汝は悪女の深情けなりや? | ナノ


022


成実はさらに言葉を更に紡いだ。

「知能解除。お前って元々はものスゲェ馬鹿なんだな。」

「ッひ、ぁ止めっ!」

成実の言葉を受け富布里は頭を抱えた。何やら異変が起きたらしい。

「逆ハー補正解除。メンヘラでぇぶりっ子でぇ。だぁれも相手にしてくれないやつなんだよなぁあ?」

「ぅえッあ、ヒック止め、てッそれ以上、はっお願いッだからぁ!」

泣いて懇願する。けれど、

「だぁめ、お前、俺のこと散々利用しようとしたし貶してくれたもん。許してもらおうだなんて、むしが良すぎない?っつーことで、顔面偏差値解除!」

「いやぁぁあああああああ!」

顔を覆ってうずくまる富布里。髪の色がサーモンピンクから変哲の無い黒へ。そして本格的に富布里が泣き出した。なんだか弱い者虐めをしている感覚に陥る。

「…なーお萩ぃ、俺って悪者?」

「うん、今だけ見るならね。」

「はー、俺って心優しい男の子なのに。仕方無い証明してやろう。おい富布里。選べ。」

うずくまっている富布里の肩を揺さぶり顔を上げさせる。しかし富布里はそれに抵抗を見せた。

「イヤァ!触らないでぇ!」

「あ?黙って従えやぶりっこ娘!」

無理矢理立ち上がらせ、胸元のリボンを掴みこちらに向かせる。

「ひッ。」

「選べ。今すぐ元の世界に帰るか、このまま俺の手駒としてここに残るか、だ。」

「ッそんな事できるなら元に戻しなさいよぉ!」

「うわ、驚いた。まだこんなに反抗できるんだ。お見逸れしたぜ。さて、ここでアドバイスです。後一分もしたらご子息達が帰ってくる。」

「!?」

「お前の嫌っているそのみすぼらしい姿を晒すのと改めまして、モブです。って言ってやり直すの。どっちがいーい?」

「いやッこんな顔見られたくない!帰してッ元の世界に帰してよぉお!」

「妥当な判断だ。じゃあ達者でな。」

富布里の言葉を受け取り、成実は手をかざした。そうした瞬間富布里の姿がスゥ、と消えた。元の世界に帰ったらしい。肩の荷がおりた。

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