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悪巧みを考える奴が増えれば増えるほど巧妙な罠が出来るし、罠にかけやすくなるが、今回はある意味多すぎると言ったところか。今回、事情を完璧に理解している立海は成実の考えていることなんてお見通しである。 玖城なんて言う分かりやすい異色なマネが氷帝に居る時点で悟っている。そう考えれば、仁王のあの行動も頷けるのだが、不愉快さが勝ったのだ。くっつかれるなら女の子が良い。 「連絡いたします。現在入っている試合が終わり次第お昼休憩とします。各自、お弁当を食べるように。午後は1時より開始いたします。」 業務連絡を行って、成実は席を立った。 「我が君、我が君♪」 「はい。」 とりあえずお昼ご飯を食べよう。 「我が君♪」 「はいはい。」 妥当に氷帝メンバー…と思ったが、注意喚起を前々からしていたせいか、氷帝メンバーとの距離が心なしか遠い。否、とても遠い。 「我が君なう!」 「ですね。」 だったらここは懐かしく立海メンツとご飯を食べようかな。 「成実。」 「はい柳君、何でしょう?」 「久々に立海と昼食を共にしないか。」 「あ、はい。喜んで。」 ナイスタイミングで柳が話しかけてきた。こちらから声をかけなくてもあちらから声をかけてくれる。モテるって罪だわぁ。 「ところで成実。それは邪魔にはならないのか?」 「それ?…あぁ、紫木さんが腕に絡み付いてますね。ごく自然な感じでしたので気にもかけなかったです。」 柳に言われて意識した。紫木が腕を絡め取っている。熱々のカップルのようだ。しかしながら邪魔だとは思わなかったな。自然過ぎて。まるで紫木の定位置のような安定感だった。 あ、だから氷帝メンバーは距離をとっていたのか。だったら納得の理由である。 「我が君!私と二人切りで是非!」 「紫木さん、昔のように皆さんで食べましょう。懐かしみに浸りたいです。」 「え……我が君ぃ。」 「ダメ、ですか?」 「イエ、駄目ではありません。腑に落ちませんが、我が君が願うなら従います!」 「ありがとうございます。紫木さんとは個人的にお食事に行きましょう。懐石料理の美味しい場所行きましょうね?」 「はぁあッ!ありがとうございます!」 「…弦一郎が羨むだろうな。」 「ご冗談を。彼等は藤ケ院家の成実がお好きなんですよ。それに、将来の嫁に対して贔屓しても罰は当たらないでしょう。」 「ハハ、それはそうだ。紫木、良い婿を手に入れたな。」 「柳殿に言われなくたって我が君は美しいし麗しいし優しいし素敵な方なんですぅ!我が君の視界に入れていただけるだけでも名誉だと思いなさいよ!」 「はいはい名誉名誉。さぁ成実。行こう。」 |
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