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「あぁ、それなら大丈夫だよ。 たまたま予備のユニフォームが有るし、シューズだって予備がたまたまここに、ラケットは借りればいいよ。」 仕組まれていたような雰囲気がある。 いやいや、考え過ぎだ。氷帝にも予備ってあるじゃないか。 「……幸村君は何がしたい。」 「椿崎さんと戦ってみたい。」 「だが断る。」 幸村と試合だなんて身を滅ぼすだけだ。 「ん?何だって?」 「すんません!!今の言葉は失言でした!でも試合はしたくありません! お願いします、幸村様!またの機会に!またの機会に是非!そん時までには強くなっときますから今より!!」 ジャンピングからのスライディングさらに土下寝。 「ふーん…次の機会か。うん、良いよ。その時やろうか。」 「あぁ、あ、なんてお優しい。」 「元から俺は優しいから。」 「ん?」 撫子はどうやら耳が変になったようだ。 幻聴が聞こえた。 なんて口に出せるわけがない。 と思っていると柳生が戻ってきた。 「おぉ柳生君、お疲れ。」 「椿崎さん、これがデータです。」 どうぞ、と撫子に渡す。 「うわー何から何までありがとう!」 ペテンさんとあわせが出来た上、あの高クォリティーの写真を撮る柳生に写してもらったんだ、至れり尽くせりだ。 「いえいえ、私自身楽しかったので。」 「…にしても、今回データ何枚いったの。」 「今回は1394枚ですかね。数時間のあわせでしたのでやはり少なかったですね。」 「あの時間だけで千ッ!?」 「ええ、私の特技はレーザービームの様に連射し、その中から最も良い画像を探すことが一番の至福です。 あ、安心してくださいその中には395枚ですかね。入っています。さらにその三分の一程度は仁王君ピンですね。椿崎さん欲しいでしょう?」 「!?ありがとう柳生君!ペテンさんの写真でフォルダを埋めたいと思ってたんだ!」 「…本当にペテンのファンなんですね。」 「勿論!あ、でも安心して!柳生君から奪う気無いから。」 だからもっと私の前でイチャついてね! 「はい?」 「休憩終わりー。みんなー普段通り練習試合ー。適当にやってー。」 無気力に幸村が指示を出す。どれだけ撫子と試合をやってみたかったんだ。 幸村の指示に従って部員達が動く。唯一指示と違うところは適当にやらずに柳の元に行き練習試合の予定をくむ。うむ、良い判断だ。 試合がヒートアップして面白くなるまでの時間、暇になった撫子は先程柳生に貰った写真を見てみることにした。 ここで役に立つのは電子端末ですよね。 メモリーをセットして、画像を展開。そして驚愕。 なん…だと……これ誰だ?私だよね。KAITOの写真だし。 こんなにも自分がかっこいいと思ったことはないぞ?写真マジック!柳生君マジぱねぇ。仁王が羨ましいぜ!毎回柳生君に写してもらえるなんてな。 …ペテンさん、何時にも増してふつくしい…。私なんかがあわせしちゃって良かったのだろうか……。コミュに載っけたら反感買ってフルボッコになんないかな…。 うん、案ずるより生むが易しだ。フルボッコにされたら考えよう。こんなに高クォリティーの写真を載っけない方がどうかしてるぜ。 撫子は自問自答の時間が終わると白熱し始めた試合をガン見することにした。 「!?やっべぇ!!みんなすげぇ!!何あれ、何あれ!!あれなんて技!?…うわー……楽しそう…。」 最近思う、仁王と仲直りした日から。 あの時テニススクールを続けていたらどうなっていただろうと、強くなってこんな人達と互角に試合も出来ていたんじゃないかって。テニス自体は好きだったから。意地を張ってやらないなんて選択肢を選んだりするんじゃなかったと。 考えて後悔していると撫子に声がかかる。 |
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