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その後の制裁も幸村は一切の抵抗なく殴られ続けた。いい加減反撃してもいいのに。現状維持とは言ったけれど、反抗するな。とは言っていない。つまり、反抗しないのは幸村の意思。 なんで反抗しないのか?初めのうちは稀李もなんでだろうね。と考察紛いのことをして楽しんでいた。そしてその答えも分かった。展開が分った上での傍観ほど飽きるものは無い。 「むー…飽ーきーたーぁぁああぁぁぁぁ。」 「俺も同意やぁ。」 「つーことで、幸村クン。ちょっと反抗してみてよ。」 「え…?」 「いっつも無抵抗にやられちゃってさぁ、見てるこっちも飽きて来るんだよぉ、だからさ、あいつらにさ反抗、してきて?」 「ぃ、やだ…ッ。」 「拒否権なんて認めてやんねぇよぉ?それに元々君は拒否を認められる位置には居ないはずだ。」 「そんなことしたら今までの俺の努力が水の泡じゃないか!」 「水の泡?水の泡だねぇ。だって君は今年の全国大会で三連覇を狙ってるんだっけ?ホント、健気だねぇ。自分が一人外部にこのことを漏らさないようにってねぇ。フフッもとより君以外は外部に漏らそうとはしないのに、可哀想だねぇ。でもぉ、私の手でその輝かいしい栄光をぶっつす訳じゃないしぃ、だから私が水の泡にしようが何しようが今後の展開に支障はねぇんだよぉ?」 「……それは、どういうこと?」 「だーかーらぁ、君達はぁ―――。」 「ちょい待ち、稀李その先は言うたらアカン。」 稀李が言い切る前に白石に口を塞がれた。 「――ムゥ、………それもそうか。」 一瞬驚いたがよく考えて結論に至った。稀李は白石の手を自分の口から離させる。 「言うならもっと先やろ?」 「フフフッ今回は白石、いい仕事したね。」 「俺かて楽しいことは更に楽しくしたいんや。」 「ま、ね。ってことで幸村クン!反抗しろよ?だぁいじょうぶ、どんなことをして欲しいかは指示して、あげるから!」 「ッ……………。」 本当に拒否権なんてないんだと感じた。日本語が通じないと言うか、思いが通じない。自分とは違うモノ達だと幸村は感じた。感じてしまった。 それからいい感じにいつもの様に幸村は呼び出された。その時、幸村は指示されたように小型のイヤホンを耳に装着する。普通なら見えてもおかしくないのだが、幸村の髪の毛は長い。よってイヤホンは綺麗に隠れる。幸村としてはここまで自分の髪の毛の長さを呪ったことは無い。 音声はまだ聞こえない。そうしているうちに制裁は始まる。 今回も真田と柳、そして赤也だ。セオリー通り過ぎて稀李が飽きた理由の一つである。 幸村は小さく蹲る。蹲って数分、耳に付けたイヤホンからノイズ音が聞こえてきた。 『―――えー、聞こえますか?聞こえますか?聞こえているようなら起き上がってくださぁい。』 「……ッ。」 幸村は指示された通り静かに起き上がる。それを見た三人はいつもと違う幸村の動きに驚いた。 『フフッ上出来。じゃぁ私が言った言葉を復唱してね?あぁ、言わないなんて無理だから全部見てるから、そっちの声も聞こえてる。逆らおうなら…ね?じゃぁねぇ…まずは、こう言ってみようか。』 『触んなこの、屑野郎共が、…さぁ!言ってみよう!』 「……ッさ、わんな…この、屑…野郎共が……!」 「「「ッ!?」」」 『はぁい!よくできました!次は長い台詞いくねぇ?私達からの宣戦布告ってことで伝えてもらうからぁ。ホラ私ってそいつらと直接話したの転校してきた初日でその後ろくに話してないし?私って恥ずかしがり屋だから!うん、心底どうでもいね!じゃいっくよぉ?』 『「お前らに言っておく、お前らの待ってる未来は地獄だ。こんなことをしてこの先平凡に生きていけると思うなよ?大丈夫、お前らって言ってもお前ら三人じゃない。お前らテニス部、お前ら立海生。全員同じ場所に連れて行ってやるよ。一人ボッチは寂しいもんなぁあ?」』 『お疲れ!さっすが今私が気に入ってる玩具なだけある!白石も君が言い切った後の三人のビビった動きに爆笑してるぜ?』 幸村は言い切った。 詰まり詰りではあったが指示通り、やってのけた。拍手を送ろうパチパチパチ。 「ハァ?部長、何様のつもりっすか?つーかキャラ変わりすぎ、何?頭の打ち所が悪かったんすか?ま、でも頭がいかれてんのは前からか。」 「……待て、赤也。…精市これはどういうことだ?」 柳が気付いた。気付いて幸村の顔を乱暴に扱い、その上で耳に付けていたイヤホンをとる。 「お前か?先ほどの精市に世迷言を言わせたのは…誰だ?」 『―――――――キャハッ!』 「………ん?」 『キャハはハハハハハハハははあハハハハアハはッハハハハハはあハッハはハハハハハハハははあハハハハアハはッハハハハハはあハッハ!!』 |
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