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「それはそれは褒め言葉ですね。私の母と祖母はとても仲が良く、子の私が祖母に嫉妬してしまうほどですから。富布里さんも哀れなのですね。仲の悪い姑と嫁の関係しか見てこられてない様にお見受けします。」 「ぁたしゎママとぉばぁちゃんが仲が悪くてもぃぃのぉ。二人ともヒステリックにキーキーキャアキャア。ぁたしはパパがだぁぃ好きなんだもん。ぁたしの言う事なら何でも聞ぃてくれるんだからぁ。成実ちゃんも心狭ぁぃ。仲が良いならそれでぃぃぢゃん。嫉妬するなんてサィテー。」 「私は人間ですから嫉妬ぐらいしますよ。反対に貴女はいたしませんの?聖人君子ですか?それとも人生を達観したおばば様ですか?貴女の先ほどの発言、何でも言う事の聞く男性の方が好き、と聞こえまいたけれど、言うことのきかない人間の末路教えて下さいます?」 「ぁたしゎ愛されるべき人間なんだからぁ、言う事を聞かなぃ人間なんて居なぃからぁ。何言ってんのぉ?って言ぅか成実ちゃん怖ぁぃ。ぁたし泣いちゃぃそぅ。グスン。」 「あらあら、泣きそうならお泣きなさいな。子供の特権ですから。」 「子供っ…!?」 「愛されるべき人間ってそう言う意味でしょう?子どもの権利条約。18歳未満の児童は無条件に守られるべき人間ですからねぇ。私も少々恐れを抱きましたよ。」 その残念な思考と恐ろしく腹筋を的確に突いてくる発言にな。 「富、富布里…順番が回ってきたからさっさと頼、め。」 成実と富布里が大会を繰り広げている間に順番が回ってきたようだ。跡部がこの空間から少しでも早く抜け出そうと富布里を急かした。 「景吾から話しかけてくるなんてぁたし嬉しぃ!景吾ゎ、どの味が食べたぃ?」 第三者から見たら立派なカップルだ。 「いや…俺は甘い物苦手だから要らねぇ。」 「ぇー嘘ぉ!景吾ってプディング好きぢゃん。甘ぃもの食べれるでしょぉ?」 あ、馬鹿だ。 「あ?ローストビーフヨークシャープディング添えは甘いものでも何でもないぞ。」 「ぁ、ぇ…そ、そぅなんだぁ。ぁたし間違ぇちゃった!てへっ。」 おいおいおい、プディングと言う言葉だけでお菓子と決めつけんなよ!どんな間違いだよ!これどうやって庇えばいいの!? 「どうでもいい…さっさと頼みやがれ。」 「ぇっとぉ、ラブラブクレープのぃちごでぉ願ぃしまぁす。」 場の空気を誤魔化すために富布里は店員に注文を言った。 「お待たせしました。」 少しして店員が注文通りのクレープを出してきた。富布里はそれを受け取り列を外れる。 次は成実が注文する番。 「成実、何食べるの?」 「私はこの様な物には疎いので人気No.1とあるこれを注文したいと思います。」 すみません、人気No.1のものを下さい。と言い視線をメニュー表から店員にやったら店員の顔が見る見る赤くなっていった。 「アナタっ藤ケ院家の…ッ!?」 「…私をご存知で?」 「ご存知も何も!私はファンで!あああ握手して下さい!」 「この様な私のファンになって下さってありがとうございます。」 なんとこの店員、成実のファンと言うではないか。まぁ、居てもおかしくはないか。だって太大衆演劇代表格藤ケ院家嫡男真女形藤ケ院成実なのだから。鼻高々。成実はきっと内心、可愛い店員だなとか思っているだろう。今は女の格好だからナンパは自重である。 成実はファンサービスと称して握手を快く行った。 「はぁあああッありがとうございます!あ、こちらクレープとなりますッ。お代は要りません!私からのプレゼントにさせて下さい!」 そうしたらどうだろう。なんと無料でクレープが手に入った。役得役得。 「良いのですか?ありがとうございます。」 |
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