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成実は少し前まで親しんでいた立海部室に入室。氷帝メンバーは別室を準備され、そこに案内されている。成実と昼食をとれないことに跡部は遺憾の意を示していたが、紫木が蹴り上げる素振りをしていたら無言になり俯いて樺地の後ろに隠れてしまった。 「やぁ、待ってたよ。」 「すみません。お待たせ致しました。」 「我が君!こちら!こちらに座りましょう!」 成実は紫木に腕を引かれ、椅子に案内されて着席。 「ありがとうございます。他校生になった私にこの様に声をかけてくださって…私は友人に恵まれてます。」 外面を外さない成実。先程、幸村には外すことを仄めかせていたが外していないのが現状。何故? 「…あはー。そっか。邪魔だよね?君のことだよ、君。」 幸村は何か悟ったように入り口の方に歩いていった。扉を開ければあら不思議。そこには玖城の姿があった。 「っ…こんにちは幸村。」 一瞬怯んだ様子だったが腹を括ったのか無駄に堂々とメンチを切った。が、相手は幸村。神経の逆撫でにもほどがある。 「あのさー、困るんだよね。そう言う行為。虫酸が走るって言うのかな?はっきり言ってうざいんだけど。」 絶対零度の笑みを浮かべた幸村からの攻撃。女顔(禁句)から繰り出された暴言。そこまで手厳しいものではなかったが玖城を黙らせるには十分であったようだ。 「ッ…。」 「君、俺にそこまで言わせて去らないんだ。へぇ…。」 「……そんなにその女が大事なのね?」 後ろに後退しかけた玖城だったが、持ち直し幸村に反撃。 「そうだと言ったら?」 「ッ…今日の最後に後悔すると良いわ。ザマァないわね、王者立海大って言うのも。失礼するわ。精々楽しみなさい。」 捨て台詞を言って玖城は去っていった。幸村は離れて行く玖城の姿を確認して扉を閉めた。 「こう言うことだよね?」 「ナイッッッスゆっきー!マジ最高ッ!もう好き!愛してる!いっそ抱いて!」 「フフ、その台詞は紫木に言ってあげなよ。俺はまだ呪術で死にたくないから。」 「おう!梨花愛してんぜ!」 素直な成実。いや、ただ単にテンションが振り切れているだけだ。今なら跡部にも愛の言葉を囁きそうである。 「クハッァ…!我が君御戯れを…ッ。」 「さぁさぁ愛しの梨花!今日はどんな弁当を俺のために作ってきてくれたんだ?」 「っ…はい。本日は久し振りに私が作った料理をお召し上がりになると聞き、居ても立っても居られず腕によりをかけて参りました。」 そう言って紫木は重箱を取り出し、一段、また一段と広げた。そこには色とりどりの料理が美しく詰められていた。 「わぁお!流石俺の花嫁、いい仕事するぅ!」 「お言葉ありがとうございます。さぁ我が君、お召し上がり下さい!」 「はーい!いただきます。」 いずまいを正し、成実は箸を持って食べ始めた。それもまた絵になる。ジャージ姿であることが少々残念ではあるが。 |
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