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とりあえず、マネージャー仲間と合流を図ろうと紫木か玖城を探す。探してみると新しいタオルを沢山抱えて外のベンチへと移動している玖城の姿を発見。 「あ、玖城さん。」 「ッ藤ケ院…ふ、ふん!やっと戻ってきたのね。遅いじゃない。何やってたのよ!このノロmッ……。」 悪口を言ってやろうとしたのだろう。しかしこれ以上言うとまた紫木が何かしら仕掛けてくる可能性も考えられて、早急にストップ。 「誠に申し訳ありません。忍足君と跡部のご子息がなかなか起きあがらず…。」 「まぁ良いわ。さっさと仕事しなさいよ!」 「はい。今、どの程度仕事は終わりました?」 「あんたは紫木って奴とドリンクでも作ってなさい。量があるんだから。」 適切な指示が下される。 「はい。分かりました。では玖城さん、そのタオル半分下さい。運びます。」 しかし成実はその指示を無視し、玖城の持っていたタオルの上半分を浚っていった。 「は!?何やってんの!?アンタばかぁ?」 「そこまで言われるのは心外ですね。前が見えづらそうでしたので。もし何かに躓いて玖城さんが怪我をしたら大変ですから。」 「なッ……タオルが汚れるじゃなくて?」 「はい。タオルは洗えばいくらでも綺麗になります。ですが、玖城さんの怪我は跡が残ってしまうものになるかもしれません。そうなったときが大変です。」 成実はにっこりと少し眉を潜めながら優しそうな声で諭す。それを見た玖城は顔を真っ赤にしてタオルに突っ伏した。 「……と…。」 突っ伏したまま玖城は何かを呟いた。 「何でしょう?」 「ありがとうって言ってるの!今と…さっき!私を庇ってくれて……嬉しかった…。」 真っ赤な顔を上げ、声を張った。そして、視線を斜め下に向かわせながらさらに呟いた。 何その高等テク。ツンデレには欠かせないこのスキルこの女は素で自然にそれをやってのけた、だと!?ときめくな俺。いや、ときめいてもいいんじゃね?だって俺健全な男子中学生だし。煩悩の固まりだぜ?権化だぜ?ちょーっとちょっかいかけるぐらいなら……いや、よく考えろ。コイツは俺と同じ顔。それにときめいたとかナルシスト決定。あ、でも俺が美しいことには変わりはないか。クソ、ここであだになったか!俺とそっくりな顔設定!って言うか俺ってツンデレ属性が好きなのか!?……ん?でも普通に富布里にも始めはキュンキュンしてたからそうでもないか。うん、男の人っていくつも愛を持っているし、あちこちにばらまく物だから俺は、正常。つか、玖城はトリップ娘だし。対立しないと面白くないな。そもそも俺の本性を立海連中含めて暴いてやるって啖呵きってたし。 「……フフ、当たり前のことを言ったまでですので。さぁ、タオルを運んでしまいましょう。」 タオルをベンチまで何事もなく運ぶ。 「よッ久し振りじゃのぉ成実。」 「あ、仁王君。お久しぶりです顔が近いです。」 タオルをベンチに置いて振り返るとほぼ目の前に仁王の顔があった。 「なんじゃ、驚かんのか。」 「強いて言うなら気持ちが悪いです。そんな趣味有りません。」 嫌がらせだ。コイツ絶対嫌がらせだ!面白がっている目をしてやがる!俺にホモ成分はねぇ!テメェもねぇだろうが仁王ぉお! 「つれんのぉ。」 成実の無反応にふてくされながらも仁王は成実の肩に腕を回す。 「止めて下さい。気持ち悪いです。」 体張ってんじゃねぇえよぉおお! 「やーじゃ、こういう時じゃねーと成実にセクハラ出来んのんじゃもん。紫木はドリンク作りで居らん。真田はのびとる。幸村は俺の味方。何より成実が大人しいしな!」 味方!味方ぁあ!誰か!ヘルプ! 「仁王君。随分楽しそうなことをしているね?ちょっと僕も混ぜてほしいな?」 仁王の肩をポンと叩きながら滝と言う成実の護衛が登場。確かに助けを呼んだが、ここまでの強力な助っ人を呼んだ覚えはない。いきなりラスボス枠登場とか予想はしていなかった。 あ、この絶対零度な雰囲気はダメだ。これは仁王逝ったわ。合掌。 |
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