汝は悪女の深情けなりや? | ナノ


012


「成実、そろそろ行くよ。」

「心得ました。」

「で?今日はどんな練習するんだっけ?」(今日どうやってあの子で遊ぶの?)

「そう、ですね。足掻いても足掻いても報われることのない恋いに足掻く少女の表現でも練習しましょうか。」(あー…お前、実はモテてないぜ?と言う現実でも突きつけてやろうかと。)

「それって僕も練習に付き合った方がいいのかな?」(それ、僕も巻き込まれるの?)

「付き合って下さいますか?」(巻き込まれたい?)

「成実の思う通りに。」

「では、今回は付き合わなくてもいいですよ。萩之介の思う通りに。」

副声音付きの会話。仕方ない。成実と滝の二人組は目立つのだから。

放課後、授業が終わって帰り支度をする生徒。今日何して帰る?とか部活のメニュー何?とか様々な話題が飛び交う。そんな中、集合場所に向かいながら成実と滝も話す。成実は言わずもがな人気者、勿論滝も人気者。そして二人は何時も一緒にいるため和風組などと呼ばれ二人が一緒に歩く姿は雅な空間を醸し出す。

「藤ケ院さーん!今度の公演見に行くからね!」

「ありがとうございます。見れるものになるよう練習を頑張りますね。」

見ず知らずの生徒からも慕われる。他にも声をかけられながら成実と滝は校庭へ。目立つ集団が校門前にいた。氷帝が誇るイケメン集団男子テニス部レギュラーまたの名をホスト集団。

「滝、成実、遅かったじゃねーか。」

集団を代表して跡部が声をかけてきた。

「遅れてしまって申し訳有りません。お詫びに使わなくなった扇子を差し上げます。」

「いや、気にしなくてもいい。まだ、来てねぇやつ居るからな。しかし、扇子はくれ。」

「来ていない…あぁ、富布里さんですね。」

ホスト…間違えた。イケメン集団しか居ないわけだ。富布里がまだ来ていない。残念だったな。早く来ておけばイケメンを侍らす事が出来たというのに。

「ほっといて行こうぜ。」

「向日君お待ち下さい。きっとすぐいらっしゃいますよ。女性は準備に時間がかかってしまうのですから。」

「みんなぁ!ぉ待たせぇ。」

「お待ッ!?…ちしておりましたよ。」

富布里ボイスが聞こえてきたのでその方向を向いてみた。言葉が一瞬出なかったが、誤魔化せたと思う。何故一瞬声が出なかったかというと、富布里が朝見た富布里とは違っていたからだ。制服が改造制服になっている。ブラウスが既に学校のではなくフリルが至るところにあり、フリル地獄である。スカートの下にはパニエを履いているのか、とてもボリューミー。ネクタイではなく大きなリボンをつけて可愛らしさを演出。元々制服については規定されていない氷帝学園。この改造も許容範囲内だ。しかし驚くのは半分だ。いや三分の一だ。何よりも化粧が、とても濃いです。いつもナチュラルに化粧はしているのだ。これはまだ可愛い。しかし今回はなんだ。目力が凄くて怖いです。いつもつけまつげはしていないのに今回はして下さっている。ご丁寧に下まつげも。只でさえ目が大きいのに、限度という物をだな。
おい富布里。周りを見て見ろ。女の化粧をあんま見ないこいつらが目玉落ちそうなくらい見開いてガン見じゃねーか。

「ぁたしがぁ…一番最後?ごめんなさぁい。」

「お気になさらず。しかし、随分…お変わりになりましたね…。」

「ぁたしの事可愛ぃってぇ?大丈夫だょぉ。成実ちゃんも十分可愛ぃょぉ?」

「ありがとうございます。」

言われなくても知ってるっつーの。

「ぢゃぁ、みんなぁ行こぉ?」

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