむわぁ。金の心配よりも体の心配をした方が…普通の感性かな? 「……。」 完璧に着替え終わった白石は無言で部室を出る。そしてすれ違いにメンバーは白石の周りを大きく避けながら部室の中へと入っていった。一番最後に位置してた謙也が白石を睨みつける。 「白石、みんなにこんだけの時間待たせといて謝罪の一言も無いんか?」 「……ぁ。」 アッッホらし!なんで俺が謝罪せんとあかんのや。待たせた?ハァ?勝手にお前らが入ってこんかっただけやろ。俺鍵なんて占めてへんし。 下を向いたまま白石はコートの方へと歩いて行った。 「チッ覚悟しときや。」 そんな呟きが聞こえた。 あー…また殴られるんかな?でも、今日は楽しみやなぁ、なんせあの金ちゃん…やない、稀李が俺の味方になる合図やもん。楽しみでしゃーないわ。前世は女子やて?ホンマ面白いことが起きる世の中やなぁ。 下を向いたまま、ほほ笑む白石の表情はどこか狂気に満ちたものがあった。 ―――――― ――― 「さて…私も部活に行こうかな?」 稀李は白石と別れた後、教室に荷物を取りに行った。荷物と言ってもテニスラケットしかないのだけれど。 稀李がテニスコートに着くといつもの様に白石がメンバーに囲まれて殴られている。 「…アハッ、あの本性があったうえであの暴力を耐えてるってほんっとおっかしー!あははは、もっともっとこの光景を見ていたいけど、…喜劇を開演させますか。」 稀李は白石達に近づいていく。 「なぁなぁ!みんな何やっとん?テニス、せぇへんの?」 キョトンと、キュルンという効果音がお似合いの動作で白石以外のメンバーに聞く。白石はみんなの足元に顔を伏せて蹲っている。 |
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