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03


「…金ちゃん、おいで?」

「ん?なんやー?」

白石は稀李の名前を呼び、自身の手の届くところまで移動させた。そして白石は少し震える指先で、稀李のシャツのボタンを一つずつ外していく。最後の一つを外す際、白石は幸村に対して視線を合わせず、声をかけた。

「な、あ、幸村君…これから見せるもんは、俺にとって見せたくないもんや…俺の罪で、俺が負うべき罰やったんや。」

何を言っているんだろうと幸村は疑問を抱いたが、白石が稀李のボタンを外し、シャツを脱がせたことでその疑問は解かれた。そして稀李達が自分をかばった理由が分かった。

「な!?…に…それ。」

「ん?これかー?これなぁ、前の学校でつけられたん、あんなワイの体に誰が一番綺麗な色のモンを付けれるかって遊びをしとったんよ!」

稀李の体を覆う色とりどりの痣。目の当たりにした幸村は息を飲む。

「それ、は俺より…ッ酷い。」

「何がなん?何で自分が泣きそうになっとん?どや?兄ちゃん。兄ちゃんはどの色のモンが好き?前の学校では、これ!この真っ黒のコレが大人気やってん!でもな、これムッチャ痛いねん。でもな、皆が笑っとるからワイ、痛いの全然構わんねん!」

何が何だかわからないと言った言い方で幸村に聞く。

「俺らが、なんでここに転校してきたと思う?前の学校で虐められとったからやで?逃げてきたんやで?無様やろ?なのに、逃げてきた先に同じ目に遭っとる奴がおるとか、無視出来るわけないやんっ!なぁ、幸村君。俺ら、自分の力になりたいねん。俺らみたいなやつを…増やしないんや…ッ!金ちゃんな、こんな明るい性格して、皆に可愛がられるはずやったのに…ッ俺のせいでこんなになって現実を受け止めれんくって、こんな……ッ。分かってや?俺らそんな姿を見ると俺らも辛いねん…っ!」

「……俺、を本当に、助けてくれるの?」

「幸村君が助けてくださいって言ったら、力を貸すで?」

「俺、を助けてッ……!」

幸村が縋る様に白石に求めた。

「ええで?」

白石は微笑んだ





ように見えた。

「でもな幸村クン、その頼み方は無いんとちゃう?」

笑みは消え。
厭らしく嗤う。

「へ、ぇ?な…にが?」

「あー!もう本性出したぁ!何してんの!?アンタばかぁ!?」

幸村は何が何だかわからず呟いて、稀李は服を着ながら、全て分かって叫んだ。

「え?あかんかったん?幸村クン助けるんやったらこっちんがのちのち…。」

「だーかーらー、もう少し親しくなってからバラしたかった!驚いたあの顔は一度きりなのに…勿体ねー。」

「それは、それは悪いことしたなぁ。」

悪びれもせずシレっと言う白石。

「ん?君、わざとだな?」

「ありゃ、バレてもーた。」

「バレるっつーの私なめてんの?白石、アンタももう一回そっち側逝く?どういうつもり?」

「堪忍、俺はそっちの自分が好きなんよ?」

「アラ、告白?甘いじゃない。でも、なんでわざわざ私を剥いた?セクハラ?」

「男同士なんやからええやないか。」

「な ん で ?」

「俺が見たかったからや。」

「…あとから貴様、お仕置きね。ま、でもその問題はおいといて…ハロハロ幸村クン?ついてこれてますかぁ?」

「え…あ?っ、え…へ……?」

幸村は言葉が紡げず、意味の分からない単語を言うだけ。

「あっちゃー、ま、私は優しくないから話進めるよー。ホントもっと人にものを頼む時の礼儀ってモンがあると思うんだけどな?…ねぇ、本当に助けて欲しいの?」

「…助けて…助けて、助けて助けて助けて助けて助けてっ助けて、ねぇ!助けてよぉ…。」

幸村の中にはもう、この二人にすがるしか道はないと思っていた。思ってしまった。頼らないと言う選択肢もあったはずなのに、『助かる』と一瞬でも思ってしまった。幸村はもう堕ちたくない、そんな一心で二人という蜘蛛の糸に縋っている。

「だったらさぁ…もっと誠心誠意込めて言いなよ。そんな頼み方じゃ、だーれも助けてくれないよ?」

「どうやって…?」

「分っからないのぉ?だっさぁー。」

「そんな意地悪せんと、教えたりぃな。めっちゃ簡単なことやん。」

「…だったら白石が教えてあげなよ。私は見とくからさ。」

「はいさ、なぁ幸村クン?ホンマ分からんの?」

「ッ………。」

「ハァ…残念な脳味噌やな!仕方ないから俺が教えたるわ。土下座しい。土 下 座。」

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