029 |
「跡部…ね。何故?ドリンクやタオルを準備してあげるから便利よ?」 「もうマネージャーなら居るからだ。な?成実。」 「僭越ながら私がマネージャーを努めさせていただいてます。」 跡部の紹介で成実は深々とお辞儀をしながら応えた。 「なッ…跡部。考え直した方が良いんじゃないかしら。」 その回答にそんなはずでは…。と焦りを見せた玖城。 「どう言うことだ?」 「そんな女。何だっけ?藤ケ院だっけ。藤ケ院みたいなミーハー女にマネージャーは務まらないって言ってるのよ。どうせ跡部達の顔に惹かれてマネージャーになったんでしょ?」 「え…?」 「そんな気持ちで来ないでくれる?迷惑なのよ。」 「そんな…そんな事…。」 「違うなら反論してみなさいよ。」 「わたッ私は…。」 車通学が嫌だから滝に言われて嫌々始めたマネージャーですが、なにか。 「ほぉら、図星だから何も言えないんでしょう。このミーハー女。ね?跡部。私をマネージャーにしない?私だったらこんな女みたいにはならないわよ。私は嫌々やるようなものだし。」 「成実を悪く言ってんじゃねぇぞ!」 成実への悪口が耐えきれなかったのか跡部が怒鳴り声をあげた。当の本人はあっけらかんとしていて跡部の反応に心の中で腹筋崩壊をきたしていた。 「毒されちゃって可哀想に。やっぱり私が必要なようね。ハァ…全く、昨日の私を絞め殺したいわ。なんであんなこと言ったのかしら?自ら嫌な集団に関わっていかないといけないだなんて…。テニスが上手いからって、イケメンだからってチヤホヤされて浮ついてる勘違い集団に貢献しないといけないだなんて…。」 「お黙りなさい玖城さん!」 「何よミーハー女。事実を言ってるまでじゃない。」 「確かに跡部のご子息達はルックスが良く、女性達は黙っていません。待遇も良いのも事実です。ですが彼等のテニスの才能を貶すことは止めていただけませんか。彼等は毎日毎日朝早くから夜の遅くまで練習をこなし人一倍努力をしている方達なのです。 何も知らない貴女が彼等を貶す権利はありません!」 「…アハ、アハハハハハハハ!大抵のミーハー女ってそう言うことを言うのよね。努力をしてるだとか。彼等をブランドもの扱いしないでとか。安易すぎるんじゃないかしら。まぁ、いいわ。面白いことを聞くことが出来たから。明日からマネの仕事をしてあげるわ。ミーハー女を追い出して跡部達から毒抜きしなきゃ。では藤ケ院。また明日。」 「はい、よろしくお願いします。こちらとしてもマネージャーが増えることは喜ばしい事ですので。お待ちしております。」 最後両方が威嚇し、睨みつけてその場は収集がついた。 「ウッハァ女子達の言い争いって怖いC!」 「おいコラ。俺はこれでも男なんだけど。しっかし…お前が俺に似たんだっつーの。俺がお前に似る?何言ってんだクソ烏滸がましい。」 「全くだ。」 「流石ご子息。俺の全面的味方!そう言うところは好きだぜ?」 柔らかく微笑んだ。 「ッ!?樺地!録音したか!?いや、録画したか!?あの成実が俺様のことを!」 突然のことだったがこれは永久保存するに値する価値がそれにはあった。跡部の反応は正しいが、樺地を巻き込むのは如何なものか。 「すみません…何も、出来ませんでした。」 「うぉぉおおお…ッ!フッまぁかまわねぇ、俺様の心のフィルムで永久保存だ。」 転んではただで起きない。それが何様俺様跡部様だ。 |
<< TOP >> |