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「始まりは俺のミスや……。」 語り始めた忍足。 何故かうなじを覆いながら。実に滑稽な姿である。 「昼休みの時ケータイをいじって撫子のコスルカ姐さんの画像見とったら男子のグループに囲まれてな画面覗かれたんや…で『すげぇ美人じゃん!誰?』って聞かれて…。 ほら撫子、KAITOの正体をバラさんって言ってたことを思い出してな。苦し紛れに蒼の貴公子の友達と言ったんや。 撫子がファンクラブにKAITOの事をバラして崇拝されるようになったんならルカ姐さんもバラして…な。男子から非難されることは予測しとったから…。 イジメが始まった原因は俺が作ってもうたもんやけー罪滅ぼしも兼ねて。どや!!俺の計画。完璧やろ!」 「……………………へーん…。」 忍足を見つめる撫子の目が冷めている。 「…何や撫子、反応薄いで?」 「忍足…その計画…すっごい感謝してるよ、ありがとう。けどね…これいつ撮ったの?」 「もちろん、撫子が仁王とワルツ踊っとるときや。」 「そのとき貴様はカメコだった?被写体に許可取った?」 「見学者で、…許可なんて要ったんか?」 「……駄目だ、駄目だ!全っ然駄目だ!! 要るに決まっているだろう!仮にも君は見学者でけっして柳生君のようにカメコをするために居たんじゃないよね?見学しに来てたんだよね? それに私が写っている事は百歩…いや、一万歩譲って許したとしよう。 けどペテンさんもしっかり写ってるじゃん!!肖像権で訴えられるぞ、その気になれば!個人で楽しめよ!勝手に第三者に見えるなんて言語道断!!被写体に許可なんて要ったんか?なんて質問が飛び出してくるなんて思わなかった!!」 「やって…俺、そういうコスプレ系のイベント行ったこと無かったんやもん。俺…素人やもん。」 「知らなかった、素人だから…って理由で許させると思うなよ。 だからマナーがなってない奴は…これだからイベントで男性のカメラ所持禁止になるんだ。忍足…今回は許してやるが次、無断で撮ったりしたら…ね?」 「わ、わわわっ分かったわ。」 ビビりながらも承諾した。 自分がしでかしたことをやっと把握したようだ。 「そう、それならいいよ。」 ニコリと微笑み忍足の頭を撫でる。 飴と鞭の使い方が絶妙である。 「で、私はどうやって舞台に出ればいいのかな?」 「あ…あぁ、えっとな…。中央まで出て行って後は好きなようにすればええ。」 「ちょっ、最後の最後は丸投げかよ。俺に任せろって自分ミスって桃の姫君を世間にバラしてこの機会をセッティングしただけじゃん!±0むしろ−だよ!!」 「…ほーら、行ってこーい。」 開き直った忍足。 「あ、そだ忍足、誰の声が聞きたい?」 「ん?なんでそんなん聞くん?」 「んー…サービス、かな?」 ただ単にルカの声だったら面白みが無いからだ。 「せやったら、くぎゅの声がええ。」 「…くぎゅぅぅぅううか…アル?神楽?ハヤテ?リヒ?」 「ハヤテで。」 「…萌え系…。ぁーん゛ん忍足、私の執事にならないか?」 「ぜひ!」 目を輝かせている。 悪ノリをしれいるのか、本気なのか。 「……よしよし声マネは成功ですな。」 「面白いことを期待してるからね。」 「滝…それは任しといて!」 手をグッと握り決意表明。 「さて、男子共に崇拝されるのは可愛い男子限定にしたいけど…ジローとか岳人とか。うん、女子より男子の方が生徒数多いし舎弟にしておいて損はないな。」 撫子は忍足からマイクを受け取り舞台へと出て行った。 体育館内が再び絶叫の渦(主に男子の声)。 |
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