青春Destroy | ナノ


006


岳人と撫子がコントをしている間にも時間は過ぎてジローと樺地と呼ばれる二人が部室に到着した。

「ご苦労、樺地。」

「ウス。」

「デカ…あれ?一人?ジローって人は?」

撫子は辺りを見回してもジローらしき人は居なかった。

「ジローは樺地に担がれてるあれだ。」

「何で担がれてるのよ…。」

「ジローはどこでも寝るんだよ。」

丁寧に岳人が解説してくれた。ありがとう。

「おい樺地、ジローを俺のとこに持って来い。」

「ウス。」

樺地はジローを跡部の座ってる椅子の近くに下ろした。

「おい、ジロー起きろ。」

「んあ?跡部どしたの?」

なんとか意識が覚醒したジローは跡部の方を向く。跡部はそのままジローの耳元に顔を近づけ内緒話をする。

えっちょ近い近い、顔が近いぃ!絵になるよこれ、イケメソとマジ天使。やだ、滾る。

「岳人さん。」

「何だよ。」

「イケメソ、またなんか企んでるよね。」

「おぅ…。」

「この後の展開が分かり切ってるので帰っても良いですか?」

「帰るのだけはダメ。」

「……ダメってもう一回言ってくれる?不覚にも萌えた。」

「…ヤダ。」

プイッと横を向く岳人。

「エクセレングハァ……!」

アラ嫌だ。女の子にあるまじき声を出しちゃった。そんなあるまじき声を出させた原因は撫子の背中にジローがぶら下がっていたからである。

なにこのハーレム。可愛い、可愛い……あぁもう可愛い!前門の岳人後門のジローである。
撫子は再び思う。死んでも良いかもしれない、いやマジで。

「えーっと、ジロー?」

「うん、俺ジロー。」

トローンとした目で撫子を見るジロー。マジで可愛い。

「ジロー…重いから離れてくれると嬉しいな?」

「じゃぁマネージャーしてくれる?」

「それは………。」

「忍足が言ってたC。お前、俺らに惚れないんでしょ?お願いだからやって欲しいC。」

ジローはそう言いながら撫子から降り撫子の目の前で岳人の横に並ぶ。マジかわいい×2が目の前に!

「おおお忍足ぃ!助けて!いい加減戻ってきて!」

藁にもすがる思いだった。現実的な何かに捕まっておかないと誘惑に負けそうな撫子。

「心を閉ざしてるので聞こえません。」

さっきの岳人の様にプイッと横を向く忍足。先程の精神的苦痛の仕返しなのか、忍足は撫子を軽やかにシカトである。

「忍足てめぇ覚えてろよ、配るからな!絶対配るからなぁ!」

「心を閉ざしてるので聞こえません。」

「駆逐してやる!」

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