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「……仁王…ッ。」 「!?」 幸村が屋上の入り口に立っていた。そしてこちらにまっすぐ歩いてきて仁王を思いっきり殴った。 「ありがとう…遠野。俺の味方だって言ってくれて…。」 「フフッだって私の可愛い玩具なんだもん。味方に決まってるでしょ?」 幸村は一言稀李にお礼を言ってから仁王を睨みつけた。 「……最悪だよ仁王!信じようとしてたのに!やっぱり嘘だったんだね、俺の事なんてどうでもよかったんだな、すっかり騙されたよ。流石悪魔をも騙せる男。信じかけた俺がバカだったッ…!俺の今の居場所までも奪おうって言うのか…ッ。誰の計画なんだ?柳なのか?やっぱりグルだったんだ!」 「違ッ!俺は助けようと!」 「言い訳なんて聞きたくない!二度も裏切られるこっちの身にもなってみろよ!最低だよ仁王!絶対許さないんだからな!」 幸村はそう言い捨て、屋上から去って行った。再び二人だけになった空間。さっきの出来事が本当に一瞬で、一瞬で仁王は取り返しのつかないような状態に一転さした。 「あーぁ、どうするの?幸村をあんなに怒らせて。」 「ッ、なんで!幸村がここにッ。…どうしょう、どうしょう…幸村をあんなに怒らせてしもうたッ折角、折角幸村と近くなれた思うたのにっ、謝ることも、許されることもッ出来んくなってしもうた!」 「…フフッ、君は忘れてるみたいだね。」 「何をじゃ?」 「君はなんて言って私の玩具になったんだっけ?」 「……?」 「忘れちゃった?君は幸村に許してほしいから、その手助けを私がするって形で、君は私の玩具になったんでしょ?」 「じゃったら、おまんが俺と幸村の間を持ってくれるっちゅーんか?」 「うん、君が幸村に許されるように、してあげるよ?」 「ホンマか!?」 「うん、私、嘘はつかないよ。でも、この方法はなぁ…あんまりお勧めできないけどねぇ……。」 「なんじゃ、どんな方法なんじゃ!?あるんなら言ってくれ!俺はそれをする!幸村に許してもらえるならなんだってするぜよ!」 「んー……それは、ね?――――――――――――。」 稀李はその方法のすべてを仁王に話し終えた。仁王はその方法を聞いて眉間にしわが寄る。 「ッ……。」 「ね?お勧めは出来ないでしょ?」 「…ッでもそれで幸村に許してもらえるんなら、幸村の無実が証明されるんなら俺はやるぜよ。」 「フフフッ仁王、男らしいね。」 「いつ、それをするんじゃ?」 「いつがいいかなぁ?もう証拠も揃ってるしなぁ。んー、バラすなら派手にしたいな…よし、3日後。3日後テニス部部室でこの物語の終焉を飾ろう!」 「……分かった。」 「うん、そういう事。へま、しちゃダメだよ?」 「………プリ。」 物語の終焉に目途はついた。 それがHappyEndなのかBadEndなのか、それともTrueEndなのか、 それを知ってるのは、 稀李だけ。 「………遠野?」 「何?」 「俺、君の事もう止めない。止めないから…。」 「止めないから?」 「あいつ等に、地獄をッ!」 「可愛い玩具の願いだ。その願い、叶えてあげる。」 |
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