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稀李と白石が待ち構えると、乱暴に扉が開かれた。目とやると、開かれた先にはテニス部レギュラーが居た。病院での行動とが全くの一致である。学習能力がないとはまさにこの事。入ってきた彼らは一列に並び、頭を下げる。 「「「すみませんでした!」」」 彼らは謝っても顔を上げる様子が見受けられない。こちらが許すまで顔をあげないつもりなのだろう。 嗚呼、あげて欲しい。君達はどんな顔で頭を下げてるのだろう? それよりも顔をあげないということは逃げ、ではないのか?あわせる顔が無い。だから顔をあげない。 でも謝って許して貰わなければ自分たちは潰れてしまう。だから自分の利益の為にここに来た。 そうでしょう? 「「…………。」」 このまま放っておいてやろうかな?何時までその体勢は続けることが出来るんだろう。 でも時間が無いから上辺だけ許してあげよう。 「謙也……ワイも、あの時拒絶してゴメンなさい…。」 声のトーンは震わして、怯えたように、許してあげる。 稀李の一声でみんなが頭を上げる。 「「「ッ!?」」」 あげたところで驚く。金太郎の表情が、無かったから。無表情でみんなを見据えていたから。悲しそうな表情も怯えるような表情も、無かった。白石はニタニタと面白いことが目の前で起こっていてそれを心の底から楽しんでいますよ。という表情を浮かべていた。 「…なぁんて素敵な馬鹿げた言葉を私が言うと思ったぁ?」 みんなの驚いた表情を堪能してから稀李も白石と同じような表情を浮かべる。 「なん…っ!?」 驚いている。この表情は大好きだ。何回見ても悦に浸れる。 「フフフフッアハハハハ!!初めましてとでも言っとこうか!」 「こっちも初めましてって言っとくわ。」 こんな二人は見たこと無い。 「なん…や?どういうことや?」 「私は遠山金太郎であって金太郎ではない!名前はあるが貴様らなんかに教えてあげねー!」 「俺は、俺や。本来のな。」 「はっぁ…?」 「さて、結論から言うと私たちは君達を、四天宝寺を許すつもりはありませーん。さっき許してくれた?ああ、あれは嘘!私の完璧なる演技!発した言葉は虚実に戯言!真っ赤な嘘!」 「なッ!?話が違うやないか!」 財前が食いつく。だってあの時、願いを聞いてあげると言われて自分は「許してあげて欲しい」って願ってそれは聞き入れられたはずだから。 「君はもう少し日本語を学んだ方が良いんじゃないかな?私は聞いてあげると言っただけで叶えてあげるって言ってないよ?」 「っ騙したんか!」 「えー、そんな人聞きの悪いこと言わないでよ。君が勝手に勘違いしてたんでしょ?日本語って難しいね!あ、」 ポンッと手を叩く。 「君達みたいなその辺にいくらでも転がっている真実を拾えない脳味噌で日本語を理解しろっていう方が酷か…。デリカシーの無いことを言ってしまったな、反省反省。」 「稀李ー絶好調やな。」 「あったりまえじゃん、やっとこの日が来たんだから今まで言いたかったことをこの時間に言っとかなきゃ…後からじゃ言えなくなるし。」 「それもそうか、…やったら俺も言っとこうかな?」 「騙しとったんか白石!」 やっとまともな言葉を発せれるようになった謙也。 |
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