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「楽しいわけ…無いやろっ。」 悔しがる様な顔で財前が言い放つ。 「えー、そんなこと無いでしょー。だって私たちが虐げられるとこ見て優越に浸って、アイツらが振っている暴力には愚かな行為って愚弄できるんだよ？最高の観客席じゃん。あーあ、私もその席で見ていたかったなぁ。この喜劇。」 「俺は、そんなこと思ったことは一度もあらへん！二人が無実の罪で虐められとるとこを見とったら胸が苦しくなってたまらんかった。俺らはなんて馬鹿やったんやろって思っとった！謙也さんらの行為を止めたいと思っとった！止めて謙也さんらが後悔せんようにって…やけど……やけどそれを止めたのは自分らやんっ…！」 苦しくて、苦しくて、辛かった。なにもできない自分が存在していることを責めた。 「あーっ…良かった。釘刺しといて、君は本当にいい子だね。いい子過ぎて悪い子だ。けれど、私は評価しよう！君は大変いい子だ！こんないい子君以外に見たことないよ！ハハッそんないい子には私からご褒美をあげよう。君のお願い事、一つだけ聞いてあげるよ。何？何がいい？」 「…やったら謙也さんらを…許したってください。」 「んー？…君は本当に自分の欲望に走らない子だね。うん分かった。」 「っありがとう…ございます。」 ほっとした表情を財前は垣間見せた。 「私達が退院して学校に行った時に君らともう一度話すことにするよ。そこでそっちの謝罪も聞いて、終わりにしようか。」 「…はい。」 「呼び止めて悪かったな、もう帰ってええで？まだ急げば間に合うはずやろ？」 「…失礼しました。」 財前が謙也達を追いかけるために足早に帰って行った。 「……フフフッもう一回あの子が絶望する顔が見られるのか…。」 退院するのが楽しみだ。 「ホンマ性格悪いなぁ稀李は。」 「あら、気づいた？」 「当たり前や。伊達にずっと稀李と一緒に居ったわけやないで？」 「…発想のマンネリ化はよくないなね。また磨いて行かないと。」 「自分それ以上、どうするつもりや？」 「んー…あ、ねぇ白石。四天宝寺に未練ってある？」 「へ？……別に無いで、俺をあんなにした学校潰してやりたいくらいやわ。」 「ふーん、じゃ問題ないね。」 「どうするん？」 「もちろん、あれを使って…ね？」 「あぁ、あれな…………まさか…。」 「多分そのまさかだよ。」 「出来るん？」 「するさ、特にこんな面白い餌に引っかからないあいつ等なんて居ないと思うよ。」 「それもそうか、で何時？」 「んー…もちろん、私たちが退院して学校に行ってその時の昼にしてもらうことにするよ。」 「ホンマ、えげつねぇなぁ。」 「散々言ってきてるけど、最っっ高の褒め言葉。」 そして退院。待ち遠しかったこの日。この日は白石と二人である場所に行った。そこで約束を取り付けた。 白石と稀李はその3日後、四天宝寺中学校に登校した。 |
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