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そしてボールは… 3Hのコートに入る。 「っしゃぁ!むっくんのご加護!!」 「流石っす姉御!」 「お姉様素敵です!」 撫子のクラスは最高潮に。 「男子共!!惨殺してやるから迅速に死亡しろ!」 ゲームが開始されて数分撫子は自分を突き飛ばした男子を発見した。 「よく見りゃぁやっぱ居んじゃん。この有害な獣。」 指摘された男子はびくりと体を強ばらせた。 「痛かったなぁ…つーか今でも痛てぇよ。見せてあげようか?」 撫子は包帯を隠すために長袖長ズボンだった体操服を脱ぎ半袖半ズボンになる。 息をのむ撫子のクラスメイト。 当たり前だ。負傷していながらもあれだけ活躍したんだから。 「さて…動きやすくなった。貴様を削除してやんよ!子猫ちゃん&舎弟共応援よろしく!!」 頑張って下さい!と声援が飛ぶ。 撫子はとりあえず他の男子を当てることに集中した。 何故かって?恐怖は宣言してから実行されるまでの時間が一番精神的に辛いからだ。 「なんで当てへんの?」 「だって恐怖が一瞬で終わったらつまらないじゃん?」 「撫子…どこでそんな知識を得たんや怖いわ。」 「もちネットサーフィンで!こう病んでる系は制覇したつもりよ? あ、でも反対に『恐怖というものには鮮度があります。怯えれば怯えるほどに、感情とは死んでいくものなのです。真の意味での恐怖とは、静的な状態ではなく変化の動態――希望が絶望へと切り替わる、その瞬間のことを言う。』あああああああジャンヌゥウウ私のジャンヌゥウウ!」 「Coooooooooooolだよ旦那ぁ!!最高に…怖いわ。マジで。」 「如何でしたか?瑞々しく新鮮な恐怖と死の味は。」 ドン引いている忍足をしり目に撫子は物騒な台詞を吐いて男子を見た。 男子は自分が「あ、これが蛇に睨まれた蛙か」と心の中で感じるほど背筋が凍ったと言う。 こうしている間にも試合は続く。 が撫子が思うようにゲームが進まない。 跡部が邪魔をしているのだ。 「跡部貴様邪魔じゃー!どけぇ!!」 「ハッ誰が!!負けるわけにはいかねぇんだよ!!」 「チィ、こうなったら…しゃーねー…あーあ、あ゛…。」 忍足が気づく。 「3H耳塞ぎぃ!!」 3Hメンバーは咄嗟の事ながら耳を塞ぐことに成功した。 タッチの差で撫子が叫ぶ。 「僕ちゃんの美技に酔ってくだちゃい!!」 辺りは爆笑の渦。跡部も膝から崩れ落ちた。その隙に撫子は跡部を当てた。卑怯違う。作戦勝ちだ。 それを合図に耳を塞いでいた手を離す。 「っしゃー!!邪魔者は居なくなったぁ!!けど…ボール返ってこい!こっちに来い!」 跡部を当てることには成功したがボールは相手チームのコートに留まってしまった。 相手チームのほとぼりが冷めるまで暫しの休憩時間。 「お姉様!!」 クラスの女子が駆け寄る。 「ん?なに?」 「そのお怪我っ…いつ!?」 泣きそうな顔で問う。 「あぁ、一昨日から昨日にかけてだよ。大丈夫、包帯巻いてるけどそこまで酷いものじゃないよ。」 「じゃぁ何で巻いとるねん。」 「…厨2万歳。 おっと、私のために泣かないで。」 「お姉様っ…。」 「心配しないで!そうだ証明にこれで優勝するよ!そしたら私は元気って証明されるよね!?実際元気なんだし!!勿論君の事も護るぜ?」 「…っはい!!」 「さて、相手も復活し始めたようだし、進撃しますよ!」 試合開始である。 そして事件は起こる。 |
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