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「お、おい椿崎!」 クラスの男子が初めて話しかけてきた。 「…何かな?」 「悪かった!お前みたいなやつは人気があって当然だって今気づいた…。」 「…はぁ…ソデスカ。」 「すっげぇ運動神経良し、背高いし…女子なのに女子守ってるし…。本当に、」 「「「悪かった!」」」 一人の男子を筆頭にクラスの男子が頭を下げる。 何を今更という感じに女子は男子に冷ややかな目線を送る。 「んー…許す。」 「ほ、本当か!?」 「おうよ。まぁ本来なら指の生爪剥いだり指の間接一つ一つに釘を叩き込んで君達の悲鳴を聞きたかったけど…。」 男子達が一斉に手を隠す。 「…どこの村の拷問狂やねん。」 「園崎家だ!…拷問は冗談として、 君達は誰に言われたわけでもなく私に謝ってきたんだ。君達の意志を尊重するよ。」 ニコリと微笑む。 「!?っ…姉御!!」 「………………は?」 「姉御の懐の広さに感服っす!ついて行きやすぜ姉御!お前等も良いな!」 男子が声をかける。 男子達からは肯定の返事が飛ぶ。 「えー…。」 「良かったやん取り巻きが増えて。」 「取り巻きなら年下の子達が良かった…可愛くない……あ、パシリとして扱お。そこに愛など無い!!」 「…ええんやね?それで。」 「よーし、3H!これが本物の敬礼だ!心臓を捧げよ!!」 一度は言ってみたい台詞。 右手で拳を握り、それを心臓の上に持っていく。左手を後ろに回し姿勢を正す。 「「はい!お姉様!!」」 「「おう!姉御!!」」 そしてついに始まる決勝戦。 開始の合図はジャンプボール。 相手クラスの代表は跡部。 こちらからは撫子が出た。 氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝氷帝――――… 氷帝コールがなる。 初めて聞く撫子はキョトンだ。 パチン―… 「勝つのは俺様だ。」 跡部のクラスのボルテージが最高潮になった。 「俺らも氷帝や。」 「え?童貞?あんた童貞コールなんてされて嬉しいの?」 その場は固まる。 まさに氷の世界。…なんつって。 跡部は撫子の挑発に乗るまいと冷静を無理矢理保つ。 「……あーん?お前が相手か椿崎。ふん…勝ったな。」 「あーん?君が相手か跡部。…また悪夢見さすぞコラ。」 若干引きつる跡部の頬。 「っ…吠えてろメス猫。」 「ニャー、ニャー。はい吠えた。」 「っ貴様!潰す!!」 「え、何?レッドアイさんの真似?二番煎じは流行んねぇぜ?」 挑発しあう二人。 それを忍足はなだめる。 「やめぇや、二人共ゲームが始まらんやろ。」 「…おい、審判。ボールをあげろ!」 審判の人に八つ当たりをするように怒鳴った。 「は、はい!」 ボールが高く跳ね上がる。 |
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