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19


「……仁王…ッ。」

「!?」

幸村が屋上の入り口に立っていた。そしてこちらにまっすぐ歩いてきて仁王を思いっきり殴った。

「ありがとう…遠野。俺の味方だって言ってくれて…。」

「フフッだって私の可愛い玩具なんだもん。味方に決まってるでしょ?」

幸村は一言稀李にお礼を言ってから仁王を睨みつけた。

「……最悪だよ仁王!信じようとしてたのに!やっぱり嘘だったんだね、俺の事なんてどうでもよかったんだな、すっかり騙されたよ。流石悪魔をも騙せる男。信じかけた俺がバカだったッ…!俺の今の居場所までも奪おうって言うのか…ッ。誰の計画なんだ?柳なのか?やっぱりグルだったんだ!」

「違ッ!俺は助けようと!」

「言い訳なんて聞きたくない!二度も裏切られるこっちの身にもなってみろよ!最低だよ仁王!絶対許さないんだからな!」

幸村はそう言い捨て、屋上から去って行った。再び二人だけになった空間。さっきの出来事が本当に一瞬で、一瞬で仁王は取り返しのつかないような状態に一転さした。

「あーぁ、どうするの?幸村をあんなに怒らせて。」

「ッ、なんで!幸村がここにッ。…どうしょう、どうしょう…幸村をあんなに怒らせてしもうたッ折角、折角幸村と近くなれた思うたのにっ、謝ることも、許されることもッ出来んくなってしもうた!」

「…フフッ、君は忘れてるみたいだね。」

「何をじゃ?」

「君はなんて言って私の玩具になったんだっけ?」

「……?」

「忘れちゃった?君は幸村に許してほしいから、その手助けを私がするって形で、君は私の玩具になったんでしょ?」

「じゃったら、おまんが俺と幸村の間を持ってくれるっちゅーんか?」

「うん、君が幸村に許されるように、してあげるよ?」

「ホンマか!?」

「うん、私、嘘はつかないよ。でも、この方法はなぁ…あんまりお勧めできないけどねぇ……。」

「なんじゃ、どんな方法なんじゃ!?あるんなら言ってくれ!俺はそれをする!幸村に許してもらえるならなんだってするぜよ!」

「んー……それは、ね?――――――――――――。」

稀李はその方法のすべてを仁王に話し終えた。仁王はその方法を聞いて眉間にしわが寄る。

「ッ……。」

「ね?お勧めは出来ないでしょ?」

「…ッでもそれで幸村に許してもらえるんなら、幸村の無実が証明されるんなら俺はやるぜよ。」

「フフフッ仁王、男らしいね。」

「いつ、それをするんじゃ?」

「いつがいいかなぁ?もう証拠も揃ってるしなぁ。んー、バラすなら派手にしたいな…よし、3日後。3日後テニス部部室でこの物語の終焉を飾ろう!」

「……分かった。」

「うん、そういう事。へま、しちゃダメだよ?」

「………プリ。」


物語の終焉に目途はついた。
それがHappyEndなのかBadEndなのか、それともTrueEndなのか、

それを知ってるのは、


稀李だけ。






「………遠野?」

「何?」

「俺、君の事もう止めない。止めないから…。」

「止めないから?」

「あいつ等に、地獄をッ!」

「可愛い玩具の願いだ。その願い、叶えてあげる。」

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