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「成実…。」 「申し訳有りません。どうしてもいけませんね…空いた時間を見つけると、つい…。」 多くは語りませんよー。一応面白くしたいしぃ。 「つぃじゃなぃわょぉ!ね、景吾ぉ遊びたがりの成実ちゃんなんて退部させちゃぉ?」 やっだー。そんな名前縛りに命令なんてえげつなー。ご子息ドンマーイ。あ、でも富布里の後にも面白い奴ら来る予定だし…ここで退部は困るな。 「跡部、ちょっと待ってくれない?」 三人が何とも言えない殺伐とした空気を醸し出している中。それをぶっ壊すように滝がやってきた。 ナイスタイミング。流石お萩。 「滝、か。なんだ?」 成実の加護、と言うか成実に憑いてる神様の恩恵を間近に受けている滝は富布里の命令をあまり聞かなくてもいい。らしい。 「成実を退部にしないでよ。僕が折角パシ…お手伝いを頼んでようやくマネになってくれたのに。」 「えー。萩之介が成実ちゃんぉ入部させたのぉ?何でぇ?」 「そうだよ。富布里さん。成実は僕の幼馴染みでもあるんだ。知ってる人がマネになる方が頼みやすさが違うでしょ?」 「で、でもぉ…成実ちゃんがみんなの見ぇなぃところで遊んでたら意味なぃしぃ。」 あ、こいつ墓穴掘った。 「だったらこうしよう。真面目な富布里さんがドリンクを作ったりデータを纏めたりしようか。それで不真面目な成実がドリンクを配ったりボール拾いだ。だったら問題解決だね。ね?富不利さん。」 有無を言わさずニコリと笑って脅している。いや、脅しではないか。お願いである。お願い。 「え!?」 富布里はしまった、と言う表情と心底驚いている様子を見せた。 「私は萩之介の意見を尊重いたします。」 「俺もだ。」 成実と跡部はすかさず滝の意見に同意した。後は富布里の同意だけである。三人で富布里を見つめる。 「ぢゃぁ、ぁたしも萩之介の言ぅとーりに…しよぅかな!」 とっても悔しそうである。あえて言おう。 ザマァアアアアアアアアアアである、と。 「決まりだね。富布里さんが監督に申し出たように仕事はたんまりあるから頑張って。成実はこれからノックが有るからボール拾いに参加して。これでいいかな?」 滝のまとめに対して富布里は何か言い考えはないかと模索していたようだがすぐに答えは得られなかったようだ。 「では萩之介、跡部のご子息。参りましょうか?富布里さん、よろしくお願いしますね。」 成実は跡部、滝と共にマネージャー室から出て行った。扉が閉まる瞬間、富布里の方を見てみると悔しさに歪んでいた。 もう一度言おう。 ザマァアアアアアアアアアアである、と。 三人でコートに移動。成実は爆笑したい衝動にかられたが、マネージャー室から出た為ここは外。レギュラー以外の目があったため本性は出せないのであった。 「フ、フフフ…。」 しかし人間、愉快なことがあると笑いは耐えれないもの。小さく笑いを表した。 「成実、何?」 「フフ…いえ、萩之介とてもよいことをして下さいました。」 「あぁ、やっぱり?富布里って子、君に仕事を押しつけたいようだったけど、成実の白魚の様な指に傷が付いたら僕のせいになるって言うのに…勝手なことを。」 「怒ってはいけませんよ。彼女も部員のことを考えてのアイディアだったんです。ただ、先走っただけで…。」 「…おい、滝…それから成実も。お前等はあの女の言うことに逆らえるのか?」 「「……。」」 成実と滝は顔を見合わせる。さて、なんと返答したものか。正直に言ってしまえば楽しさ半減…と言うことで半分からかうことにした。 きっとこの時の成実と滝の表情はあくどい物だったと思う。 |
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