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「来てあげたわよ。私は何をすればいいのかしら?」 次の日、ついに玖城の入部である。 来て早々、不貞不貞しい態度である。しかしこうでもしないとクールを保ってられないのだろう。証拠に唇を噛んでいる。ニヤケ防止なう。 玖城の登場に萎えた気分を露わにしたメンバー。眉をひそめた。成実はモチベーションをこれ以上下げないように、早急に外周をして来るようアイコンタクト。結果的に玖城とはろくに言葉を交わさず目を合わさず横を通り過ぎた。ここに残ったのは成実と玖城。一触即発(玖城だけ)な状態である。 「お待ちしておりました玖城さん。あんなに嫌っておりましたのに、来て下さるなんてよっぽどの物好きなんですね。」 「私は謝罪を誠心誠意示すためにしてるだけなのよ。そう言った心を持った人にあなたは嫌味を言うのね。人間性が見えるわ。」 「それは失礼。私も皆様を貶されて平常心を保っていられるほど大人ではありませんので。 では玖城さん。本日行っていただく事を説明します。」 「あなたは何時も何をしているの?」 「私はレギュラー専用のマネージャーとしてタオルとドリンク、スコア付けを行っています。」 「そう、だったら私は今日あなたがするはずだった仕事をさせていただくわ。レギュラーにタオルとドリンクを準備すればいいのね。」 「いえ、今日の私の仕事をするのなら準レギュラーへのマネジメントをお願いします。」 「ハッ!?……何故?何時もあなたがしているのに何故今日に限って?」 「私の計らいで親睦を深めるため今日玖城にはレギュラーの補助に回っていただく予定でした。けれど、彼らを嫌うのはどうしようもないことのようですね。仕方ありません。玖城さんは準レギュラーのサポートをよろしくお願いします。彼らは浮ついてもないし、レギュラーほどイケメンではありません。努力も十分すぎるほどしていますので、玖城さんは気に入ると思いますよ。」 「ふ、ふーん…準レギュラーと言ったら日吉が居るかしら。」 「いえ、彼はレギュラーです。」 「じゃあ、滝?それとも宍戸?」 「いえ、彼らもレギュラーですが。」 「は!?そんなはず無い!ここは負けたらそれで終わりの実力主義でしょう!みんながレギュラーなんて可笑しい!」 「あの、先程から言っている内容が理解しかねるのですが…。それよりも仕事しませんか?この時間が無駄です。」 「…ッ。」 まだ何か言いたげな玖城を後目に成実は自分の仕事。レギュラーへのサポートを開始する。玖城も不貞不貞しい態度を保ったまま、準レギュラーへのサポートを行う。 何故、不貞不貞しい態度を保つ必要性があるんだろうね。自分の嫌っているレギュラー陣に関わらなくても良くなったというのに。全く見当もつかないよ。 隠そうとしない態度に成実の腹筋は刺激される。 「はい、皆さん。タオルとドリンクです。」 「あ、あれ?ひぃさんだけ?玖城は?」 外周から帰ってきたレギュラーメンバー。成実の近くには玖城が居るかもしれない、と言う恐怖の元に帰ってきたから、今はなんだか拍子抜けした感じだ。 「玖城さんは準レギュラーの方に自ら志願し、サポートに回ってもらっています。」 「へぇ。本当に俺らに興味ないんだ。珍しい女子だな。」 「向日君。それが驕りなんですよ。そう言うことを言うから玖城さんが毛嫌いするんです。」 「べっつにー。玖城なんてどうでもいいから嫌われようがどう思われようがどうでもいいっつーの。」 「私は…皆さんが玖城と仲良くしていただきたいと思っています。」 「残念だが成実。俺様達は女子と仲良くするつもりはねぇ。今は部活と成実一筋だ。」 「跡部のご子息…。そこは部活一筋と言って下さい。格好が付きませんよ。」 「成実の前で格好つけても悉くバレるじゃねーの。だったら始めから素の俺を見せてアピールしていくぜ!」 「なんて素敵なお心意気。応援してます。と、言いますか跡部のご子息のお好きなタイプは勝ち気な女性だったような気がしますが…玖城さんはとても勝ち気な方だと思いますよ?」 「成実、この世には限度というも有るんだぜ。」 「ドSな方よりはSな方がいい感じでしょうか?」 「いや、その基準で言うなら俺様はややSがいい。まぁ、どうあがいても玖城は無いな。俺様を見下すだなんて以ての外だ。」 「では跡部のご子息。私は?」 「ややSだ!!俺の好みのドストライクだ!」 「「いやいや、成実はドSだろ。」」 「わぁ、皆さん仲良しですね。」 |
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