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02


白石の本性が現れた。さっきまで弱っていたような少年ではなくなった。虐めなんてただの遊びにしか過ぎないといった風格の人物に、とても心から楽しんでますよと言った顔つきになる。

「あっちゃー、金太郎のアイデンティティー完全否定ですか。」

「やって今時の中学生に純粋なん無いで?不自然すぎるやん?」

「あはっ、それもそうか。」

「なぁ自分、誰なん?なんや…自分から違和感を感じるんやけど。」

「鋭いなぁ、小春にさえバレなかったのに。」

「小春なんてただのモーホーや。やって俺の真実が見つけ出せないようなやつなんやで?」

「そうだったね。ワイは私だよ?ちょっとばかし前世の記憶がある人物だ。」

「へぇー前世?どんな人生送ってたん?」

「それは君が無罪だってみんなに証明されたときに教えてあげるよ。多分ね。」

「うわ、性格悪いなぁ。そない簡単に出来ない……うん、そうやな俺が黒になれば簡単やったな。何も白のままってことはないやん。」

「君の方こそ性格が悪いよ。虐めを楽しんでるなんてね。」

「褒め言葉として受け取っておいてやるわ。じゃ俺はこれから俺を虐めてきた奴…四天宝寺中学を懲らしめてくるわ。」

「ちょっと待ってよ。もっとこの状況を楽しんでもいいんじゃないの?」

「いやや。もう飽きたし。それよりも自分の事がもっと知りわ。」

「私はまだバラしたくないのだけれど……だったら、私も君と一緒に虐められてあげるって言っても、もう終わり?」

「は?」

「君が演技してまで、虐められる立場を保ってたってことは楽しかったからでしょ?私だって楽しみたいなぁ。白石と一緒に他の奴らを同じ視点で眺めてみたな?」

「自分がこっち側に来るんか?そりゃまた面白そうやな。けど、いいん?自分耐えれるんか?テニス部の仲間でさえも虐めてくるこの環境に。」

「平気だよ。だって私、君たちと一線を引くのは得意なんだよ?」

「あぁ、だから同じ部活の無罪の俺が部員にも誰にでも虐めあれていても傍観することができていたんやな。」

「アハッばれちゃった。けど、想像してごらん?今まで自分達が制裁だって言って暴力を振るう。けれど、虐められていた人が無罪で、虐めていた人達は今まで無罪の奴を虐めていたことになる。大切な仲間だったのにその仲間を信じずに他の人を信じたんだ。後悔するだろうね。きっとその時の顔は心底笑えるよぉ?でも先に責任転嫁の嵐かな?自分を正当化するだろうけど、昔行われていた魔女裁判の裁判官みたいにね。言い訳を聞くことも一興かな?」

「自分もとんだ腹黒やな。」

「君に言われちゃあおしまいだ。」

「やけどそれ面白そうやな。やるんだったらもっとあいつらを散々あげて落そうや。」

「そうだね今よりもあげて落した方が面白い。私達が自殺未遂するとこでフィニッシュだね。後悔すればいいんだよ。私達を虐めたことに対してね。」

「まさか金ちゃんとこんな話をすることになるなんて思ってもみーへんかったわ。」

「私だって学校で本性を現すことになるなんて思ってもみなかった。」

「なぁ、家ではそのキャラなん?」

「まっさかぁ、家でもあのキャラだよ。本性を知ってるのは白石、君だけだ。」

「光栄やなぁ。俺が初めてなんて。で、いつから俺の味方になってくれるん?」

「もちろん今から遠山金太郎は君の味方だ。」

「味方ついでに前世の名前教えてくれへん?自分前世女やろ。」

「ホント鋭いね。そうだよ?生物学上立派な女だったよ。名前は―――」

「待ち。」

白石は金太郎の口に人差し指を当て、塞ぐ。

「さっきのセリフで名前、教えてぇな。」



「物好きだね。…もちろん今から遠野稀李は君の味方だ。」


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