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Target宍戸亮06


そして、次の日。
宍戸はいつもの様にお昼、メンバーに部室に呼ばれた。そう、いつも。
宍戸はこの時間制裁を受けていた。稀李と白石もついでと言わんばかりに、宍戸を庇うように二人はいつも位置している。
そしていつもの様に黙って制裁を耐えるのかと思ったら稀李と白石は不敵に笑い始めた。きっかり12時に。


「クスクスクスクスクスクスクス――」
「ハハッアハハハハ!」

「「なッ!?」」

いきなり笑い出した様子にドン引くメンバー。そんな様子は横目で見て話を進める。
なんで反応を楽しまないかって?もちろんここもカメラが設置済みだから。あとから楽しむつもりだ。

「ハーイ、しゅーりょー。色んな意味でお疲れ様ぁ!ねぇ?君達、こんなことして楽しい?」

「な、な…あ?」
「あーん?お前…どういうことだ?」

「どういうこと?それは、こーいうことー!」

稀李は高らかにスマホで生放送画面を映し出す。そこに映りだすのは、跡部達が自分たちを虐めるシーン、全校生徒が虐めるシーン。そして、宍戸がしでかしたと言う悪事も宍戸がしたのではないと言う事実を語ったものも、それらが地上波に流れた。

「もー、君たちは終わった!暗い人生を送ればいいさ!後ろ指を指されればいい!」

「自分、ホンマに…そんなキャラやったんか?」

忍足が冷静に問う。

「流石、ポーカーフェイスファイター。心を閉ざして目の前で起こってることを拒否ですか?弱い人間だねぇ。あ、それとも謙也クンから聞いたかな?」

「両方や。謙也のボケか思うてシカトしとったんやけど…そうでもないらしいなぁ。」

「フフッ謙也に連絡するときは、『あの時は楽しかったよ、虐め、君たちも楽しかったよね?今は平和に過ごしてることを心から願ってる』って伝えといてー。」

「アホ言うな。誰が伝えるか。自分らが四天宝寺をひっちゃかめっちゃかにしたくせにな!」

「それは違うよ?あっちがやってきた真実をただ単に一般市民に教えてあげただけだよ。あのニュースは相当衝撃的だったんだろうねぇ。」

「アーン?お前ら、まさか俺様達の地位を崩そうとも思ってやがるな?」

忍足と受け答えをしていたら跡部が復活。流石200人…いや、氷帝をしめる男、動揺しても立て直しが速い。

「まー、それは出来たらいいなってぐらいかな?」

「フン、残念だがそれはさせねー、俺様だけでなく、企業が動画を消してやる。こんなもの一日もせずにこの世から消え失せる。」

「そうだねぇ、それは一般の市民の目からは消えるけど…ネットをよく知ってる人…もう、はっきり言っちゃうけどオタクって種類の人間はこの動画をいろんなところにアップロードしてくれるんだよ。一つ消されたら新しいものをアップする。それの繰り返しだ。あとは音声MADにも使われるんじゃない?結構素材はそろってるしね!どんな形であれ、この世からは消えないよ?ネットって言う文化がある限り消えないことになるかなぁ?始めに言ったでしょ?私は君たちが後ろ指刺されながら生きていくことを願ってる!企業なんて、どうでもいいのさ。」

「自分ら…人間性を疑うわ。」

「それは、こっちのセリフ。ねぇ?長太郎ぅ?」

稀李がいきなり話をふった。それに慌てる長太郎。
事実長太郎は、始めのうちは戸惑っていた。ゲーム感覚で宍戸を虐めることは出来ないと。しかし、宍戸に対する悪い噂を耳にして絶望、その後は嫌悪するようになっていた。
でもそれは言い訳、始めを信じていたとしても結果はどうだ?宍戸との関係をきってそっちに居る。宍戸の隣に居ない。
これが結末。

「し、…宍戸っさん!」

鳳は未だ下を向いたまま喋らない宍戸に駆け寄った。

「ゴメン、なさい!すみません、すみません、すみません!」

必死に謝った。今まで自分がして来たことについて、吐いた言葉に対して、謝った。

「――――――ね。」

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